現役塾講師という小説家のデビュー作。
個別指導塾講師で家庭教師もする主人公が
派遣先の家庭などで奮闘するストーリーだが
受験がらみのシーンはそんなに多くない感じだ。
いつもみたく、ちょっとばかし要約してみようか。
結婚で心に深い傷を負った主人公は、生きるために知り合いのつてで受験指導の仕事に就きます。
彼女が家庭教師として訪問した家庭は、幸福を絵に描いたような家に見えましたが、その内実は全く違ったものでした。
容姿や頭脳から優しい両親まで、幸せになるための要素を全て持っているように見えた教え子の少女は、指導しようとする主人公に冷たく言い放ちます。
「時間までいたことにしてあげますから、もう帰っていいですよ」
家を後にするしかなくなった彼女でしたが、教室長との会話の中で子どもと真摯に向き合えていなかったことに気づかされ、覚悟を決めて再び少女と対峙するのでした。
(以上、注目の場面を要約)
義母の徹底的なイビリなどで心を病みかけた主人公が
仕事を頑張ること通じて自分を取り戻していく話だ。
並の小学生には歯がたたなそうな内容ではあるが
このレベルの小説も難関校では出てるんだよな。
まぁ、この誰もがノーマークであろう作品が
出題者の目に留まるかどうかは微妙だが。
因みに、偏差値60台後半の子について
述べた以下の言葉は、著者の経験に
裏打ちされた真実なんだろうな。
「あの位置にいる子が上がるのは難しいが、下がるのは簡単だ。」(本文より個別塾教室長のセリフを引用)