5年生の少年少女を活写した連作短編で
児童文芸誌『飛ぶ教室』連載中の作品だ。
誰?と思って調べたらNHKの朝ドラの
脚本を任されるような大物作家だったわ。
児童文学界隈にまた凄い人が現れたな~。
お手本のように編み上げられた物語には
かの名作『給食アンサンブル』のように
いずれ入試で人気化しそうな光を感じる。
目下4話まで出ていて続きが超楽しみだ。
単行本化は来年か再来年だと仮定すると
2027年か2028年入試で脚光かな。
選書熱心な先生なら今年度に使うかも?
文章難易度は普通でどの中学でも使える。
短編の詳述はひどいネタバレになるので
ほんのちょびっと内容を紹介していくよ。
第一話『強くつよく握りしめても逃げていく海底の砂みたいな時間』
小学五年生の主人公が、ふとしたきっかけで隣家の同級生と関わるなかで、伝えたかったことを言葉にしていく。心に優しい風が吹くお話。
第二話『風が吹き木が揺れ葉っぱがいっせいに光をこぼす これは拍手だ』
子役タレントの小五女子が、引っ越し前からの友だちに会ってどうしてもしたかったことの衝撃。人の気持ちへの気づきが沁みるお話。
第三話『雪の上足跡がある野良猫が「足冷たい」と思った数だけ』
野球少年が、関わりたくないと思っていたトラブルメーカーの意外な一面に触れる。相手の嫌だった部分が思わぬ輝きをみせるお話。
第四話『ポケットに入れた貝殻割れているけど覚えてる形も海も』
問題児と思われている少女が、大好きなノラ猫をめぐってクラスメイトと関わりを持つ。まっすぐな俳句の思わぬ変容が微笑ましい話。

大人はね、みんな言ってることと思ってることが違うんだよ。(本文より)