林本君はね、本当にうそに勤勉だから、大船に乗った気持ちでいていいと思うよ!(本文より)
今年の洗足学園の入試で使われた作品だ。
発売は昨年10月なので随分と早い採用。
月刊誌に該当の短編が掲載されたときに
ビビッと来て素材文に選んだんだろうな。
本作は来年のほうが出る可能性が高そう。
基本的に大人の生きづらさを掬い上げる
ような話が多めでエモ要素がふんだんだ。
思考がぐるぐる巡るさまは悪魔的楽しさ。
面白さでは表題作つながりの話が抜群で
洗足学園で使われたのもこの短編だった。
ただし、素材文適性って点ではおそらく
小4女子視点の最終話がベターだろうな。
『居残りの彼女』は毅然とありたい子が
堂々とした先輩との交流で影響を受ける。
ワンフレーズで語るとこんな話だったよ。
本作全体の難易度は難しいって分類だが
初出が児童文芸誌の最終話だけは易しめ。
以下、俺のレビューの前半からの引用だ。
さまざまな媒体で発表された作品を結集してできた短編集。
面白いのはやはり表題作ですね。
人のために真剣にうそを考え、入念に準備して、大掛かりに仕掛けるところとか良すぎでしょ。
しかも、うそが要る理由は言ってみればちっぽけなんだもの。
依頼者への気遣いや欺く後ろめたさの中には、心のぬくもりが感じられましたよ。

あんたの機嫌は私に撒き散らせばいいかもしれないけど、自分の機嫌はどこへどうやったらいいんだ、と疑問に思い出すと止まらなくなった。(本文より)