これが戦争なんだ。終わりはない。って
言葉が恐ろしいまでに胸に迫って来たよ。
わりと入試に出る作家の10月の新作だ。
描かれてるのは昭和28年からの数年間。
心に傷のある少年がその時代ならではの
経験や不思議体験を重ねて変わっていく。
子供には入り込みにくい時代背景だけど
たぶん序盤の事件にギュっと掴まれるよ。
素材文適性は3章から急騰していく感じ。
国語素材によさそうな箇所
三章◎叔父の誘いで養蜂の旅に同行する
四章〇叔父の秘密を知った主人公の告白
五章△終わらない戦争の傷跡を思い知る
六章△子犬たちの行方に気持ちが揺れる
八章〇女絵師とのかかわりで心情を吐露
九章◎ひとり叔父の肩を持つ少年の確信
文章難度は入試出題標準レベルだったな。
大人にも共感と学びがあるもの凄い作品。
オレの興奮冷めやらぬレビューがコレだ。
人にも自分にもやさしくなれる物語。
少年の世界が広がってゆくわくわく感に、読むほうも身が入りましたよ。
戦争の傷跡が残る時代の商家を舞台に、重いトラウマを抱える少年が荒波にもまれながら成長していきます。
傷痍軍人の話は私の心にもグサリと刻まれました。
子どもを子ども扱いしない養蜂家の叔父さん、魅力的ですね。
傷ついた少年のために、彼がする思いがけない働きかけが沁みましたよ。
女絵師のエピソードでは、二人して感情を吐き出す場面が圧巻でしたね。
さらにラスト。
鮮やかな締め方に震えがきましたよ。
失礼ながら変なタイトルだと思っていたのが「これしかない!」へ引っくり返る妙技。
ぜひ、その目で確かめてほしいです。
自分を許してやれ。悪いこともしていないのに自分を責めるんじゃない。(本文より)