中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

その強さの源は『明日、晴れますように 続七夜物語』(川上 弘美)

そりゃね。簡単にイジメをやめさせることができるくらいなら、最初からイジメは受けないよね。(本文より)

 

芥川賞選考委員を務めるような大御所で

中学入試ではあまり見ない先生の新作だ。

 

成長過程の真っただなかで葛藤しまくる

小学四年生の少年と少女の日常を描くよ。

 

長編ファンタジーだった作品の続編だが

先にこちらを読んでも大丈夫ではあった。


中盤までは不思議要素はあんまりないよ。

 

もしも入試問題にするならって視点だと

自由に思考が跳ぶ少女視点のパートより

少年視点のパートの方が素材によさげだ

 

素材文適性はゆるやかに上がって行って

いじめ・犬が話題になるあたりが頂点

不思議要素が濃くなる後半に下がる印象。

 

ま、今期のダークホースにはなるだろう。

 

オレが特に惹かれたのは二人の個性だよ。

 

未知の物事を思考と電子辞書で補う少年、

いじめにもどこ吹く風といった体の少女、

二人のゆるやかな関係性の変化に注目だ。

 

以下はオレのレビューの要約バージョン。

 

主人公は4年生の大らかな少年と危うげな少女。

問題をはらみつつ流れていた2人の日常が、夢のような出来事などをきっかけに、うっすら変わる兆しを見せていきます。

人に悪意をぶつけると自分自身が削られるといった、いじめに対する記述には共感しかありませんでした。

正直、後半のファンタジックな展開にとまどいもありましたが、成長とともに揺れる二人の関係性にはグイグイ惹かれましたよ。

特に少年が決然と走り出す場面までの心情がイイ!

10歳の名コンビの行く末、ぜひその可能性に満ちた未来を堪能してみてください。

 

『明日、晴れますように 続七夜物語』感想・レビュー

 

書店の一般文芸カテゴリで平積みされているので、熱心に作問選書をする先生なら気づく(2024/6発売)

 

いやいや。イジメっていうのは、その内容や程度と関係なく、そもそも美しくないところが、だめだ。(本文より)