中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧

想像を軽々超えた未来像『恋の収穫期』(最果 タヒ)

まさか、あれ・・・・・・全員、彼女なの?(本文より) 全編に漫画的な世界観が浸透してる作品。 表紙に素材感があると思い手にした本だ。 一言でいえば高校生の恋愛を描くSF物。 前衛芸術のように好みが分かれそうかな。 正直、素材文適性はほとんど感じ…

歴史のうねり、鮮やかに『普天を我が手に 第一部』(奥田 英朗)

子供だけは巻き込むな。何の罪もないんだぞ。(本文より) ひときわ鮮烈な人々が昭和を駆け抜ける 最近第二部が発売されたばかりの大長編。 右翼の最右翼や極左のど真ん中、大陸で 活躍する興行師らの視点で時代の荒波が マクロ・ミクロの両面から描かれてい…

孤独への処方箋『ネバーランドの向こう側』(佐原 ひかり)

自分で自分にダメだと思うのはまだいいけれど、誰かに思わされるのは、本当にしんどい。(本文より) 最っ高の盛り上がりで楽しませてくれた 『スターゲイザー』著者の6月に出た本。 性格的にも生活面でも一人立ちが難しい 主人公が急な出来事で窮地に立た…

母たちを呑む中受の荒波『トロフィーキッズ』(尾崎 英子)

中学受験って残酷よね、親の未熟さまでもが炙り出されるんだから。(本文より) 中学受験が題材の『きみの鐘が鳴る』で 一躍注目を集めた著者が描く、今まさに 連載の佳境を迎えている中受小説ですわ。 今作は3人の母たちの視点で描かれるよ。 新小5あたり…

感受性を豊かにする『真昼にも星が光ると知ったのは』(梨屋 アリエ)

あのう、障害のある人は、障害のない人とは対等の友だちにはなれないと思いますか?(本文より) 今日は来月20日発売の作品を紹介する。 人間関係の困り感を抱える中学二年生の 世界が思わぬ流れで広がっていく話だよ。 視覚や聴覚の障害、それと発達系ネ…

自然体の親しみやすさ『短編小学校neo うちのクラスに天才子役』(吉野 万理子)

同じ六年生なのに、別世界から来た人みたいだ。(本文より) たまに入試で見る作家の出たばかりの本。 タイトル通り学校に芸能人が来ることで 巻き起こるちょっとしたドタバタの中で 子どもたちが解り合い、成長していくよ。 基本、クラスには心優しい子が多…

黒い雨と白い灰、その過ちに終止符を『翠雨の人』(伊与原 新)

先のことはわからないけれど、わたし、純粋に科学の勉強に打ち込んでみたい。勉強したことは、きっと社会の役に立ててみせます。(本文より) 科学のチカラを見直すきっかけになる本。 地学小説で知られる伊与原先生の新作だ。 女性研究者の先駆的な存在に光…

犬嫌いさえもらい泣く『ぼくとコテツの最後の3ヵ月』(槻木 こえだ)

今までコテツが、家族みんなを元気づけてくれたように、今はみんなでコテツを支えないといけないよ。(本文より) くまおり純先生の絵も魅力的なこの一冊。 生まれたときにはもう家にいたコテツと 家族同然に暮らしてきた少年が描かれる。 犬には幼少時トラ…

あまねく輝け!『われらみな、星の子どもたち』(増山 実)

何気ない日々が掛け替えのないものであった、と、人はいつも失った後に思い知る。(本文より) 桜蔭、サレジオ学院の出題で注目された 増山実先生の7月に出た素晴らしい本だ。 もうじき60歳になる男が病床の親との やりとりの中で思わぬ事実を知る筋書き…

アチラ側との境目に『こだま標本箱』(谷 瑞恵)

どこかでみんな、この世は見えている世界だけじゃないと信じたがっている。(本文より) 『神さまのいうとおり』の中に入ってた 短編『猫を配る』が突如入試頻出になり 注目を集めた著者の来月発売される新作。 今作も不思議要素が混じるお得意な筋だ。 物の…

胸に残る逸話たち『65人のこどものはなし』(光村図書出版 編)

だけど私は、自分が友だちを仲間外れにしようと画策する少女だったことを忘れてはいない。(『まこっちゃん』の本文より) 季刊児童文芸誌の『飛ぶ教室』に載った 短いエッセイなどを集めた作品集ですわ。 一話三分かからないから集中が切れない。 作家の意…

心を抱きしめてくれる『その本はまだルリユールされていない』(坂本 葵)

七月の小学校の図書室は、夏休みに向けての準備で大忙しになる。(本文より) 3月に発売されて気になっていた作品だ。 生きづらさを抱えていた27歳の司書が 奇跡のようなステキな出会いに恵まれて 自分らしく生きられるようになっていく。 ひとことでいう…

正義をまとって突き進め『ぼくは刑事です』(小野寺 史宜)

人は一度汚れたらもう終わりなのか。汚れは落とせないのか。(本文より) たまに入試で見る作家の5月に出た作品。 題名で刑事モノと思うかもしれないけど 事件を追うのではなくて良識ある青年の 日常を追うような地味かつ沁みる物語だ。 まあ表紙が見事にイ…

声も、心も、一つに重ね『中三・ラプソディ』(花里 真希)

中学生なんて自分のことしか考えない時期だもん。(本文より) カナダ在住作家の来週なかばに出る作品。 歌が苦手な少女が合唱を頑張る物語だよ。 期待に応えなきゃという思いに縛られた 少女が気づきを得ていく流れがGООD! 主人公じゃないんだけど、面白…