中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

弱さと向き合えたなら『この手はいつか』(中山 聖子)

いやちがう。たぶんぼくは、本当のことを聞くのがこわかったのだ。(本文より)

 

昔クラスに一人はこういう子がいたな~。

 

普段大人しいのに突如キレる少年の話で

まれに入試で見る作家の3月の作品だわ。

 

見えない内面がきっちりと描かれていて

彼が暴れる理由が明確に伝わってきたよ。

 

事情がわかると見え方が変わるもんだな。

 

彼の置かれた状況ってのがまた苦しくて

心をまるごと持っていかれるんですわ~

 

ま、前半につらい場面が多めなんだけど

だんだんちがった展開になっていくから

終盤の見事なシーンまで突っ走るといい。

 

素材文適性は後半偏重という印象かな?

文句なしで良素材になる場面が複数ある。

 

問題に使えそうな箇所の一例

素材適正△海遊びの後のほんわかシーン

素材適正○荒れ狂う気持ちと祖父の言葉

素材適正◎少女との対話でひらける未来

 

ま、そういうの抜きにして推したい本だ。

少年の成長ぶりには目頭が熱くなるよ~。

 

難易度の面では平易に振り分けた本作に

俺が書いたレビューをまとめるとこうだ。

 

萩を訪れた少年のひと夏の成長。

共感の奔流が溢れに溢れ、まるで止まりませんでした。

 

気持ちを表すのが苦手で時おり感情を爆発させてしまう少年が、突如、祖父の元で暮らすことになり、別世界のような日々のなかで刺激を受けていく物語です。

 

つらいことが重なる序盤、そして寂しさ募る中盤、なかなかにヘビーですね。

しかし唐突な出会い、夏本番の行楽、思わぬ人助け、萩焼チャレンジなど驚きの体験の連続もあって、終盤のクライマックスにいたるまでハートを掴まれっ放しでした。

 

全く違う個性との触れ合いには、やはり気づきが溢れていますね。

不器用だけど心優しい祖父と少年が心を通わせるさまも素晴らしかったですよ。

 

受け止めた知恵のバトンを大切な人に手渡すシーン、グッときたな~。

 

『この手はいつか』感想・レビュー

 

燃え上がる感情のリアル(2025/3発売)

 

何かを表現したり、創ったりするとき、怒りは形に変えられる。何かに挑戦するときにはエネルギーにもなる。(本文より)