中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

探求心よ、どこまでも『アメリカから来た友情人形』(今関 信子)

「破壊89名、焼いてしまえ133名、送り返せ44名、海へ捨てろ33名」(本文より、戦時中の毎日新聞に載ったある小学校の聞き取り調査を引用) 題材がとてもいい本として紹介するよ~。 卒業を控えた小学六年生の子どもたちが 学校で大切にする古い人形の来歴に…

出題されるかもしれない新刊本(2025年4月前後)

4月度は注目作が盛りだくさんですわ~。 ちゅうでん児童文学賞作品か瀬尾先生の 新作が月間トップ候補になりそうな予感。 宮島先生の青春部活モノも期待値は高い。 以下のリストは未読の作品が多めなんで、 たぶん問題文に向かない本もあるんだが、 年間ト…

気ままな散歩へGO『団地メシ!』(藤野 千夜)

おばあちゃん、明日、お花見しない?(本文より) 来月中旬に発売予定のおいしい新作だよ。 家族愛が心の奥深くに響いてくる物語だ。 わけあってヒマを持て余す16歳少女が 食べ歩きをしつつ生きる力を蓄えていく。 そんなストーリーだとオレは受け止めた。…

でこぼこ道の少女『わたし、わかんない』(岩瀬 成子)

まっすぐ生きるだけが、いいことじゃないよ。(本文より) 割と入試に出る作家の来月下旬発売の本。 学校で差別や偏見にさらされる女の子が 自分の居場所を求め足掻くストーリーだ。 みんなが当たり前にできることができず 苦しむ主人公へ心の底から共鳴した…

洋々たる船出『僕たちは我慢している』(藤岡 陽子)

いよいよ始まるという緊張感が、受験生たちの顔に滲んでいた。(本文より) 『金の角持つ子どもたち』の著者が贈る 普遍的に愛されそうな作品が登場するよ。 発売は約2ヶ月後の5月中旬になる模様。 開成をモデルにした名門男子校を舞台に 生徒たちがおたが…

濃厚な個性に囲まれる『坂の中のまち』(中島 京子)

昨年11月発売の書店で目立っていた本。 ガール・ミーツ・幽霊譚と宣伝してるが エンタメ寄りではなくなかなか深いよ~。 文豪たちのあゆみや名作文学に登場する ご当地の坂が登場するシーンにフムフム。 ほっこりできるエピソードが多い一方で キリシタン…

人生のお供にしたい『もの語る一手』(青山美智子,芦沢央,綾崎隼ほか)

誰もが認めるような新しい目標がなければ、あきらめることは許されない気がしていた。(『おまえレベルの話はしてない(大島)』の本文より) 頻出作家の短編を含む来月9日発売の本。 将棋を題材にした珠玉のアンソロジーだ。 そのラインナップは以下の通り…

女は度胸と才覚『真珠王の娘』(藤本 ひとみ)

食べ物が体を養うように、美は心を養い、豊かにするのだ。(本文より) 藤本ひとみ先生というと軽妙テイストで 子供達に人気って印象だけどこれは重厚。 入試ではあまり見ない作家ではあるけど 2024年の本郷中学で出てたりはする。 本作はズシリとくる厚…

その兆しが示すもの『小説』(野崎 まど)

2025年本屋大賞のノミネート作品だ。 王道文学とはちょっと毛色が違う本だわ。 読書だけが寄る辺という少年のあゆみは エキセントリックなまでにユニークだよ。 彼の無二の親友というのもこれまた凄い。 凄すぎて危なっかしすぎて先が気になり ボリュー…

常識を投げ捨てる『踊れ!文芸部』(キタハラ)

みなさん、入学おめでとうございます。みなさんは、この学校に、べつに入りたくもなかったと思います。(本文より) バカ丸出し男子の青春物語と謳う作品だ。 まぁ、表紙の感じからしてそうだよな? この本、俺は前半パートがわりと好きだ。 モチベが低い男…

ほとばしる情熱の輝き『スターゲイザー』(佐原 ひかり)

みんなどこかしら損ないながら、傷つきながらステージに立ってる。そうじゃないと輝けないって言い聞かせてさ。(本文より) 稀に入試で見る作家の9月に出た作品だ。 これは女性レビュアーの激賞が凄いんだ。 男性アイドル物とかマジで読めるんか? な~ん…

多様な視点への気づき『夜更けより静かな場所』(岩井 圭也)

ひとりで本を読むのは楽しい。でも、読んだ本について語るのもまた楽しい。(本文より) たまに入試に出る作家の10月発売の本。 謎の多い初老の男が営む古書店を舞台に 6人の男女の人生が交わるストーリーだ。 課題の図書を題材にして意見交換しあう 彼ら…

色眼鏡を外すとき『Q世代塾の問題児たち』(石川 宏千花)

本当のばかっていうのはさ、差別やいじめを平気でしたり、世の中のことに無関心な人間のことだから。(本文より) 子供受けする本を多数出している作家の 来月中旬に発売予定の作品を紹介するよ。 今作は6年生女子が珍しい塾に通う中で 新しい価値観に目覚…

固定観念を打ち払え!『蒼天のほし』(いとう みく)

でも、現実に、目の前に、夜間の保育を必要としている家族がいます。その親子を切り捨てていいんでしょうか。(本文より) 入試頻出作家の5月下旬発売予定の本だ。 夜間保育園が舞台という珍しい作品だよ。 おそらく中学受験するような子たちには 想像する…