みんな、教師って生き物は心の底から生徒を嫌ったり憎んだりしないって思って甘えてるんだもの。(本文より)
東日本大震災の緊迫したシーンがド迫力。
わりと入試に出る作家の2月の新作だよ。
生きづらさを抱える少年を周囲の視点で
多角的に映し出したストーリーだったな。
少年本人視点の章はないにもかかわらず、
彼の苦悩がくっきりと浮かび上がるんだ。
諦観と生きる覚悟、その果てにある宿命、
これがありえないほど全身に響いてくる。
読めば一日一日を慈しみたくなるだろう。
誰かの葛藤に敏感になれるかもしれない。
素材適性は結構あるんじゃないかと思う。
以下に並べてみたのはその一例になるよ。
問題文に使えるかもしれない場面
第一話後半△部長女子と後輩男子の対話
第二話後半〇決めつけを恥じて一歩前に
第三話後半△教師の思いも寄らない本音
第五話中盤△入試の結果が明るみになる
物語の中盤までと終盤が別物なんだけど、
俺にはどちらからも得るものが多かった。
本作の難易度はやや難といったレベルだ。
参考までにレビューの一部を並べてみた。
とび抜けた才能と底抜けの困り感を生まれ持った東北の少年をめぐるストーリーです。
飄々と生きているように見えて、その実、ままならない哀しみに囚われる彼の生き様にすっかり目を奪われましたね。
とくに、近くに解りあいたい人はいる、だけど・・という部分。
これにやられましたよ。
そして何より、事の真相。
クライマックスは切なさの極みなのですが、読んで良かったと心から思えました。

流される車のクラクションが、断末魔の叫びみたいに四方から響く。誰かが「地獄だな、こりゃあ」と呟いた。(本文より)