中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2026-03-01から1ヶ月間の記事一覧

異国情緒が心地よく薫る『リデルハウスの子どもたち』(佐原 ひかり)

知識は手足だ。世界に触れ、世界を歩き回るための。(本文より) 悪魔的に面白い著作なんかもある作家の 昨年秋に発売されて話題を呼んでいる本。 特殊能力を持った子どもたちを軸にして ミステリアスな学園の秘密に迫ってゆく。 選抜生たちの特権の使い方が…

魂を白球に込めて『キャッチボール』(松井 尚斗)

大切なことは、いつも、仲間が教えてくれた。(本文より) 熱く楽しい野球を描き上げたストーリー。 12月に出た人気ユーチューバーの本だ。 自信過剰な選手が挫折を乗り越えるため 思い切った変化を受け入れていくんだわ。 神様的待遇の監督や理不尽な上級…

夜の保育園でキラリ『まどろみの星たち』(菰野 江名)

先生、幸せなおうちで育ったでしょ。お勉強して保育士になったんでしょ。だからわかんないんだよ。(本文より) 今月発売された話題性に富んだ作品だよ。 保育士って仕事の尊さにマジ震えたわ~。 24時間預けられる新宿の保育園が舞台。 苦悩を抱える二十…

特別への第一歩『おやすみ、悩み糸』(久米 絵美里)

自信にあふれた母親ほど、おそろしいものはない。(本文より) 著者の嘘吹きシリーズは勉強になったわ。 疑わしい情報ほど拡散されやすいだとか マジでここんとこ実感させられているし。 さて、今日紹介するのは年末に出た本だ。 ほんのり不思議要素が混じっ…

世界の中心にコトコ『古都琴子は好きに生きるので、あしからず』(汐見 夏衛)

「その和訳、私がやっていいですか?反抗的な態度とっちゃったんで、挽回させてください。これで態度点プラマイゼロですよね?」(本文より) やりたいことしかやらない転校生女子が 我が道を闊歩しつつ周囲を巻き込む話だ。 好かれたり嫌われたりと忙しいそ…

トー横幻想をぶちのめす『少女と毒』(佐藤 まどか)

あんたさ、このままここにいると、人生終わるよぉ?(本文より) イタリア在住作家の2ヶ月後に出る本だ。 軽い気持ちで危険な場所に流れつく子を 物語の力で救いうる作品だと感じたわ~。 主人公はヤバ過ぎキラキラネームの中2。 父を亡くし母に邪魔者扱い…

だれもが語り部になれる『わたしが戦場にいる』(小手鞠 るい)

祈っているだけでは、平和は実現できません。(本文より) 凄い勢いで執筆されている小手鞠先生が 古今東西の戦争作品を紹介する企画だよ。 断片的な引用でも綺麗に繋ぐ解説があり 各作品の主旨がすんなりと沁み込むよ~。 この本のお陰で意外な作家さんが戦…

学びの神髄ここにあり!『コズミック・ガール 宙わたる教室』(伊与原 新)

あの男は、もう恩師じゃない。裏切り者だ。(本文より) 直木賞受賞などでいま勢いのある作家の 約1ヶ月後に発売される本を紹介するよ。 ドラマ化され話題を呼んだ前作はなんと 先月の東大の地学入試に使われたそうだ。 今作では例の科学部が廃部になってん…

大人の心の通わせかた『贅沢な関係』(川上 佐都)

そうやって陽気でいることが、学校という世界でうまく世渡りするために必要なことだと思ったのだ。(本文より) いろんな種類の友達関係を描いた短編集。 たまに入試で見る作家の本日発売の本だ。 ライフステージの移ろいとともに変わる 関係性のなかに気づ…

おいしすぎる助っ人『給食のおばちゃん 食べるのは苦手』(山口 恵似子)

ホルモンとは大阪でいうところの「放るもん」、つまり捨てるものが縮まった言葉です。(本文より) 食のことならお任せあれ!の山口先生が 得意ジャンルで児童書界に降臨するよ~。 発売は来月20日頃というスケジュール。 子供たちに大人気の給食のおばち…

ワクワクのるつぼ『自分だけの秘密』(日本児童文芸家協会 編)

人は、決して誰かのものにはならない。そんなあたりまえのことさえ、見失っていた。(本文より) 10分後にココロに効くと銘打っている 文学賞作家がゴロゴロ並ぶアンソロジー。 サラリと読めるのに余韻が深いんだわ~。 これは本好きでないティーンズにも…

何度吹いたことか!『しらんけどな』(村上 しいこ)

僕、明日デートなんですけど。女子から、きゃーすてきって、思われるような服、ありませんか?(本文より) 楽しさ全振りの軽~い作品だろ?という 事前予想はものの見事にハズレちまった。 楽しい上に濃いぃストーリーだったわ~。 とくに進路に迷う女の子…

原石あらわる『あなたが走ったことないような坂道』(有賀 未来)

ひとりきりのあたしは、どこまで行けるんだろう。どこが限界なんだろう。(本文より) あと2週間ちょっとで発売予定だという 東京出身の高3が初めて書いた長編小説。 高校の国語の先生に小説を書いたら?と 薦められ書いてみたら新潮新人賞かいぃ。 んなバ…

あなたは私のスペシャル『エリーは波にうかぶ』(ジェイミー・サムナー)

どうして、普通でいさせてくれないの?(本文より) 車いすユーザーの葛藤を描く児童文学だ。 主人公はアメリカ南東部で暮らす女の子。 何もかもが思い通りにならない苦しみが 心の深層に直接沁みてくる物語だったな。 特に刺さったのは認知症の祖父の吐露だ…

妄想力が驀進中!『spring another season』(恩田 陸)

なんつう邪気のない笑顔を見せる奴なんだ。よっぽどおめでたい温室育ちなのか。(本文より) 入試に出たことのある作品のスピンオフ。 前作を知ってる前提で書かれているけど 知らなくてもある程度はついていけたよ。 第一話は主要キャラ集結の祭典なんだが …

秘密渦巻く『ルカとチカ』(長野 まゆみ)

その生徒はとてつもなく賢い。にもかかわらずそれを半分ほど隠ぺいしているの。(本文より) 微笑ましい家族愛とジェンダーを描いた たま~に入試で見る作家の2月に出た本。 世間一般で言う普通からド派手に外れた 個性のほとばしりに圧倒される一冊だわ。 …

出題されるかもしれない新刊本(2026年3月前後)

3月も惹かれる作品の登場が続きまっせ。 既読の本では川上先生の短編集がナイス。 寺地先生の新作は大人に薦めたい一冊だ。 一部既読では日本児童文芸家協会が強力。 如月先生、額賀先生も出ている企画だよ。 新人では高3男子という有賀先生に期待。 これ…

堂々完結!新たな中学受験小説『トロフィーキッズ』(尾崎 英子)

「行ってらっしゃい」そう言ったとたん、美典は身体の深部に衝撃を覚える。胸の奥底に抑え込んでいた、静かな感情が破裂した。(本文より、志望校に送り出すパート) 以前、連載途中でレビューした中受小説。 今なら最後まで読めるので超お薦めだよ。 やっぱ…