中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

理想の学びへの手がかり『デモクラシーのいろは』(森 絵都)

自分はあまりに無知だった。あの長い戦争が成長期の少女たちに与えた傷を軽視しすぎていた。(本文より)

 

歴史や教育に関心がある人に推せる一冊。

中受界隈では大御所の森絵都先生の本だ。

 

舞台は戦争の傷跡残る昭和21年の東京。

 

米軍所属の日系人が若い日本女性たちに

民主主義の何たるかを教えるという話だ。

 

狂乱インフレや戦災孤児などのリアルを

市井の人びとの目で味わえる体験は貴重

 

しかもユーモアたっぷりの筋書きだから

難しいコト考えず楽しみたい人にもOK。

 

キャラでは太鼓の達人や女城主が超強烈。

ぜひ見てくれとしか言いようがない感じ。

 

素材文適性は、教え子が学びに目覚める

流れの中にゆらゆら漂っていた印象かな。

 

例えば二章だと教え子がくれた気づきで

先生の考え方が変わるあたり等が良さげ。

 

難易度はやはり難しいカテゴリーに入る。

以下、ちょっと長いが俺が書いた感想だ。

 

重厚なのにスキップするように楽しく読める凄い本でした。

 

終戦直後の混乱を極める日本で、民主主義を学ぶ手探りの講義に集められた面々が、ぶっちぎりに濃厚な六ヶ月間を分かち合います。

 

うっわコレ役者が揃いまくり!

破天荒な女たちと指導役のカタブツ男の日々は、笑いあり涙ありの見事な充実ぶりでしたよ。

 

途中で、あぁ、これはいい本だと思っていたら、まさかの急展開でさらに満足度アップ。

素晴らしかった点は山ほどありますが、身に着けた知恵は奪われないからと努力する姿や、講義を役立てディベートするさまにはとくに胸を打たれましたね。

 

豊かな学びが得られるのもこの本の魅力。

 

民主主義の長い歩みや、アメリカと欧州の民主化の違い、資本主義との併存がもたらす弊害など、もう何度膝を打ったことか!

学びを生かすには世の中がどうあるかが重要という部分でも、物語ゆえの伝わりやすさを実感できました。

 

さらに終盤の疾走ぶり。

これほどスカッとできる小説は稀ですよ。

 

てんでんばらばらだった彼らは、いかにしてまとまってゆくのか?

最強女当主の密かな狙いは何?

効きすぎるブレーキを備えた二人の恋は?

 

少しでもピンと来たら試してみて!

 

何を学ぶべきか、考えさせられる(2025/10発売)

 

戦前戦中、生徒たちに本当のことを教えてこなかったわたしは、戦争に負けたとき、こう思いました。これから贖罪の人生がはじまるのだ。と。(本文より)