そりゃね。簡単にイジメをやめさせることができるくらいなら、最初からイジメは受けないよね。(本文より)
芥川賞選考委員を務めるような大御所で
中学入試ではあまり見ない先生の新作だ。
成長過程の真っただなかで葛藤しまくる
小学四年生の少年と少女の日常を描くよ。
長編ファンタジーだった作品の続編だが
先にこちらを読んでも大丈夫ではあった。
中盤までは不思議要素はあんまりないよ。
もしも入試問題にするならって視点だと
自由に思考が跳ぶ少女視点のパートより
少年視点のパートの方が素材によさげだ。
素材文適性はゆるやかに上がって行って
いじめ・犬が話題になるあたりが頂点で
不思議要素が濃くなる後半に下がる印象。
ま、今期のダークホースにはなるだろう。
オレが特に惹かれたのは二人の個性だよ。
未知の物事を思考と電子辞書で補う少年、
いじめにもどこ吹く風といった体の少女、
二人のゆるやかな関係性の変化に注目だ。
以下はオレのレビューの要約バージョン。
主人公は4年生の大らかな少年と危うげな少女。
問題をはらみつつ流れていた2人の日常が、夢のような出来事などをきっかけに、うっすら変わる兆しを見せていきます。
人に悪意をぶつけると自分自身が削られるといった、いじめに対する記述には共感しかありませんでした。
正直、後半のファンタジックな展開にとまどいもありましたが、成長とともに揺れる二人の関係性にはグイグイ惹かれましたよ。
特に少年が決然と走り出す場面までの心情がイイ!
10歳の名コンビの行く末、ぜひその可能性に満ちた未来を堪能してみてください。

いやいや。イジメっていうのは、その内容や程度と関係なく、そもそも美しくないところが、だめだ。(本文より)