何気ない日々が掛け替えのないものであった、と、人はいつも失った後に思い知る。(本文より)
桜蔭、サレジオ学院の出題で注目された
増山実先生の7月に出た素晴らしい本だ。
もうじき60歳になる男が病床の親との
やりとりの中で思わぬ事実を知る筋書き。
行動力のある主人公がさまざまな場所へ
赴いて話がどんどん膨らんでいくんだが
そのなかで明るみになる親族の話も凄い。
クソヤローみたいな男がいたかと思えば
大逆転人生もあって起伏がヤバすぎんの。
愛ゆえに心を鬼にする場面は沁みたわ~。
戦争の哀しさやかつての女性の地位など
丁寧に描かれる時代背景に学びもあった。
大人向けだけど素材文適性は意外とある。
例えば三章の少年の波乱に満ちた人生や
四章の父の修業時代のエピソードとかな。
駄菓子の話などは特に問題文に使えそう。
難易度はやはり難しいカテゴリに入るよ。
以下、レビューで力いっぱい推しまっせ。
何が起こるかわからない人生をへこたれず生きよう、心の赴く方へ進もうという気持ちにさせてくれる傑作。
まさに”人に歴史あり”!
夜空を彩る宝石たちのように、煌めくエピソードの宝庫でした。
死期を意識した病床の父が語る一族の歩みに、主人公が心を動かされるストーリーです。
これは読むほうも揺り動かされますね~。
彼がもっと知りたい、話を聞きたいと感じるたびに、「ん、俺も」と頷いている自分がいました。
いつしか主人公に仲間意識すら芽生えていましたよ。
やっぱり逆転のある人生ってドラマチック!
何より魅力だったのは成功しても自分だけのものにしない男の心意気ですね。
この本のおかげで、私も身近な人たちの歩みに耳を傾けてみたくなりましたよ。

もし、「人生のカーナビ」というものがあれば、ずいぶん便利で楽だろう。しかしきっとそれは味気ない人生だろう。(本文より)