中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

見て見ぬふりに一石も二石も投じる『だれもみえない教室で』(工藤 純子)

キレイな装画だがこれで決まりとは限らない?(NetGalleyにて読了)

 

来月26日発売予定の気になる新作だが、

先に読ませてもらえたんで記事にするわ。

 

少年4人と新米教諭が主人公という物語。

 

連作短編の視点が子供→大人へ切替わる

ところや文章の難易度は駒場東邦で出た

『あした、また学校で』と近い感じだな。

 

2024年入試版の出典予想を作ったら

真ん中よりも上に載ることになるだろう。

つまり注目作品の一つということになる。

 

まぁ入試とか関係なしに学びの多い本だ

 

ただし、一点だけ大事な点を注意しとく。

 

中学受験の勉強を無理にさせてる場合

大人が読むべきである反面、子どもには

この本を読ませないほうがいいかもな?

 

ネタバレ禁止条項で詳しく書けないけど

まぁ、読めばわかるとだけ言っておくわ。

 

いつものブックレビューはまだないんで、

出版社に送った感想を以下に付けとくよ。


 
トラブルを見て見ぬふりでいいのか?

何もしないのは同罪なのではないか?

 

一貫してこんな疑問を投げかけてくる作品でした。

いじめに対して自分はどうあるべきか、子どもが考えるよいきっかけになりそうです。

 

大人目線では、子どもの声に耳を傾けることの大切さを実感させてくれる作品でした。

主人公の一人が ”大人も、学校も、信用できない” と思いつめる場面がありますが、そうなるまで子どもを追い詰めないよう私も気を配りたいです。

 

子どもだけでなく、大人も含めて主人公を切り替える手法は『あした、また学校で』(2019.10発売)でも使われていましたね。

様々な角度から描かれることで、物語の全体像がよりクリアになるだけでなく、大人も感情移入しやすくなっています。

 

そして、子どもの成長を描く児童書はよくありますが、この作品では大人も成長します。

誰にでも気づきがあると思いますので、幅広い層に読まれて欲しいですね。

 

こんな素敵な本を世に送り出していただけるのが、ただただ嬉しいです。

 

『だれもみえない教室で』|感想・レビュー