勝てない勝負はしない。大それた冒険はしない。そんな娘だと思っていた。(本文より)
10月に出た熱量たっぷりのバスケ小説。
お医者様が書いた作品ということなんで
やっぱし怪我や診察の描写が精緻だわ~。
純粋に青春小説として面白いのみならず
健康問題にかかわる気づきもくれるんだ。
エビデンスに配慮して描かれているから
適切な栄養を摂ることの大切さが沁みる。
つまり社会的意義の高い作品でもあるよ。
素材文適性はほんのりありそうな感触だ。
序章の終盤で医師の意識が変わる部分や
第二Q序盤の娘とエースの邂逅のあたり。
本作の難易度はやや難というレベルだよ。
以下、感服モードのマイレビューになる。
世にも珍しい医学的エビデンスを裏付けにした青春小説です。
どの競技レベルの女性アスリートにも起こりうる問題に光を当てている点で画期的な作品でした。
主人公はスポーツドクターの男とその高校生の娘。
大事なバスケの試合を前に負傷した仲間を助けるために、少女は父を頼り、父はそれに応えようと力を尽くします。
真剣さと涙と汗が輝く青春の日々に魅了されましたよ。
成長期の栄養状態がいかに大切かを科学的、かつ解りやすく伝える部分は流石。
女子選手が直面する健康問題には新鮮な驚きがありました。
利用可能エネルギー不足に端を発する、無月経、骨密度の減少という三主徴だけでなく、心血管や筋肉への影響まで懸念されるのですね。
明らかな症状がないと気づけませんから、これは怖い!
本書との出会いを機に調べてみて、この問題の周知がいかに大切か実感しました。
面白いうえに、適切な栄養指導、症状の予防と早期発見、そして競技パフォーマンスの向上にまで資する価値ある一冊だと思います。

高校生だと未来のことなんて中々想像できないと思う。でも君たちの人生はまだまだ続くし、色々な道を、可能性を残していくのが大人の使命なんだ。(本文より)