中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

”家路”の響きは切なくて『サイレントシンガー』(小川 洋子)

こうしてリリカは幼い時代、内気な人々に囲まれて育つことになった。(本文より)


わりと入試に出る作家の久々の長編だよ。

 

沈黙の価値を見直したくなるストーリー。

これほど静謐な話ってなかなかないわ~。

 

かまびすしい時代だからこそ読みたいね。


特異な環境下ですくすく育った女の子の

まっすぐ伸びやかな歌声が物語の中から

静かに響き渡る不思議な読書体験だった。


基本しゃべらない団体の場面が多いので

素材文適性はさほどではなさそうに思う。


強いて問題に使えそうな部分を挙げると、

初めてのレコーディングシーンの周辺か。


本作の難易度は難しいって分類になるな。

マイレビューの前半はこんなトーンだよ。

 

人間は完全を求めてはいけないという言葉に癒されました。

不器用な人々への賛歌といった趣ですね。

 

主人公は内気な人の集まる団体と関わり、穏やかに育った少女。

歌の才に恵まれた彼女が、独特のこだわりを胸に抱きながら、しっとりと人生を歩んでゆくストーリーです。

 

沈黙が内包する優しさと温かさを発見できるお話でした。

 

大切なものを分かち合える(2025/6発売)

 

人の事情を詮索したりましてや責めたりしない。そういうふうにしていられるのもまた、彼らが無言であるからだった。(本文より)