小六の夏休みの塾通いの目的といえば、ひとつ。中学受験をするためだ。(本文より)
名作『手で見るぼくの世界は』の著者が
描いた差別を考えるきっかけになる一冊。
『手で見る~』は今年少なくとも三校で
出題されていてテーマも近いものがある。
本作は視覚障害をさらに掘り下げてるよ。
世間の風当たりがきびしいのはもちろん
家族だから耐えられないことだってある
というようなデリケートな話も描かれる。
障害のある親を人に見られたくない等の
子どもからこぼれる感情も掬い上げるし
これを読めばハッとさせられそうですわ。
素材文適性は前半偏重という印象だった。
特に問題文に向いていそうなのは一章の
入学式をめぐる兄の心の揺らぎだろうか。
二章の塾が舞台になる小6男子の心情や
三章のプラネタリウムパートは適性△級。
ま、得るものが多い作品なのは確かだが
後半はやや詰め込み過ぎかもしれないな。
バッサリと切るか別の作品に分けた方が
ベターに仕上がったのではないかと愚考。
本作の難易度は普通に振り分けられるよ。
マイレビューの一部だけ以下に載せとく。
両親が視覚障害の家で育った兄弟の歩みを中心に描かれた物語です。
心無いのは周囲だけではなく、時として身内でさえ思わぬ感情を噴出させるという部分が衝撃でした。
家族だからこそ囚われる生半可でない葛藤。
これにに打ちのめされたんです。
常に理想像でなんていられない彼らの姿に、綺麗ごとではない紛うかたなき真実を見た気がしました。
酷い言動に晒される場面が少なくなかったせいか、並外れた優しさに触れるシーンでは心を洗われましたね。

俺は障害者なんだから、人並み以上の努力をするまでだ。(本文より)