中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

今度の辻村作品は超ヤバい

先行レビューリクエスト中って状況だが、 あらすじ見ただけでも要注目なのは解る。 黒いのや空想的なのは入試に出にくくて、 白いのが頻出なのが辻村深月なんだけど、 6月30日発売予定の新作は白い方だよ。 しかも中高生の部活を描く作品だもんよ。 こん…

せつなさが心に沁みる『おはようの声』(おおきやなぎ ちか)

今も心に残る声がわたしに勇気をくれる。 少女がそういう心境に至るまでの物語だ。 6年生が3年前の日々を回想する筋書き。 この作品も序盤は出題要素が薄い感じで、 いじめ目撃で物語が転調するあたりから 要注目シーンがチラホラ出てくる印象だ。 ただ、…

解りあえない、だとしても『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』(天川 栄人)

よく勘違いされるけど、星座っていうのは星をつないだ「形」のことじゃなくて、正しくは「領域」。(本文より) この人に最初に注目したのは鉄人会かな。 中受では新顔の著者の今月発売の新作だ。 SNSにどっぷり漬かっていた女の子が 新たな出会いで変わ…

リアルな学童物語『あえてよかった』(村上 しいこ)

子どもの見守りなら、気楽にできると簡単に考えていたのに、自分までもがこんなに息苦しい気持ちになるなんて思っても見なかった。(本文より) たまに入試に出る作家の今月発売の作品。 58歳の男が学童で働くストーリーだわ。 学童保育が舞台って作品は珍…

少年の思いやりに癒される『奉還町ラプソディ』(村中 李衣)

稀に出題される人の昨年11月発売の本。 登場する人物やお店はフィクションだが、 岡山に実在する商店街を舞台にしている。 老人と少年達のかかわりを描いた作品だ。 全6話の短編集だが3話以降がいい感じ。 特に4話の博多に老婦を連れていく話は 出題要…

馴染みの本が次々と出る『27000冊ガーデン』(大崎 梢)

本から得られるものは無限であり、それは誰にとっても平等だと信じていたい。(本文より) たまに出題される作家の本日発売の本だ。 学校司書が出る話だし割と出題のあった 『教室に並んだ背表紙』も連想したけど 謎解きに重きを置いててあんま似てない。 的…

テーマ的にも大アリな『金曜日のあたしたち』(濱野 京子)

どこで学ぶかではない、何を学ぶかだと、中学の担任教師から言われた。(本文より) 割と入試に出る作家の6月発売予定の本。 環境問題に取り組む高校生が描かれてる。 無関心だった少女の変わりように注目だ。 貧困・格差といった問題にも触れていて、 理・…

出題されるかもしれない新刊本(2023年5月前後)

5月前後の新作で気になってるのは以下。 追加で判明したらこの記事に加えてくよ。 4/17発売 『ノクツドウライオウ 靴ノ往来堂』(佐藤 まどか) 靴職人の世界に足を踏み入れる少女の話。 4/19発売 『ぼんぼん彩句』(宮部 みゆき) 俳句を元にして紡ぎ出さ…

揺らぐ少年の心模様『街に躍ねる』(川上 佐都)

もちろんぼくが受験を選んだのは周りに合わせたからじゃなく、伝記マンガを読んだ結果、なにごとも勉強が大事だということを知ったからだ。(本文より) ポプラ社小説新人賞の特別賞受賞作だわ。 率直に言って、出だしは読みにくかった。 子どもの視点に感情…

好奇心が走り出す『イコトラベリング1948−』(角野 栄子)

疎開先から帰って来る子どもたちで、東京の私立学校はどこも満員状態だったのだ。(本文より) 『魔女の宅急便』著者による自伝的小説。 複数校で出題された『トンネルの森』の 続編にあたる作品ってことで読んでみた。 前作も素晴らしかったがこの本も凄い…

さらなる高みへ『金色の羽でとべ』(高田 由紀子)

弱みだと思っていることが、武器になるかもしれませんよ。(本文より) YA世代向け新作が出題されやすい人の 3月に発売されたバレーボール小説だわ。 5年生の主人公が思わぬ役割を任されて、 戸惑いながらも奮闘していくアツい話だ。 予想外の展開になる…

開成で恵泉『終点のあの子』(柚木 麻子)

今年の開成出題作品なんだが、面白いよ。 女子校の人間関係を掘り下げてる作品で、 男子校でこれ出すか?って思ったけどな。 ま、開成が意外な旧作を出してくるのは いまに始まったことでもなんでもないが。 恵泉中高出身の著者が母校を描いた本は 前に紹介…

自分の軸を大切に『嘘吹きパスワード』(久米 絵美里)

小6がスマホのトラブルに巻き込まれる 筋書きだったコレのシリーズ2作目だわ。 今度は中学一年生になった彼らの物語だ。 前作も子どもに読ませたい一冊だったが 今作もなかなか勉強になる本だったな~。 スラスラと楽しく読めてマナーを学べる。 ネットだ…

そのとき子どもを守れるか?『神無島のウラ』(あさの あつこ)

いろいろ抱えちょる子についつい目がいってしまうんです。じゃどん、表面的に問題なか子が内側も問題なかとは言い切れませんからね。(本文より) 令和の『二十四の瞳』だと帯で謳ってる。 もし感動の教師モノだったら出題者にも 選ばれやすそうだがさてこの…

せつない境遇の子どもたち『つぎはぐ、さんかく』(菰野 江名)

おいしいという言葉はいつでも私を助けてくれる。(本文より) ポプラ社小説新人賞の受賞作品なんだが 書店の扱いが大きいし良く売れてそうだ。 いいクチコミも急拡大中だったりするよ。 途中まではこの設定は何?なんで受賞? とか感じてたけど尻上がりに良…