安全な高台にたどり着いて、海岸を見下ろしたときのことは、一生忘れないとサキは思う。(本文より)
2月下旬に発売される予定の連作短編集。
これは心をじんわりと温めてくれたわ~。
ほどよく不思議な要素が絡められていて
現実感から遊離しない味付けになってる。
多彩な話が少しずつ繋がっていく展開に
どっぷりと浸るたのしさを満喫できたよ。
モデルになってるマルカンビル大食堂に
オレも行ってみたくなっちまったほどだ。
素材文適性では『桜、舞う』の章が強め。
友人への罪悪感に悩む少女の話になるよ。
嘘の後ろめたさを描く『命の種』もアリ。
これは震災にまつわる描写がつまびらか。
本作は大人視点の話も多いが難度は普通。
小学生にもとっつきやすいだろうと思う。
以下、揺さぶられすぎたオレのレビュー。
あ~、いいっ!
このぬくもりが残る感じ。
伝説の十段巻きソフトクリームに着想を得て描かれた連作短編集です。
大人から子どもまで、さまざまなキャラクターが、みんなに愛される食堂を舞台にして心に残るしこりの和らぐひとときを味わいます。
やっぱり後味最高!
冷たいソフトとちょっとした不思議体験で、心があたたかさに満たされるさまに、こちらの身体まで熱くなりましたよ。
もしかしたら最初の数ページで強めの方言に戸惑うかもしれませんが、それ以降は弱まるので大丈夫。
安心して読み進めましょう。
コロナや震災など記憶に強く刻まれた出来事が物語に関わってくる部分は、物語に力強さを与えていますね。
とくに少女の心が避難所生活に悲鳴を上げるところなどは迫真そのもの。
老婆の「生ぎで」という祈りにも似たメッセージは、私もそっと胸にしまいましたよ。
亡き人の想いに触れる体験はせつなく沁みてきますね~。
物騒な書き出しの短編では、その得体の知れなさにビクビクし、親のはてない情にもビックリ。
多彩なストーリーを締めくくる最終話のエピソードは素敵の極みでした。
一番こうなってほしいという場面が眼前に現れるめぐり合わせの妙。
やさしさあふれる人々の交わりがくれる明日への力。
ぜひご自身の目で確かめてください!

よどんでいた水が出口を見つけたように、みるみるわだかまりが流れていく。(本文より)