勉強を重ねれば父の元から離れられることに気づいてからは、試験に受かる勉強しかしなかった。(表題作の本文より、揺れる13歳の心情)
昨年の灘中入試でエッセイが使用された
作家の2024年11月に出た短編集だ。
大人の女性たちの視点で人生の後半戦を
描く中に死のにおいが漂う話が多めだよ。
つまりキラキラ明るい系ではないんだが
せつなさの中にぬくもりを感じられたわ。
5篇中3篇が本づくりに関わる人の話で
それらは際立って解像度が高かった印象。
推敲場面では、残りたがる一行は危険で、
それこそが余計だったりする、のような
作家のリアルな試行錯誤が描かれていた。
いつもの4分類でいえば難易度は難しい。
味のある作品に漬かりたい人にお薦めだ。
絵本の魅力を再発見させてくれる作品に
俺が書いたレビューの一部を紹介するよ。
ささやかな幸せがゆったりと心を満たしてくれる作品集。
人生の岐路に立つ女性たちが、絵本との関わりをきっかけに、ときにほんのり、ときに激しく揺り動かされていきます。
表題作のインパクトが最強ですね。
大切な人の魂を込めた最後の絵本作りにかかわる主人公だけでなく、出版社の人々の仕事ぶりがとんでもないんです!

人の心の在処など深追いしたこともないはずが、どうしたことだろう。(本文より)