中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

感嘆のため息もれる『見えなくても王手』(佐川 光晴)

できれば時間を気にせずに、きみと指したいんだ。(本文より)


入試定番作品『駒音高く』の姉妹編だよ。


盲学校の高学年男子のストーリーだけど

将棋と障がい者教育への著者の本気度が

物語の中に見事に結実されてるんだわ~。


これはそう滅多に見られない優良図書だ。


特に著書の祈りが乗り移ったかのような

熱意溢れる教師の振舞いには要注目かと。


盲学校の子どもたち同士のやり取りにも

色んな意味で目が離せないシーンが多い。


ただ、将棋の戦型のようなマニアックな

語句が当たり前に使われる点では難しい。


素材文適性は将棋用語が減り人間模様に

重点が置かれる6章から8章が高そうだ。

帰郷、回想、学校トラブルのあたりが〇。


あとは9章の気持ちの揺らぎがアリかも。


文章はやや難だけど用語的に敷居は高め。

俺のレビューはこんな感じにまとめたよ。

 

「そんなお前を見ていて、おとうさんファイトが湧いたんだ」というセリフ、いいな~。

私もこの作品からエネルギーを貰えましたよ。

 

主人公は生まれつき目が見えない少年。

 

クラブ選びにさえ困っていた彼が、盲学校の教師の導きで将棋にのめり込み、真剣勝負への憧れを募らせていきます。

 

視覚障がい者を描く作品は相当読んでいますが、やはり葛藤は人それぞれ。

本作でも新たな発見がありました。

とくに家族の苦悩や先輩の振舞いに驚きがありましたよ。

 

熱い対局の先に光が差してくるような流れも素晴らしいですね。

敗者の志に焦点を当てるくだりは、いっそう物語を引き立てていました。

 

共助の心を呼び覚ますストーリーから伝わってきたのは著者の本気。

これは思いっきり推したくなる一冊ですよ。

 

『見えなくても王手』感想・レビュー

 

少年の闘志が燃え上がる(2025/1発売)

 

うそ偽りのない気持ちっていうのは、いいものですよね?何年経っても、すり減ることがありません。(本文より)