今さらお前が俺に道徳を説くのか?勘弁してくれよ。ここはヤミ市だぜ。小学校じゃねえんだ。(本文より)
日本の過去をフィクションで体感できる
カトリシリーズで知られる作家の新境地。
戦後混乱期のヤミ市で暮らす少年の目で
過酷でままならない現実を描いた作品だ。
子どもらしくいられず背伸びする彼らの
向こう見ずな冒険に釘付けになったよ~。
ヤミ市の兄・姉の生き様がカッコイイし
これは子どもの読者も引き込まれるだろ。
戦争について被害・加害の両面で捉えた
深みある視点には学びのタネがぎっしり。
インフレ地獄のくだりも勉強になったよ。
今この国で生きている幸運を思い知って
俺なんかも価値観を揺さぶられちまった。
難易度は紹介作品の中では普通のレベル。
以下、危うさも魅力の本作への感想だわ。
戦争のあおりで子どもたちの人生が激変します。
主人公は裕福な家で育った14歳。
思いがけずヤミ市に流れ着いた彼が、ただ者でない青年に出会い、引き込まれ、想像を絶する計略に関わっていきます。
戦災孤児たちの過酷な日々に衝撃を受けた一方で、手に汗握る冒険活劇のようなワクワクもありました。
戦争を語るときに避けがちな加害者としての立場に向き合っているところには、特別なものを感じましたよ。
罪を背負ったなら未来は真っ暗になるしかないのか?
主人公が見出した答えを、ぜひ噛みしめてほしいと思います。

戦争はもうたくさんだ。それだけは心の底から言える。だけど、それだけではあまりにも多くのことを曖昧にしすぎている。(本文より)