何かを目指してがんばることも、がんばったことで結果がついてくることも、初めての経験だった。(本文より)
ポプラ社小説新人賞の奨励賞受賞作品だ。
エモさが超ド級でぶったまげちまったよ。
受賞はこの作品と同時だから数年かけて
ダイヤの原石を磨き上げてきたんだろう。
え、ぞんび?ナニ?SFのパニック系?
とか思うかも知れないが、そうじゃない。
世間からなくならない争いごとに対して
小学生が疑問を持ち行動するストーリー。
幼いころに魔法使いにあこがれた少女が
どんな方法で訴えかけようとするのか?
ぜひとも作品に手を触れて感じて欲しい。
そして胸に手をあてこれからの生き方を、
言葉の使い方を、いま一度考えて欲しい。
素材文適性は序盤の老婦部屋、傘パート、
中盤の家の修羅場が微妙にありそうかな。
終盤は適性が高く、代表選、図書室帰途、
クライマックスの三箇所が〇って印象だ。
この本は一般文芸棚の大海をひっそりと
漂ってて作問者は気づきにくそうだけど
俺としてはもう推さずにいられない名作。
絶対に埋もれて欲しくないと心から思う。
難易度は例の基準でやや難に該当するよ。
以下のレビュー、熱くなっちまったな~。
これは空想話なんかじゃない!
一人の大人として「絶叫」を現実に噛み締める必要があると感じました。
主人公は親の離婚で生活が一変した小学生。
引越し先で過酷な運命に晒された彼女が、アパートでの出会いや驚愕の出来事などを機に、劇的な変化を見せていきます。
奇病で差別され、世捨て人のようだったおじさんのさりげない優しさと真の強さが胸に響きましたよ。
中盤までの哀しみに染まる日々はいささか重くって、正直、やきもきする瞬間もありました。
ですが、終盤にかけての弾けるような勢いは最高に気持ちよかった!
ゾンビみたいな外見になった感染後遺症の人が登場するものの、本作の世界観は現実と地続きですね。
この国だって難病の後遺症患者がおよそ30年前まで隔離されていた事実がありますから。
そして本作には、コロナ禍の狂騒を彷彿させる描写も取り入れられています。
いつまでも世の中からなくならない差別や偏見、そして争い。
それに対し、主人公が勇気をふり絞って声を上げる場面には魂ごとガッチリ持っていかれた!
断言します。
これは読まないと人生の損失。
あのスピーチに触れる以上に価値のあることなんて、そうそう無いですから。

今、自分は立つべき場所に立っているのだという強い確信だけがあった。(本文より)