中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2025-12-01から1ヶ月間の記事一覧

互いを認め、高め合う『ふたりのマンガ線』(庭野 るう)

中学受験をするぼくとはちがう世界にいるんだって、勝手に線を引いていた。秘(ヒメル)にだけじゃない。だれに対してもそうだった。(本文より、錬磨の心情) 約3週間後に発売されることになってる フレーベル館ものがたり新人賞大賞作品。 この賞は村上雅…

人間力がえげつない『君が夏を走らせる』(瀬尾 まいこ)

2017年の発売だがよく出ている作品。 『あと少し、もう少し』の大田君の話だ。 彼の性格の良さが滲み出るストーリーで 読んでいてめっちゃ心が癒されるんだわ。 不良のようなナリをしている16歳だが 作問する先生にも愛されてるってことだ。 さすがの…

大輪よ、法曹界に咲け『ひまわり』(新川 帆立)

同情されたくないから。大丈夫と言うしかなかった。(本文より) 東大卒、弁護士資格もある著者の感動作。 不慮の事故で重度障害者となった女性が 困難を乗り越えて難試験に挑戦する話だ。 頑張ることの美しさがマジ伝わってくる。 これは書店での平積み期間…

挑戦心を焚きつける『あめつちのうた』(朝倉 宏景)

環境をかえたいときは、もう思いきって向こう側に飛びこんじゃうしかないんだよ。(本文より) 2020年に発売された入試頻出作品だ。 これは高校入試での採用も多かった模様。 高卒で甲子園整備を請け負う阪神園芸に 入社した青年と仲間の成長物語になる…

決意の火が灯るとき『凜として弓を引く 覚醒篇』(碧野 圭)

勝っても負けても、勝負の場に立って自分を試したい。(本文より) 楽しい弓道物語の9月に出た続編だよ。 このシリーズは1作目が出題実績あり。 描かれるのは高校弓道のラストイヤー。 レビューを見ているとなぜ覚醒篇だか わからないという声が多いが主人…

年月を超えて親しまれる『一〇五度』(佐藤 まどか)

中学生が本気でデザインに向き合う作品。 2017年の作品だが長く愛されている デザイナーの著者にしか描けない小説だ。 今年もどこかの入試で出ていた気がする。 これは将来について思考を深める上でも 役に立ちそうなストーリー展開だったよ。 難易度は…

ふしぎな出会いから始まる『ぼくへのレファレンス』(岩崎 まさえ)

ないと決めつけたり、先入観を持ったりせずに、とにかく調べてみます。(本文より、図書館司書がレファレンスの理念を語るくだり) 真実の重みが身に染みる中学年向けの本。 自己主張が弱めの少年の変化が楽しいよ。 図書館で調べものをするのもいいんだが …

骨の髄まで沁みる人情『阪急電車』(有川 浩)

発売されたのは2008年と相当前だが 長年出題され続けている名作中の名作だ。 恋愛要素が多めの連作短編集なんだけど めっちゃ人のやさしさが沁みてくるから 世の中捨てたもんじゃないって気になる。 自分も困っている人を助けなきゃなって 気持ちを後押…

セイレーンも真っ青な『小麦畑できみが歌えば』(関 かおる)

わかる。あんなふうに歌えたら、ぜったいに気持ちいい。(本文より) 気鋭の若手作家の11月に発売された本。 6年生でオペラに出会い、憧れた少女が 夢に向かって動き出すってストーリーだ。 友人の意識の高さや豹変するライバル等 オーディションをめぐる…

終わらない核の脅威『13月のカレンダー』(宇佐美 まこと)

戦争が終わりさえすれば、また勉学の場に戻れるのだ。そう信じていた。(本文より) 7月に発売された出色の戦争文学作品だ。 長きにわたり人を苦しめる原爆の恐怖が 心臓を鷲掴みにするもの凄い作品だった。 特に勤労動員で国鉄で働くことになった 中学二年…

伸び盛りの心『マナティーがいた夏』(エヴァン・グリフィス)

「人にやる気を出させるの、得意なんだ」(本文より) 責任感が強い11歳男子のひと夏の物語。 発売は2024年だが今年度の高学年の 読書感想文全国コンクール課題図書だよ。 途中まではなんで選ばれたのかわからず 正直、戸惑ったんだが後半が抜群にイイ…

現実社会を映し出した『八月のセノーテ』(大原 鉄平)

貧乏で一番しんどいのは、腹が減ることや。逆に、腹が膨れたら、石を投げられようが、借金取りに追われようが平気になる。(本文より) 入試では見たことのない作家の7月の本。 タイトルで戦争文学と連想したが違った。 あらすじから想像するSFとも少し違…

ダイレクトに響く歓喜『ぼくたちの歌』(辻 貴司)

ぼくの夢が、向こうからかけ足でやってきた。(本文より) 小学生がバンドを組む珍しいストーリー。 小学6年生が憧れを現実にしていくよ~。 感情がくるくる動く部分はいかにも男子。 バンドが始動するまでのワクワクが凄い。 初めての音合わせとかステージ…

涙は海に消えて『ハレーション』(森沢 明夫)

いろいろあるさ。あたしらは青春ど真ん中だもんな・・・・。(本文より) 人生の主導権を握る大切さを実感できる わりと入試で見る作家の10月の作品だ。 みんな顔見知りというせまい南国の島で 親友同士だった面々が辛い過去を超えて 真正面から向き合うと…

女子アスリートの未来を照らす『スウィッシュ!』(藤ノ木 優)

勝てない勝負はしない。大それた冒険はしない。そんな娘だと思っていた。(本文より) 10月に出た熱量たっぷりのバスケ小説。 お医者様が書いた作品ということなんで やっぱし怪我や診察の描写が精緻だわ~。 純粋に青春小説として面白いのみならず 健康問…

桜蔭の先生に選んで欲しい名作たち【2026年入試版】

桜蔭はド新作を使ったりするので有名だ。 事実、前年9~11月発売の本も出てる。 問題作りには相応の時間がかかるゆえに これはなかなかできない芸当なんだな~。 2021年出題 前年の11月14日発売『あしたのことば』(森 絵都) 2022年出題 前年の9月8日発…

ミックスルーツの憂いを包む『ヨコスカストーリー』(花形 みつる)

自分に集中する視線を、「何か?」みたいにケイティが不敵に見返した。教室が静まり返った。(本文より) ハーフって呼び名が適切か解からないが 今の価値観で複数のルーツを持つことは プラスに捉えられることが多い気がする。 本作は世の中がそうなるより…

さぁ、人生を教わろう♪『オーサム!国語塾』(清水 晴木)

・・・あの、おれ別に中学受験とかしないですけど。(本文より) 物語を読むことで国語力が補強される本。 こんなに楽しい参考書はないと思うな~。 きわめて基礎的な話に絞ってあるんだが それでも国語が苦手な子は目から鱗かも。 物語ゆえの伝わりやすさっ…

旅のワクワクが伝わってくる『チング! 夏のともだち』(八束 澄子)

毎年ぼくは、夏休みの終わりは作文に泣かされる。だって書くことがないんだもの。ところが、今年はちがった。(本文より) たまに入試で見る作家の10月に出た本。 行き当たりバッチリってソラモリさんの 言葉を地で行くような父親に連れられて 小5男子が…

小さな祈りを広く世へ『あの冬の流星』(朝倉 宏景)

僕、また、学校に行けるんだよね?(本文より) 『あめつちのうた』が頻出の先生の新作。 これは今年俺が最も揺さぶられた本だよ。 幸せな4人家族で暮らしていた男の子が がんに冒されちまうっていうストーリー。 俺、若い主要キャラが病気になる話には 引…

【番外編】2026年高校入試 国語出典予想20選(2025年1月~2025年10月発売)

今年も高校入試版の予想を作ってみたよ。 中・高入試ともに選書の傾向は似てるが、 高校は秋発売の作品も割と出ているから、 中学入試版とは違は少し顔ぶれになった。 平易な作品をカットしたのも相違点だわ。 高校入試の国語出典予想20選 (タイトルによ…

転換点に息を呑む『君と綴る明日』(日野 祐希)

書き上げた渾身の駄作を見ながら、修司は満足げに頷いた。(本文より) 入試で見たことのない作家の先月出た本。 目標を見失い心に蓋をしていた男の子が 驚くような展開で変わっていく物語だよ。 青々とした感謝のラリーが心地よかった。 文芸志向の少年と少…

みんなの想いを力に『そして少女は加速する』(宮田 珠己)

部活も受験も、大事なのはそのとき自分で選び取ったものかどうかってことだとあたしは思うんだよ。(本文より) ものすごい作家が彗星のごとく現れたよ。 これは9月に発売されたスポ魂青春小説。 5人の個性バラバラな陸部高校生たちが リレー競技に向き合…

2026年版リストを完成させた

2026年入試版出典予想ランキングに 10作品を追加してベスト100にした。 【2026年入試版】国語出典予想ランキング(2024年9月~2025年8月発売) 今回の追加作品リスト 28位 『9月1日の朝へ』(椰月 美智子)48位 『星の花』(濱野 京子)54位 『…

理想の学びへの手がかり『デモクラシーのいろは』(森 絵都)

自分はあまりに無知だった。あの長い戦争が成長期の少女たちに与えた傷を軽視しすぎていた。(本文より) 歴史や教育に関心がある人に推せる一冊。 中受界隈では大御所の森絵都先生の本だ。 舞台は戦争の傷跡残る昭和21年の東京。 米軍所属の日系人が若い…

出題されるかもしれない新刊本(2025年12月前後)

新刊ラッシュはそろそろ小休止する感じ。 成瀬シリーズ最終巻はいくつかの短編を 読んだ限りではかな~り強力ゆえ最注目。 成瀬シリーズのレビュー済み短編 待ってたのは、コレ!『やすらぎハムエッグ』 歩けよ黒髪の成瀬『実家が北白川』 会計畑の成瀬『ぼ…

無二の熱量にあてられる『天上の火焰』(遠田 潤子)

僕はときどき思うんじゃ。お祖父ちゃんがお父さんだったらよかったのに、って。(本文より) 中学入試ではほぼ見ない作家の9月の本。 エモさも驚きも抜群のストーリーだった。 これはもの凄いポテンシャルがあるわ~。 描かれるのは窯元育ちの少年の成長だ…