中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

創造的な人生を『パッチーズ: ぼくらがつなぐ小さな世界』(佐藤 まどか)

人をからかってなにがおもしろいんだろう。人を下に見ていないと、足元がぐらつくのか。(本文より)

 

名作『一〇五度』が何度も入試に出てる

佐藤まどか先生の先月の作品の一つだよ。


この先生は秋から冬にかけて少なくとも

4冊の作品を送り出すことがわかってる。


本作は父の失業と病気で生活が一変した

家庭の少年が母を支えて奮闘する物語だ。


転校先で誰ともしゃべらなかった少年の

成長ぶりに目頭が熱くなっちまったわ~。


苦境に立つ母の世渡り術は勉強になった。


素材文の香りが立ち込めるのは四章かな。

教室の黒い空気がひっくり返る出来事で

主人公が転機を迎えるというシーンだよ。


難易度は平易なので小5でも読めそうだ。

俺のレビューをまとめるとこんな感じに。

 

着られなくなった服をよみがえらせるさまざまな発想にビックリ!

いまの恵まれた子たちに薦めたい一冊ですね。

 

主人公は目立たず寡黙な中二男子。

学校に居心地の悪さを感じていた彼が、思わぬ流れからみんなの注目を集めることになります。

 

少年のふるまいに優しさがにじみでていて秒でファンに!

彼のピンチに教室の空気を変えるあの子も凄い!

 

魅力あふれるキャラたちが巻き起こすムーブメントの渦。

それが想像もしなかった道を切り開いてゆくさまを目一杯楽しめましたよ。

 

引き出しの多さが光る生徒会長の立ち回りもいいんだ~。

いざというときの母の活躍からも目が離せませんよ。

 

感情に任せて振る舞うことを戒める作品でもありましたね。

突然生活に困る可能性はたいていの人にあると思いますが、そういう局面を物語で追体験する意味は計り知れないでしょう。

 

人を思いやる土台が築ける一冊です。

 

『パッチーズ: ぼくらがつなぐ小さな世界』感想・レビュー

 

あとがきにも注目!(2025/9発売)

 

ぼくはブランド品を着ないと自己を確立できないほどゆらいでないから。(本文より)