こうしてリリカは幼い時代、内気な人々に囲まれて育つことになった。(本文より)
わりと入試に出る作家の久々の長編だよ。
沈黙の価値を見直したくなるストーリー。
これほど静謐な話ってなかなかないわ~。
かまびすしい時代だからこそ読みたいね。
特異な環境下ですくすく育った女の子の
まっすぐ伸びやかな歌声が物語の中から
静かに響き渡る不思議な読書体験だった。
基本しゃべらない団体の場面が多いので
素材文適性はさほどではなさそうに思う。
強いて問題に使えそうな部分を挙げると、
初めてのレコーディングシーンの周辺か。
本作の難易度は難しいって分類になるな。
マイレビューの前半はこんなトーンだよ。
人間は完全を求めてはいけないという言葉に癒されました。
不器用な人々への賛歌といった趣ですね。
主人公は内気な人の集まる団体と関わり、穏やかに育った少女。
歌の才に恵まれた彼女が、独特のこだわりを胸に抱きながら、しっとりと人生を歩んでゆくストーリーです。
沈黙が内包する優しさと温かさを発見できるお話でした。

人の事情を詮索したりましてや責めたりしない。そういうふうにしていられるのもまた、彼らが無言であるからだった。(本文より)