中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

きらめきの未来『ぶたのしっぽ』(海緒 裕)

二度とキモイなんていわれないように、自分じゃない自分になり切ろうとしたんだ。(本文より)

 

今回は2ヶ月以上先に発売予定の新刊本。

ちゅうでん児童文学賞の大賞作品だよ~。

 

受賞作品は何年も連続で入試に出ている

 

秘密の趣味と人に言えない苦悩に染まる

中二男子がヤングケアラーの不登校児と

関わるなかで心を開放するヒントを得る。

 

ヒトコトで言っちまうとこんな筋書きだ。

 

出番は多くないが主人公の祖母や担任の

先生のちょっとした気遣いが沁みたわ~。

 

野球部女子との微笑ましい関係も面白い。

 

本作では不登校の少年の独特の話し方が

いくぶん硬質な印象を加えているんだが

軽妙な文体よりかは素材文適性にプラス。

 

かつ教科書的な道徳要素が濃いんだわ~。


作問者の立場では選びやすい一冊だろう。

 

4章で問題文になりそうな傾向が出始め、

6章で増え、7章がたぶんピークかな?

ただし、8~10章も素材文適性は高い。

 

文化部発表会、偽善者、オセロ、そして

二人の決意といったところがキーパート。

 

珍しいほど使いどころのある作品ですわ。

 

まぁ固い話抜きにして笑える部分も多々。

とくに親の言動がおかしくって噴いたよ。

 

さすが大賞作品ともなると凄いもんだな

 

終わりにかけてパァ!っとひらける視界。

これは親子でぜひ味わってほしいと思う。

 

紹介作の中では普通の難易度で読み易い。

俺は全文レビューでも力いっぱい推すよ。

 

きんもちいいーっ!

心に巣食う霧も、ぶ厚い雲も、一気に吹き飛ばすような爽快さでした。

 

主人公はアリバイ野球部員の中学2年生。

男らしくないといわれる趣味に密かに熱中する彼が、信念に正直な少年との出会いに、驚き、刺激を受けて、思い切った決断をします。

 

取りつく島もなかった不登校男子が、感情の揺れの激しい主人公との交流で、心を開いていくさまも素晴らしく、読んでいて清々しい気持ちになれましたよ。

 

物語にあふれていたのは、まっすぐな優しさと、まわりくどい優しさ。

だから心に栄養がサーっと沁みるんです!

 

ときに悪意がグサリときますが、そんなときの対処法は変わり者の少年が教えてくれました。

間違いなく生きづらさを減らせる妙案は、さっそく私の生き方にもインストール!

気持ちが上向く予感しかしませんよ。

 

主人公の抱えるひとつの重大な苦悩は、物語では初めて出会うものでした。

もしも自分がその立場なら・・と考えずにいられませんでしたね。

人が抱える未知の葛藤に触れることは、子供たちにも良い経験になりそうです。

 

共生の精神や動物愛護の仕事に出会えるところもお薦めポイント。

想像力に働きかけ優しい心を育んでくれる一冊ですね。

 

なんでこのタイトル?という印象は、ラストでオセロのようにひっくり返りましたよ。

無限の可能性を予感させる心地よい余韻に満たされたまま、よい週末を過ごせそうです。

 

カバーにも癒やされる(4/14発売予定)

 

自分が、一番好きで一番自慢に思っていることを否定されるのは悲しい。だけど、だれかの大切なものをそんなふうにしか見られない人は、もっと悲しいんだよ。(本文より)