学びなさい。あきらめずに学びなさい。あきらめるのは簡単です。だからこそ、簡単にあきらめないで。(本文より)
昨年12月に発売された凄い名作ですわ。
不遇な文学少女が思わぬ巡り合わせから
憧れてやまない職業への道に身を投じる。
ワンフレーズで言えばこんな作品だった。
キリスト教精神に基づく慈愛のひかりが
全編に降り注ぐかのような温かみもある。
クラボウの社員が見たら泣いてよろこぶ
実業家大原孫三郎の逸話も盛りだくさん。
気高く凛々と生きる人々の歩みに触れて
オレなんかもシャキッとせねばと感じた。
これは読者の意識改革に効きそうな本だ。
素材文適性はそこそこあるかもしれない。
16歳の娘と文学談義するくだりだとか
画家を目指す青年の心を動かす対話とか
後進の指導にまつわる語りなどがよさげ。
ま、大人向けゆえかなりの読書力が必要。
難関校向けの素材ということになるかな。
本作の十二歳やそこらで働きに出るのが
当然という世相は今の子には驚きだろう。
以下、読後感も神なこの本に献じまする。
無上の癒しをくれる物語。
過酷な運命を背負う少女が、血のつながらない人々の縁に助けられながら、努力と勇気で道を切り拓いていきます。
心の美しさが散りばめられているから、読むほどに救われましたよ。
好きなことを活かして夢に近づいてゆくさまには、前向きなパワーをもらえました。
圧巻なのは本の感想を描いたくだり。
心を揺さぶる文章の威力をまざまざと見せつけられました。
稀代の経営者、大原孫三郎に光を当てているのもこの本の美点。
彼の社会貢献は本当に素晴らしい!
思わず調べずにいられなかったのですが、実際の業績も凄いんです。
博愛精神を体現する数々の施策に思わず、こういう人に国を任せたら・・などと夢想してしまいましたよ。
それを世に広めた意味でも価値ある一冊ですね。

小説というのは、技巧や勢いだけで成立するものじゃありません。もっとも大切なのは「心」。私はそう思います。(本文より)