中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

傍観者から当事者へ『東京ハイダウェイ』(古内 一絵)

逃げろって言ったって、一体、どこに逃げろっていうんだよ。家にも学校にも逃げ場なんてないじゃないか。(本文より)

 

去年作った出典予想ランキング41位の

『百年の子』俺の最推しだったりする。

 

中学受験や発売日による補正抜きにして

好きな本を選ぶと序列は別物になるワケ。

 

5月発売の今回の紹介本もよかったわ~。

 

ままならない社会で大人たちが奮闘する

お仕事小説という建てつけなんだけどよ、

素材文適性◎の短編が一つ入ってんだわ。

 

『タイギシン』は厳しい現実を前にして

途方に暮れていた高1男子の転機を描く。

 

猛者と出会い導かれる少年の成長がイイ。

 

主役じゃないが強い女性キャラが眩しく

彼女との対話の中で少年が自分の弱さを

打ち明けるシーンが最適パートっぽいよ。

 

他の短編は子どもには取っつきづらいが

一つもハズレがなかったとは宣言したい。

 

難易度の分類では難しいにカテゴライズ。

俺のレビューはかくも推し推しモードだ。

 

成長するeコマース企業に関わる人々を描いたお仕事メインの小説。

窮地にある6人の男女が、ままならない現実に溺れそうになりながら、困難に立ち向かうすべを模索していきます。

都会のオアシスのような場所が浮上の糸口になるところがナイス!

主人公たちに共感し、肩入れしたくなる話ばかりでした。

脇役陣も凄い!

特に迷える高校生の目を覚まさせるボクサーの魅力にK・Oですよ。

短編集で全部のストーリーが素晴らしいって、ちょっと記憶にないんですけど。

これは生きづらさを抱える人々への強力な応援歌ですね。

しかも、この心癒される物語には、お手軽な東京の名所が盛りだくさんというオマケ付き。

元気をありがとう。

私もこの街で、自分だけの特別な場所を探してみたくなりましたよ。

 

『東京ハイダウェイ』感想・レビュー

 

物語の余韻も素晴らしい(2024/5発売)

 

多様性、多様性っていうけど、それを本当に容認できる環境が、完全に整っているわけではないんだもの。(本文より)