中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

忘れられない7日間『図書室のはこぶね』(名取 佐和子)

でもわたしはこの頃、つくづく考えちゃうのだ。意味のあることだけをする人生って、案外袋小路じゃないかなって。(本文より)

 

コチラさん、たまに出題予想する方だが、

『神さまのいうとおり』みたいに前触れ

なく出題首位になる本も当ててんだよな。

 

そんな彼の注目作品なんでチェックして

みたのが、この『図書室のはこぶね』だ。

著者は中受界では全く手垢がついてない。

 

全体の空気に対して個人がないがしろに

される場面もあってなかなか勉強になる

 

主人公達がみんなのためにどう解決策を

見つけ出していくのかが注目ポイントだ。

 

俺のブックレビューの一部はこんな感じ。

 

主人公はバレー部エースの高3女子。怪我で体育祭に参加できなくなった彼女が、一週間限りの図書委員となり、謎めいた本の”10年越しの秘密”に惹き込まれていきます。主人公にとっては退屈だったはずの図書室が、さまざまな出会いでわくわくする場所に変わっていくところが良かったですね。

 

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『図書室のはこぶね』(名取 佐和子/実業之日本社

 

参考サイト:共働き夫の長女・二女★2022&2024受験記!

いいぞ、ジャイ子!『ちいさな宇宙の扉のまえで: 続・糸子の体重計』(いとう みく)

人ってそんなに強くないから、確かめたくなるの。自分は必要とされているかとか、愛されてるかって。気持ちが弱いときほど強烈にね。(本文より)

 

割と入試で出ているいとうみくの新作だ。

続編だが、前作を読んでなくても大丈夫

 

無遠慮でがさつな糸子と同級生の日常が

描かれているが、前作を知らない俺でも

すんなり物語の中に入っていけたからよ。

 

作問で使いやすそうなのは、修学旅行と

オーディションどちらを選ぶか迷ってる

女子のリーダー格が主人公の章かもな?

 

出すとしたら中堅校から準難関校あたり

俺のレビューの最初の方はこんな感じだ。

 

豪放磊落な糸子と、そのクラスメイトの日々を5人の視点で描いた物語。空気なんて読まない。どしどし本音でぶち当たるという糸子がとびきり面白いです。主要人物はみんな、お調子者の男子も、カースト上位の女子も、表面からはわからない悩みを心の奥底に抱えているのですが、糸子の考えることといえば・・・

 

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『ちいさな宇宙の扉のまえで: 続・糸子の体重計』(いとう みく/童心社

 

難関狙いの本好きには『櫓太鼓がきこえる』(鈴村 ふみ)

『櫓太鼓がきこえる』(鈴村 ふみ/集英社

 

今年の公立高校入試でよく出題された本。

相撲への見方をガラリと変える衝撃作だ。

 

公立高と中受は作品がかぶりやすいけど、

この本は難関から最難関レベル向けだな。

 

相撲の取組前に、ひがしーあざぶやまー

とか力士の名前を呼びあげる役割を担い

奮闘する少年を描いた熱いお仕事小説だ。

 

親目線では「勉強が、学歴が」と子供に

圧をかけることを考え直させるかもな?

 

俺のレビューの一部は以下の通りっすよ。

 

主人公は親の価値観の押し付けから逃れるように家を飛び出した17歳。裏方の下働きとして角界に飛び込んだ彼が、厳しい世界で様々な失敗を重ねながら成長していく物語です。

 

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出題されるかもしれない新刊本(2022年6~7月)

入試頻出作品は前年の春から夏にかけて

出版された本になるケースが多いんだわ。 

 

逆に秋以降発売の本が出ることは少ない。

夏ごろに作問する例が多いらしいからな。 

 

桜蔭みたいにからに出た本からも

出す例ってのは稀だと考えていいわけよ。 

 

となればこの時期の新刊には要注目だろ。 

 

レビュー前なんで入試向きじゃないのも

混じってると思うがこれが今気になる本

借りられたものから順にレビュー予定だ。

 

『ちいさな宇宙の扉のまえで: 続・糸子の体重計』(いとうみく)6/1発売

『スクラッチ』(歌代朔)6/21発売

『すこしずつの親友』(森埜 こみち)6/23発売

トーキングドラム 心ゆさぶるわたしたちのリズム』(佐藤まどか)7/5発売

『星屑』(村山由佳7/6発売

『掬えば手には』(瀬尾まいこ7/6発売

『空と大地に出会う夏』(濱野京子)7/20発売

『ノレノレかるた 二人でつくる卒塾制作』(こまつあやこ)7/23発売

『母の国、父の国』(小手鞠るい7/23発売

 

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コレ、凄いよ『シャンシャン、夏だより』(浅野 竜)

いろいろ大変なことが多くて、農業には未来がないように思えるけど、それは浅い見方でね。もっと長い目で見たら、農業には、明日はなくてもあさってがあるんだって。(本文より)

 

ちゅうでん児童文学賞の大賞だった作品だ。

前年の受賞作品は今年の出題校数5位だが、

この本はそれ以上に素材にしやすそうだわ。

 

友情、成長、格差、という頻出のテーマに

農業という今の子には新鮮な要素も加わり

しかも、大人が読んでも面白くためになる

 

食に感謝をする気持ちが芽生えたりもする。

文学賞の大賞作品ともなるとやっぱ違うわ。

 

以下に俺のレビューから一部引用してみた。

 

主人公は米作り農家の小6男子。自由研究でクマゼミの生態を調べようと奔走する彼が、勉強で忙しい友人や心を閉ざす転校生との関わりを通して成長していきます。農業の尊さや、相手を知ることの大切さを教えてくれる作品ですね。

 

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『シャンシャン、夏だより』(浅野 竜/講談社

 

だらけ小6男子、目の色を変える『風の神送れよ』(熊谷 千世子)

『風の神送れよ』(熊谷 千世子/小峰書店

 

地域に伝わる伝統行事にやる気のない子が

駆り出され責任ある立場になって変貌する。

 

子どもたちが協力し合い共に成長する話だ。

 

いかにも出題者が好みそうな要素を含むが、

読書感想文コンクールで高学年課題図書に

なっちまったんで回避されるかもしれんな。

 

中堅校から準難関校レベルまでの物語文に

慣らすには丁度よさそうな作品ではあるが。

 

俺のブックレビュー簡易版は以下の通りだ。

 

長野県南部の集落で400年にわたり受け継がれてきた子どもだけの神事が描かれています。主人公は地域で唯一の6年生男子。伝承を信じる気になれず、任された大役を重荷にしか感じていなかった彼が、仲間と力を合わせて準備を進めるうちに、責任感に目覚め、逞しく成長していきます。

 

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コピーライターと小6女子の不思議な関係『ソラモリさんとわたし』(はんだ 浩恵)

言葉にできない思いってあるし、それは言葉と同じくらい大切。(本文より)

 

図書館司書がやたらと推すから読んでみた。

新人の新作なんで出題実績はトーゼンない。

 

面白すぎるんで調べてみたらフレーベル館

ものがたり新人賞大賞作品だったんだな~。

 

少女がコピーライターから言葉を輝かせる

工夫を学び、自分の殻をやぶっていく話だ。

 

平易だし中堅校狙いの子にピッタリかもな。

以下、俺が書いたブックレビューの一部だ。

 

言葉数の少ない6年生の女の子が主人公。自分の殻にこもっていた彼女が、子どものように無邪気な大人との交流を通じて、表現することの愉しさに目覚めていきます。大人目線では、“子どもを一人の人間として尊重することの大切さを教えてくれる作品”でした。思いもしない方向に弾む会話も魅力ですね。

 

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『ソラモリさんとわたし』(はんだ 浩恵/フレーベル館