「・・・母親になった人の趣味は家族の得になるか、負担にならないものじゃないと許されないの?」(本文より)
昨年10月に出た大人向けの優良図書だ。
アラフォー主婦が趣味にのめり込む物語、
な~んて一言では片づけられない葛藤が
丁寧に描きこまれているストーリーだわ。
これはもう共感必至というしかない感じ。
有力レビュアーさんが推すワケが解った。
競技かるたが題材なので美しい日本語の
勉強になるというメリットも見逃せない。
地味な場面ではあるけど妙に沁みたのが
喫茶店のマスターと交わした言葉の数々。
法律の学びが心を軽くするシーンも良き。
素材文適性の面では終幕周辺が強めかな。
難易度は紹介作の中では難しいカテゴリ。
以下、馬鹿みたいに泣いた俺の感想だよ。
信頼できるレビュアーさんたちが、こぞって高評価していた本。
期待を胸に読み始めましたが、想像を超える面白さでした!
美しい言葉のつらなり、そこに込められた時代を超える想いを激アツの競技に絡める素晴らしさが、まざまざと伝わってきたんです。
主人公は子どもの付き添いでかるた界に足を踏み入れた主婦。
自身に芽生えた思わぬ意欲に突き動かされた彼女が、さまざまな障害を乗り越えて歩みを進めます。
徹底的に掘り下げて描かれた、幼子を抱えながら趣味に走る罪悪感に共感せずにいられませんでした。
家族とのすれ違いや、ときおり浴びる周囲からの風当たりはダイレクトにこたえましたよ。
それだけに、ラストでは大号泣。
「よがっだぁ~~」「すげぇ~」って次々と込み上げてくるストレートな感情の奔流が止まらなくなりました。
あの結びに至るまでの家族の生き様に想像を膨らませるのも楽しかった!
やはり、「余白の妙」も読書の醍醐味だと、歓喜に溢れつつ実感できましたよ。
最も惹かれたのは、大事な試合で揺さぶってくる中学生相手に、心のスイッチが入った瞬間。
沸騰する怒りを闘志にかえて極限まで集中するところが熱かった!
評判をきっかけに手にした本作は、最高の盛り上がりを味わえる大満足の一冊なのでした。

炎天下で木陰を、凍てつく日に日向を求めるように希海は思う。かるたには静寂と秩序がある。時間が止まる瞬間がある。美しい言葉もある。そのどれもが恋しい。(本文より)