あのね、あたしみたいな子ってさ、はじめての場所に行くと、そこにいる子たちにわっと注目されるの。(本文より)
これは安心して子どもに渡せる系の物語。
去年もやさしさあふれる小説だったけど
今年もその傾向は引継がれ道徳的だわ~。
家庭環境ゆえに一生懸命に背伸びをする
小5女子が優しい大人の助けを得ながら
兄や友人のために奮闘するストーリーだ。
素材文適性の面では、転校生が出てくる
三章あたりから高まっていくような印象。
全体としては中盤に問題文に使えそうな
くだりが散見されたような気がしている。
特に刺さったのは生まれて初めての旅に
感極まってしまう例の子のシーンだわ~。
ラストの視界良好なイメージも素敵だよ。
文章は平易だし小5なら十分読めそうだ。
発売前ゆえ情報は小出しにとどめてある。
共助の心に火を灯す物語ですね。
主人公は「きょうだい児」の五年生。
風変わりに見える兄がいることでまわりの注目を集める彼女が、多様性に触れる特別な体験をして、尊い気づきを得る筋書きです。
描かれる言葉や振る舞いだけでなく、息遣いまでもが身近に感じられました。
これは私自身、何年もの間、通級と民間療育を併用した経験があるせいだけではないと思います。
それだけ一人ひとりが生き生きと輝いていたんです。
特に、誰かが制約に満ちた人生から抜け出すための助力を惜しまないみんなの行動力や、全員にしっかり役割を持たせる発想に胸を打たれました。
世の中の在り方の、ひとつの理想形を見た思いです。
誰もが誇りを持って暮らせる、そんな未来を後押しする作品ですね。
必要に駆られ徹底的に学んだ分野なので、何なら厳しく批評するつもりだったのに、そんな気持ちは涙とともに流れ去っていました。

あのときのわたしは、少しもわかっていなかったのです。ありがとうって言葉の意味が、それをいう人によって、それをいう場面によって、雲のかたちほどあるってことを。(本文より)