軽々しく本音を見せないのは、自分の心を守るための戦略だ。(本文より)
講談社児童文学新人賞の佳作だった作品。
この年の新人賞は明らかに当たり年だわ。
大賞が凄かったのはもちろんのことだが
今回の紹介本も次に紹介する予定の本も
クオリティーがハンパじゃないんだもん。
親しみやすい文体に乗せて語られるのは
自分を偽って暮らしてた少女の変化だよ。
卑屈さを脱ぎ捨てた彼女に圧倒されたわ。
ちょっとしたきっかけでも人生は変わる。
そう教えてくれるこの本は年代を問わず
変わりたい気持ちを持つ人に刺さりそう。
俺なんかもその気にさせられちまったよ。
意識改革に導いてくれる稀有な物語だな。
素材文によさそうな場面を一つ挙げると
中盤の少女が本音を吐き出し合うくだり。
ここは最大の見せ場の一つでもあるよ~。
難易度は平易だし幅広い層に薦められる。
以下、本作にKOされた俺のレビューだ。
心の底でマグマのように溜まっていた感情が、ヒップホップとの出会いで大爆発!
主人公は“自称”小太り中学生女子です。
本心を隠して日々をやりすごしていた彼女が、素敵な巡り合わせで新しい世界に飛び込み、自分をさらけ出すよろこびに目覚めます。
突然に巻き込まれ鮮やかに彩られていく日常。
そして、まさかの友情。
痺れたわ~。
一生懸命になれるものを見つけてからの主人公の躍動には、こちらまで口ずさみ踊りだしたくなりましたよ。
それぞれの切実な悩みに寄り添うだけでなく、猛烈なパワーをくれる一冊ですね。
スッと入り込める文章から全身に響いてくるビート。
耳に心地いいリリック。
ダイレクトに聴覚を刺激する文章って超レア!
ひとたび読み始めたら虜になっちゃうこと請け合いですよ~。
夜が暗いほど星の明かりが輝くように、心の脆さを知っている人は、きっとだれよりも強い。(本文より)