孤独で寂しい人をほっておいたら、それはもういじめだよ。相手に手を出すのもいじめだけど、手を差し伸べないのもいじめなんだよ。(本文より)
ポプラ小説新人賞の奨励賞受賞作だよ。
奨励賞だと通常は出版に至らないけど
改稿を重ねてバシッと仕上げたようだ。
読めばわかるが粗削りな新人じゃなく
むしろ手練れの作という印象を受けた。
特に中盤以降の疾走感がスゲェんだわ。
重い過去に圧し潰されそうな13歳が
長い旅路の果てに得るものに要注目だ。
国語の素材によさそうな箇所としては
親友が私立中に来た理由を明かす場面、
親友が家の事情を初めて明かす場面等。
探せば他にもあるんじゃないかと思う。
例の難易度分類ではやや難に相当する
本作のレビューはこんな感じで御座い。
優しさのこのうえない輝きに魅せられました!
「私に夢を持つ資格はない」
そう思い詰めていた少女が、後悔に向き合う遠大な旅路の中で、得難い経験を重ねながら息を吹き返していく物語です。
主人公の親友の志に痺れたわ~。
旅先で出会う人々も温かくって、読んでいて主人公と一緒に救われたような気持ちになれました。
この物語、没入感がヤバすぎる!
多くの要素が調和とともに封じ込められていて、ストーリーの進展にしたがって次々と開花してゆくさまには惚れぼれしましたよ。
すれ違い、バラバラになっていた家族の再出発のためにも、13歳の思い切った一歩は欠かせないものでしたね。
全幅の信頼がくれるエネルギーや、当たり前に享受してきたもののありがたみ、感謝を伝えることの素晴らしさなど、子どもたちに味わってほしいココロの栄養もたっぷり。
親目線では、主人公が旅先で出会う魅力あふれる大人たちのように、もっと子どもの気持ちに寄り添えるようになりたいと感じましたよ。
なにが一番大事なのか自分では案外わからないものだね。(本文より)