中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

風味絶佳な『チョコレート・ピース』(青山 美智子)

模試の判定に一喜一憂し、不透明な進路の情報収集に追い詰められ、「未来を決める」という賭けのような作業に緊張している。(本文より)

 

anan連載の12篇と書下ろし12篇。

6/26発売予定の頻出作家の注目作だ。

 

恋愛、友情、家族愛の粒が一杯詰まった

幾重もの仕掛けがあるショートショート

 

青山先生の作品といえば心温まる展開や

伏線と回収の超絶技巧が印象的なんだが

今作もそんなテイストが存分に味わえる。

 

しかも思わぬ繋がりも楽しめるんだわ~。

 

素材文適性はかなり高いと言えるだろう。

連載を元に早速どこかの入試で出てたし。

 

高校生の友チョコの2篇、子猫が出る話、

カフェや文化祭の話は丸ごと使えるかも。

 

大人の雑誌に掲載された話がメインだが

文章難易度は普通やや難の中間ぐらい。

小学生でもまぁ読めるんじゃないかな?

 

今回の俺のレビューは軽~いノリですわ。

 

めくるめく感情の振れ幅をたっぷり味わえる作品集でした。

 

夢のようなアソートの詰め合わせが、まさかの結びつきを見せる!魅せる!

24粒の軽~いおやつかと思ったら、フルコースだったという衝撃。

 

色とりどりの恋心が心を優しくなでたり、ざわつかせたり、弾ませたり、躍らせたりで、もう大変。

けれど、短いお話の中にはほんのり上向くトッピングがあってどれもしっとり満たされるような後味でした。

 

特に素晴らしかったのは、先輩に受けた恩を後輩に返す大人女子のカッコよさですね。

立ち居振る舞いだけじゃなく、生き方そのものに憧れる気持ちに共感しましたよ。

あんな風になりたいって思うのもわかります!

 

変わってると言われる友人に寄り添おうとする高校生の話は、心の移ろいが爽やか~。

 

この作品集の二度おいしいところは、本編の主人公キャラを別の視点から見られるデザートのようなおまけが付いているところですね。

しかもそれが絶品スイーツそのもののショートショート

本編の背景や知りたかった人の輪郭がクリアになって、ますますキャラが好きになりましたよ。

 

さらに、今作はあとがきエッセイが凄い!

甘くてほろ苦い著者の体験談に、わっ、わかる!って声が響きまくりそうです。

 

しあわせで胸がいっぱいになる贅沢な時間に感謝!

 

カカオの成分で記憶力アップなんて話も(6/26発売予定)

 

特別な日はちゃんと特別に楽しむっていう、それだけよ。時間も体もお金も、大切なことには惜しまないのが好き。(本文より)