みずからをわたくしと呼んだのには驚いた。作業後もお互いに「ごきげんよう」とあいさつをかわしている。(本文より)
『神に守られた島』が頻出だった著者の
8/23に発売された評判の作品ですわ。
名門女学校に通う今でいう中3が主人公。
大戦末期から戦後の満州がおもな舞台だ。
戦争の余波もあり可憐な制服はなくなり
列車通学は禁じられ、鉛筆すら持たずに
ひたすら軍のための作業に追われる日々。
それでもお国のためにとがんばる彼女は
身の毛もよだつ計画の片棒を担がされる。
自分が何をしているか自覚もないままで。
まぁ、序盤はこんな感じのストーリーだ。
素材文に使えそうな箇所は少なめな印象。
強いて挙げると非国民発言の周辺かな?
あるいは弁当のおかず問題あたりとか?
何にせよ中高生には特に勧めたい本だよ。
学びがギッシリと詰まってる作品だから。
俺のレビューの始めのほうはこんな文章。
空襲もなく、本土より戦火が遠く感じられた満州国首都。そこで暮らす日本人にとっての地獄は、戦争が終わったあとに始まりました。関東軍の極秘任務に動員された女学生や、それを管理する軍属の青年、抗日活動家の息子を亡くした中国人女性などの視点で、忘れてはならない歴史を紐解いていく物語です。