いいかい、個人がなすべきことは常に一つ。再現性の高い努力だ。将来の目標で考えるなら、それは勉強だよ。(本文より)
本屋大賞作『同志少女よ、敵を撃て』で
脚光を浴びた逢坂先生の3月に出た作品。
いや~、これメチャメチャ面白いですわ。
しかも壮大な伏線が見事に活きる華麗さ。
大切な人とどう生きるかを考えさせられ
マネーとの賢い向き合いかたも学べたよ。
魅力的な人物がたっくさん出てくるけど
特にファンド代表の底知れない感じとか
善良でありたい職人の生き様に惹かれた。
悲壮な決意に人生を賭ける少年も凄いし
思い返してみると名場面があるわあるわ。
読了しての達成感と満足感がハンパない。
素材文適性の面では三章『僕らの夢は』。
壁に立ち向かうサッカー少年たちの話で
反則とフェアプレーのあいだで揺れ動く
キャプテンマークのパートが特に良さげ。
ところどころに出てくる掌編のなかでは
アフリカの少年兵たちが米国少年と語り
夢を想像する辺りが微妙に問題向きかも。
俺が楽しめた本の最上位に入る一冊だが
完全大人向けで普通の小学生には難しい。
これを問題文に使うとしたらジェンダー
意識の高い難関校になるんじゃないかと。
以下はマイレビューのパッチワークだよ。
悪事に手を染める人や騙される人を減らす本!
一台の車を軸に、それに関わった人々の数奇な人生を描き上げた傑作です。
金融、不動産、職工、裏社会そしてアフリカ紛争地域に至るまでの壮大かつ精緻な描写が絡まり合う熟練の技に圧倒されました。
主人公たち以外にもファンド会社社長のような桁外れに魅力的な人物が幾人か配されているので、まったく長さを感じないまま没頭できましたよ。
人生で最も大切なことにも気づかせてくれる物語なのですが、一番効率的な資産運用手段と、お金にとらわれない生き方を同時に提示してくれる本でもありました。
それにしても、逢坂先生ってなんでこんなに色んな舞台背景を緻密に描けるんでしょう?
どうやったらこんなに心を動かすツボをおさえられる?
いったい人生何週目ですか?

将来の夢!そんなもんを聞こうと思える無神経さに、心底腹が立った。彼の世界では、そいういうことを十代とかそのへんの若者にきくのは普通なんだろう。(本文より)