友だちに人の悪口を言って欲しくないと
感じる少女の人間性が刺さりましたわ~。
児童ペン賞、日本児童文学者協会賞など
この1年ほどで様々な賞の受賞歴がある
天川栄人先生の6月発売の新作2冊目だ。
この先生はここ数年で入試に出るように
なってきていて界隈でも知られつつある。
今期も先生の本を何冊か紹介しているが、
その中では最も素材文にしやすそうだよ。
序盤から少女の苦しい心情で始まるけど、
出会いをきっかけに彼女は変わっていく。
心が晴れわたる場面が待ってると信じて
つらい部分の先へと読み進めて欲しいな。
間違いなく得るものがあると思うからよ。
文章難易度は普通で中学入試標準レベル。
素材文適性がMAXなのは終盤の見せ場。
今回は長めのレビューで後押しするッス。
冷や水をぶっかけられた!
バッチリ目が覚めましたよ。
私自身がまさに、主人公たちを
苦しめる大人たちのような
思い込みを抱いていたので。
なんて浅はかで、想像力が
足りてなかったんだろう・・・
いま、この本に出逢えたことに
感謝します。
主人公は食べることにまつわる
苦痛を抱え込んだ二人の中学一年生。
周囲から理解されない悩みに
押しつぶされそうだった彼らが
関わり、刺激し合いながら
学校のルールという大きな壁に
立ち向かう勇気を培っていきます。
掴みどころがないようでいて
一本筋が通ってる変人先生の
立ち回りが素晴らしかった!
豪胆女子が序盤を疾走させ
従順女子が後半を引っ張るという
ストーリーの吸引力もヤバイ!
そして、教室で立ち上がる場面の
気迫と友情のきらめきたるや!
食にまつわることに限らず、
周りに目を配り、想像を働かせて
誰かに寄り添う気持ちを
育んでくれそうな一冊ですね。
十代向けに書かれた書籍ですが、
すべての教育関係者と親たちにも
力いっぱい薦めたくなりますよ。
私は「ちゃんと食べないのは甘え」
などと決めつけることの愚かしさを
この物語のおかげで思い知りました。
食べるのに苦労してるのは、君たちだけじゃないですよ。(本文より)