中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

魂が高鳴る絆『花咲く街の少女たち』(青波 杏)

大人はいつもそう。できない理由を考えるのは得意なのに、やりたいって思いを叶えるために頭をまったく使わないのね。いいわ、見てらっしゃい。(本文より)


8月に発売された興味深い作品になるよ。


経歴を偽りながら女学校に通う主人公が

運命の奔流に飛び込んでいく物語ですわ。


二人の少女の宿命的な関係に注目だな~。


日韓併合の先に透ける見せかけの融和や、

両国人の暮らしぶりの違いは鮮烈だった。


素材文適性が少しあるかもしれないのは

三越の屋上で歌う青春キラキラなパート、

こもる自宅に女学生たちが訪れるパート。


どちらもグッとくる名場面でもあるよ~。


ちょっと時代考証の部分で俺レベルでは

判断がつかない重要箇所がある点に留意。


子どもには難しい本作のレビューがコレ。

 

日本が戦争に向かう時代に、厭世気分に染まる少女が朝鮮半島に渡り、忘れがたい出会いに恵まれます。

 

揺れ動く密やかな関係性が凄い!

 

笑顔の仮面を貼り付けながら取り付く島もなかったあの子との距離が変わっていくさまに魅了されました。

運命を変える方策に考えを巡らせる主人公の足掻きと、見透かして振る舞う見守り手の応酬も楽しいですね。

生への肯定感あふれるラストには素敵以外の言葉が見つかりません。

 

支配と被支配の意識格差や差別が生み出す悲劇がズシリとくる部分もあって、重厚かつ濃密な一冊でした。

 

『花咲く街の少女たち』感想・レビュー

 

心惹かれる学校生活(2025/8発売)

 

猫をかぶっているうちに、自分が虎だってことをお忘れになってしまったのですか?大丈夫、学問はきっとあなたの将来を豊かなものにしてくれますよ。(本文より)