救急車がけたたましい音を鳴らしながら走りだし、回転灯は闇を切り裂くようにあたりを赤く染め上げていく。(本文より、緊迫の出動シーン)
『線は、僕を描く』シリーズが入試でも
人気の砥上先生の1ヶ月後に出る本だよ。
警官や自衛官と違い命を救うためだけに
鍛え上げられた消防士たちのストーリー。
これはいずれ映画やドラマになるだろう。
火を相手にするより人を相手にする方が
難しいという現場一筋だったベテランが
異動先でさまざまな気づきを得る筋書き。
災害現場に出動する消防士だけじゃなく
様々な職種の人たちが戦っているんだな。
彼らへのレスペクトが端々に溢れていた。
この本の影響で消防士志望者が増えそう。
防災知識が深まるって点でも意義深いよ。
レベル感としては紹介本の中では難しい。
以下、先行レビューの全文バージョンだ。
尊敬せずにいられない!
現場一筋のたたき上げ消防士が、119番通報を受ける指令室へ配置転換され、不器用に、懸命に、新しい役割に染まっていく物語です。
使命感に燃えつつSOSに真剣に向き合う消防士たちの姿に胸を打たれました。
ヒーローのような絵ばかりでなく、助けられなかった命と向き合う彼らの志に触れられたのも良かった!
緊急の第一報を受ける場面で、動揺する話者を落ち着かせ、わずかな兆候を見逃さず的確な情報を仲間に送る。
並大抵のことじゃありませんね。
通報の電話は、一人ではなく複数人で同時に聞いているなど、知らなかった舞台裏も興味深かったです。
チーム全体が連携して危機に対応するプロ集団の仕事ぶりに目が覚める思いでした。
これを読めば消防士を見る目が変わりますね。
そして映像化への相性もピッタリなエンタメ性の極致。
脳筋なキャラは可愛げがあって楽しい!
一方でクールに見える部下の内に秘めた熱気にも魅入られましたよ。
それにしても、火事から逃げる際、扉を閉めることで、被害の広がりを格段に縮小できるとは知らなかったな~。
このような極めて重要な防災の知恵も学べるので、たくさんの人に読んでほしいです。
困っている誰かを見れば考えるより先に身体が動く熱血漢の物語。
災害の傷が深く刻まれた町で、トラウマをひた隠しにする彼はどうなるのか?
ぜひ手に取って物語からほとばしる情熱を感じてみてください。

目に見えんがな、全部が繋がってお前が生きてる場所は成り立ってる。だからどんなものも大事にしろ、優しくあれ。(本文より)