中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2025-11-01から1ヶ月間の記事一覧

夢をカタチにする仕事『千年先のあなたへ』(佐藤 まどか)

まあ、でも、お願いしたことに対して、自分が一生懸命努力するから、かなうのかもね。(本文より) 今日は佐藤先生デーのようになってるが これは9月に出た匠シリーズ第二弾だよ。 寺社建築という全く未知の世界の空気を 物語で味わえるのがこの作品の魅力…

届け!天使の言葉たち『少年と悪魔』(佐藤 まどか)

五年生の十月までは小学校に通っていた。(本文より) 公的援助の手が届かない居所不明児童の 過酷すぎる生き様がリアルに描かれた本。 秋から冬にかけて怒涛の出版をされてる 先生の先月発売された衝撃作になるよ~。 クズの見本のような男の元で生きるしか…

はじめて知る親のリアル『あなたが僕の父』(小野寺 史宜)

そう、僕は一度はっきりと父を見限ったのだ。(本文より) 心温まる作風の先生が8月に出した本だ。 すれ違ってきた父と子の関係性の変化が しっとりと描かれたストーリーだったな。 平穏な日常に訪れるちょっとした危機に 主人公が清く正しく向き合うような…

傷と向き合う覚悟『いちばんうつくしい王冠』(荻堂 顕)

この劇は、なに?あたしたちは、なんのためにこんなことをさせられてるの?(本文より) 中2男女が連れ去られ強制的に演劇特訓。 10月に発売されたミステリ調の作品だ。 軟禁されるなかでバラバラだった8人が 自身の過去を客観視し絆を深めていくよ。 俺…

哀しき遠吠えが耳を奪う『おまえレベルの話はしてない』(芦沢 央)

僕らは奨励会に入るとき、自分たちは人間でないのだとたたきこまれる。(本文より) 稀に入試で見る作家の9月に出た作品だ。 描かれるのは将棋に全てを賭けた二人の 対照的なようで通じるところもある人生。 ふてぶてしい強者を想像する題と絵だが 登場する…

不条理へ放たれた矢『やさしい雪が降りますように』(桃実 るは)

本当に、何の前触れもなく、落とし穴みたいに床が抜けて、奈落の底に落とされるんだ。(本文より) 氷室冴子青春文学賞の準大賞作品だよ~。 読み終わって何て言ったらわからず放心。 あまりに過酷な現実に光を当ててるから。 ただ、後味がいいってことは断…

情熱を世界に刻め『サバイブ!』(岩井 圭也)

この先何年生きられるかなんてわからない。やりたいこと以外に時間を使う気はなかった。(本文より) わりと入試で見る作家の8月に出た作品。 若者たちのユニークな起業を描いた話だ。 最高の相棒と個性派揃いの仲間とともに 癌からサバイブした青年が奮闘…

見えない壁を爆破!『世界はきみが思うより』(寺地 はるな)

“難病の美少女”の実態を、よく見ときなよ。あんたが大好きなきれいな小説や映画とは違うから、ほら。(本文より) わりと入試で見る作家の11月の新作だ。 周囲の考える普通との違いを抱えながら 人知れず苦悩する人びとが描かれている。 溢れるほどの多様…

出色、異色のアンソロジー『最初の星は最後の家のようだ』(太田 愛)

あの頃は、僕たち三人がばらばらになるなんて想像もしなかった。(本文より) 体温が下がり心拍数の上がるストーリー。 選書シーズンに書店で平積みだった本だ。 社会派らしいエッセンスが入っているよ。 とくに衝撃的だったのは7歳のふたりが まさかの事態…

ままならない世界で足掻く『右から二番目の星へ』(水庭 れん)

ただのページの束に、壮大な知識の海が広がっていた。(本文より) 中学受験界隈で手垢のついてない著者の 9月に発売されたメガトン級の作品だよ。 今回の本は問題文に使えそうなくだりが 秋以降に出た新作では最多となる9箇所。 中受物語文は圧倒的に女性…

思い出を胸に抱きしめて『嵐の中で踊れ』(一木 けい)

いちばんやさしくしてほしい人が、いちばん苦しめるのはなぜなんだろう。(本文より) 約40日後の12月25日発売予定の本。 これは小学生には見せられない系だけど マスク依存の中学女子の葛藤であるとか 恋に悶絶する高校男子も出るんだよな~。 青々と…

端正な心が目を引く『星の花』(濱野 京子)

わたしの十五歳は、辛い日々だったけれど、同時に世界の明るさを知った年でもあったのよ。(本文より) たまに入試で見る作家の6月に出た作品。 ファンタジーだが割と現実寄りだったわ。 俺なんかにもすぐ入りこめて助かったな。 国同士の争いに子どもたち…

未来は塗り替えられるから『9月1日の朝へ』(椰月 美智子)

「・・・・・どこで間違えたんだろう」思わずつぶやく。自分は一体、どの時点で間違えたんだろうと。(本文より) 頻出作家の8月20日に発売された作品。 これはもう少し早く出てほしかったな~。 異質な家族のこれまた変わった生き様を 驚くほど繊細に描…

どこまでも行ける気にさせる『ポジション!』(高田 由紀子)

使えるもの、全部使って自分を出し切れ。(本文より) 佐渡島が好き過ぎる先生の先月出た作品。 今作は個性あふれる少年達の成長物語だ。 ちぐはぐ感のあるミニバスケのチームが だんだん形を成していくさまが熱いよ~。 スポーツ物ってしょっぱなから熱血だ…

胸に残る確かなよろこび『聞こえない羽音』(舟崎 泉美)

がんばったって、耳のせいでどうせうまくいかないんだったら、がんばる意味なんてないって思うようになった。(本文より) 10月の期待の一冊に選んだ作品の紹介。 主人公は小学校時代から難聴が始まって 大好きなバドミントンをやめた中二女子。 聴こえな…

誰かの生存確率を押し上げる『空木の庭』(いとう みく)

わたしは無意識に友だちと近づきすぎないように距離を取るところがあるのかもしれない。あの日からずっと。(本文より) もうじき発売されるいとうみく先生の本。 これは世のため人のためになる物語だよ。 最初に断っておかないといけないことは 今回のレビ…

満ち足りた心で『あの日、ともに見上げた空』(黒田 季菜子)

あのね、あたしみたいな子ってさ、はじめての場所に行くと、そこにいる子たちにわっと注目されるの。(本文より) これは安心して子どもに渡せる系の物語。 もうじき出る小川未明文学賞大賞作品だ。 去年もやさしさあふれる小説だったけど 今年もその傾向は…

らしさ全開の連作集『呼人は旅をする』(長谷川 まりる)

まずい。あかりは言ったそばから後悔した。でも、一度言ってしまった言葉は、とりけせない。(本文より) 昨秋発売された中学受験鉄人会の推奨作。 かつてうちの受験生もコチラの推し本に 志望校の本番で助けられたことがあるよ。 特殊設定が活きる筋書きは…

ほんのりラグジュアリー『クロエとオオエ』(有川 ひろ)

頼任さん学生の頃モテたって聞いてますけどその割に恋愛偏差値20くらいしかなくないです!?(本文より) 宝飾品業界が舞台となるお仕事&恋愛物。 『阪急電車』でも知られる作家の小説だ。 貧困とは対極にある世界が描かれていて 見慣れている本とは別物で興…

出題されるかもしれない新刊本(2025年11月前後)

11月は2027年入試向け暫定首位の 作品を含め盛りだくさんのラインナップ。 寒い冬をぽかぽか温かくする本が続々だ。 寺地先生の新作はかな~り強そうな予感。 中受未注目作家では日野先生が期待度大。 ま、以下のリストは殆どが未読なゆえに 出題向き…

痛いほどの向かい風でも『ツバメの親子はどこにいる』(樫崎 茜)

小六の夏休みの塾通いの目的といえば、ひとつ。中学受験をするためだ。(本文より) 名作『手で見るぼくの世界は』の著者が 描いた差別を考えるきっかけになる一冊。 『手で見る~』は今年少なくとも三校で 出題されていてテーマも近いものがある。 本作は視…