中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧

心の栄養が棚にズラリ『そんなときは書店にどうぞ』(瀬尾 まいこ)

神社に行かないと手に入らないと思っていたけど、持つ人や贈る人の気持ち次第で、なんだってお守りにできるのだ。(本文より) 入試でお馴染みの作家の年末発売された 本づくりの舞台裏が丸見えになる本だわ。 エッセイに短編小説1本がついてるよ~。 親し…

さびしい闇を埋める『眠れない夜のために』(千早 茜)

稀に入試で見かける作家の11月の新作。 短編集と謳ってるんだが一つ一つの話は むしろ掌編と言っていいくらいの手軽さ。 スキマ時間にさらりと読める作品だろう。 文章量は多くなくてもじんわり来る話や SF、怖くなる話もあって多彩な品揃え。 オレが気…

出題されるかもしれない新刊本(2025年3月前後)

3月は珍しく新作の情報があんまないな。 『アルプス席の母』で注目を浴びている 早見先生の中受小説はガチ推し作品だよ。 以下のリストは未読の作品が多めなんで、 たぶん問題文に向かない本も含まれてる。 2/27発売 『キャロットバトン』(こまつ あやこ)…

ぼくらは考え抜いてゆく『おおなわ 跳びません』(赤羽 じゅんこ)

「それって、偽善、じゃねぇの?」つい、強めの声が出てしまった。(本文より) 稀に入試で見る作家の昨年10月の作品。 タイトルと表紙の感じから気の強い子が 行事への参加を拒否する話かと思ったが 読んでみたら先入観とはまるで違ったわ。 足を普通に動…

たとえ茨の道だとしても『あの日の風を描く』(愛野 史香)

新たな知識が、朝露の清冽な冷たさのように、脳に染み込んで刺激する。(本文より) 昨年10月に出た角川春樹小説賞大賞作。 美術品の模写や修復を描いた珍しい本だ。 ハンパな自分を思い知り塞いでた青年が 従兄の誘いで新しい世界に踏み込むよ~。 先輩ら…

彼女は熱意で押し通る『古本食堂 新装開店』(原田 ひ香)

本意って伝わらないものなんです。自分の気持ちなんて、相手に伝わらないのが普通って思ってたらいいんです。(本文より) 昨年6月発売で今年の修道で使われた本。 シリーズ前作も今年茗渓学園で出てたよ。 70代店主が20代女性と切り盛りする ユニーク…

誰も奪えない光『星の教室』(髙田 郁)

教育を受けることは、そのひとの人生に希望の灯を点すことだ。(本文より) 長く親しまれそうな傑作が登場したわ~。 旧作をたまに入試で見る作家の新作だよ。 深~い事情があって夜間中学に入学した 生徒や周囲の人々の生き様が感動を誘う 学ぶことの尊さが…

イマジネーションの翼『風の港 再会の空』(村山 早紀)

この世界を生きるに足る、優しい場所だと教えてくれたのは、あなたでした。(本文より) 『風の港』ってタイトルからして素敵だ。 たまに入試に出る作家の1月の新作だよ。 前作は複数の入試問題に採用されてたが 今日紹介するのはシリーズ2作目になる。 思…

確かな架け橋『音のない理髪店』(一色 さゆり)

自分が書いたものが人と人をつなぐきっかけになってほしい。(本文より) これも障がいを深掘りした作品になるよ。 耳が聴こえないことで身に迫る危機とか やまない差別や偏見、歪んだ制度などを これでもかとブッ込んだストーリーだわ。 日本手話と日本語対…

感嘆のため息もれる『見えなくても王手』(佐川 光晴)

できれば時間を気にせずに、きみと指したいんだ。(本文より) 入試定番作品『駒音高く』の姉妹編だよ。 盲学校の高学年男子のストーリーだけど 将棋と障がい者教育への著者の本気度が 物語の中に見事に結実されてるんだわ~。 これはそう滅多に見られない優…

長らえ、何を伝えるか?『窓の向こう、その先に』(田村 理江)

強いあこがれは、裏返されて嫉妬になり、そばにいたらはじかれそうな”こわさ”に変わった。(本文より) 入試で見たことのない作家の11月の本。 窓から外を眺めるのが好きな少女の話で 彼女と老人の変わった交流を描いてるよ。 奇跡のような巡り合わせが楽…

歩けよ黒髪の成瀬『実家が北白川』(宮島 未奈)

ごめんね。こいつは男子校で六年間過ごしたせいで、女子へのあこがれが妙に強いんだ。(本文より) バカ売れしてる成瀬シリーズの最新短編。 小説新潮1月号に掲載されている話だよ。 京大のおとなしめ新入生男子が流される ままに入ったヘンテコサークルの…

人生を賭ける仕事『日比野豆腐店』(小野寺 史宜)

謝るくらいなら離婚しないでよ、とぼくは言ったけど、どちらからも返事はなかった。(本文より) たまに入試に出る作家の11月の新作だ。 この先生が人情を描いたら当たりは必然。 期待を裏切らないばかりか越えてくるよ。 熱意が人を動かす話とかグッとき…

聲なき天の『オリオンは静かに詠う』(村崎 なぎこ)

記憶にある札の場所を渾身の力で払った。手から星が散り、彗星のように札が飛んでいく。(本文より、競技かるたの鮮烈な描写) 聖光学院で出たことがある作家の新作だ。 聴覚障害にまつわる本人や周囲の葛藤が さまざまな角度から丹念に描かれてるよ。 深刻…

きらめきの未来『ぶたのしっぽ』(海緒 裕)

二度とキモイなんていわれないように、自分じゃない自分になり切ろうとしたんだ。(本文より) 今回は2ヶ月以上先に発売予定の新刊本。 ちゅうでん児童文学賞の大賞作品だよ~。 受賞作品は何年も連続で入試に出ている。 秘密の趣味と人に言えない苦悩に染…

そのとき何ができるのか『普通の子』(朝比奈 あすか)

いつの時代も、人をいじめるのが楽しいたちの子が、一定数いるのよ。(本文より) いじめの問題を深く深く掘り下げた大作。 割と入試に出る作家の12月の新作だよ。 これは子どもには難しいし素材文適性も あまり高いとは思わないけど親は必見か。 主人公の…

いのちを「いただく」ことの意味『ミルキーウェイ──竹雀農業高校牛部』(堀米 薫)

人間、何かを突破しようとしたら、それなりの覚悟を決めるのが大事なんだよ。(本文より) 決戦の朝だけど気を紛らすために三連投。 なにか書いてないと落ち着かないのだよ。 2024年12月に発売されたばかりの こんな部活ありますシリーズの第4作目。 …

鎮魂の響き『あの空にとどけ』(熊谷 千世子)

がんばってるのにできないからしかたないじゃん、って言いわけを探した。でもそれは、つらいことから逃げだしただけかもしれない。(本文より) 命の大切さを訴える作品って貴重だよな。 小川未明文学賞等でも実績のある作家の 課題図書にも向いてそうな良質…

運命は交差する『モノ』(小野寺 史宜)

朝焼けの下で今まさに様々な交通機関が 受験生やその家族を目的地へ運んでいる。 書きもの集中するのが一番落ち着く俺は こんな朝でも平常運転中だったりするよ。 読むほうは文字が滑って頭に入らなくて 正直、まるっきり平常心じゃないけどな。 かなり前に…