香蘭女学校の先輩から手渡されたバトンを手にして、走っているような気がすることが、いまでもある。(本文より)
50万部という売上は今期紹介作品首位。
前作は国内800万部、海外も含めると
2500万部という大大ベストセラーだ。
今作も手にした作問者は多いだろうな?
多動っ娘だったトットちゃんの後日談で
おもに11歳から先の人生が描かれてる。
個性的で面白いところは今作も健在だよ。
変に矯正されずに自分らしさを伸ばして
やがては芸能界で花開いていくんだわ~。
そのままでいいんだという言葉に救われ
天然全開で突き進むさまは痛快そのもの。
入試の素材文候補作としてみた場合にも
親しみやすい文章に親しみやすいキャラ、
いい先生にいい親という良さげな布陣だ。
戦争のことを書き残しておきたいという
著者の願いが込められテーマ的にもアリ。
これはどんどん選ばれて欲しい作品だわ。
またオレの全文レビューをつけておくよ。
トットちゃんのその後を描いた作品。
戦争が暮らしに影を落とす序盤から、もう心を奪われましたね。
家族を襲う悲劇、疎開への大変な道のり、慣れない土地での奮闘。
そんな中で、特に母の頑張りには目を見張るものがありましたよ。
元が恵まれていただけに、落差がこたえたはずなのに、それをものともせず子育てに身を砕く姿、自信に満ちた顔でトットちゃんたちを安心させるさまには、一つの理想像を見た気がします。
戦後の香蘭女学校での生活は楽しげでしたね。
お騒がせ少女のスクールライフでは、お寺での授業や颯爽とした先輩なども印象に残りましたが、何より身をもって毅然と生きる姿を示しながら教え子を導く先生たちが魅力的でした。
その薫陶は、進路も、就職も、自分を貫きながら突き進むトットちゃんに少なからず影響を与えたのでしょうね。
誰にも真似できない資質が開花する芸能界パートも面白い!
人とは違う個性が見いだされ、まぶしい舞台を駆け上がってゆくくだりでは泣きそうになりました。
良かった。トットちゃんが素晴らしい居場所を見つけられて、本当に良かったって。
読めばますますファンになる!
そんな一冊だと思います。
それはきっと、先生たちがとても生き生きとしていて、「頭をあげて人生を毅然と歩んでいく」ということを、身をもって示してくださったからだと思う。(本文より)