中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

初めての気持ちが新鮮な『ひこぼしをみあげて』(瀧羽 麻子)

期待していた頻出作家の今月発売の本だ。 「桜蔭の出題者に選んで欲しい3冊」で、 12月にも再度この本を取り上げる予定。 『たまねぎとはちみつ』も出題実績アリ なんだが、その続編にあたるのが今作だ。 前作を知らなくても全く問題はない感じ。 平易だ…

受験史に残る事件を描く『予備校のいちばん長い日』(向井 湘吾)

駿台も河合塾も解答速報が出せない!1998年の東大入試で実際に起きた「受験史に残る事件」を題材にした創作です。主人公は大手への対抗心に燃える数学講師。塾生想いの彼女が、弱小予備校の東大コースの存続をかけて、受験史上最大の難問に挑みます。 『予備…

国語出典予想ベスト50【2023年入試向け最終版】

※前回以降に追加した14作品 17位『空をこえて七星のかなた』(加納 朋子) 19位『宙ごはん』(町田 その子) 22位『両手にトカレフ』(ブレイディ みかこ) 28位『天の台所』(落合 由佳) 31位『パンに書かれた言葉』(朽木 祥) 34位『星屑すぴりっと』…

じんわり癒される読書『本が紡いだ五つの奇跡』(森沢 明夫)

開成が『おいしくて泣くとき』を出題し、 俄かに注目が集まってそうな作家の本だ。 開成は他校の先生も意識するだろうから。 この本が発売されたのは2021年9月。 始めの方はお仕事小説だが、だんだんと 家族小説の色が濃くなっていくんだわ~。 特に最…

歴史探索にワクワクできる『皆のあらばしり』(乗代 雄介)

『旅する練習』が今年の早実で使われた 乗代雄介の2021年12月発売の作品。 受賞はなかったが芥川賞候補だった本だ。 うさん臭い男に声をかけられた高校生が やがて男の面白すぎる生き方に惹かれて 生き方までも変えていくってストーリー。 おっさんと…

まだある出題に使えそうな『飛ぶ教室』掲載作品

『飛ぶ教室』は季刊の児童文学雑誌だわ。 ほど良い長さの短編がいくつか掲載され、 割と出題実績もあるんでチェックしてる。 2023年受験組には67号~70号が 狙い目っぽいんで使えそうなのを選んで ザックリあらすじを書いてみたのが以下。 2021/10/2…

揺れ動く中1女子の力関係『ココロノナカノノノ』(戸森 しるこ)

戸森しるこの『飛ぶ教室』連載中の作品。 いじめは止めたいけど自分自身の安全は 最優先にしたいっていう少女が出てくる。 グループ内での立ち位置の変化みたいな 中学生のリアルな日常を描いてて面白い。 家庭より級友との場面に注目したいな~。 この作家…

疎外感を消し飛ばす『夏休みの空欄探し』(似鳥 鶏)

出題実績のない著者だと思うが推す人が やたら多い話題作なんでチェックしたわ。 6月発売の新作だが作問者は見たかな? 面白いがエンタメ系の作風だと感じたわ。 出題に使えそうなところも多少あるけど 積極的に小学生に薦めたい作品ではない。 中学生の楽…

世界の広さを肌で感じられる『両手にトカレフ』(ブレイディ みかこ)

正義なんて恵まれた人間が信じるものだ。私には、私しかいない。(本文より) そこそこ入試に出る作家の6月の新作だ。 貧困や格差について深く掘り下げてるし、 特に中学生たちに読んで欲しい作品だわ。 俺のリストの中ではトップクラスの売上。 作問者も気…

助け合うってスバラシイ!『天の台所』(落合 由佳)

自分で台所に立つたびに、小さな発見がある。それを一つ一つ拾い上げて、胸にしまう。(本文より) 地元の図書館が大量に仕入れて推してる ノーマーク著者の2021年9月発売本。 あんま期待してなかったがこれが当たり。 ごはんを作ることの尊さを学べる…

開成だとか、女子学院だとか『きみの鐘が鳴る』(尾崎 英子)

こんなにも必死になったことなんて、十二年生きてきて、はじめてのことだった。(本文より) 昨日発売された十代向けの中学受験小説。 正直、小6の春あたり迄は退屈だったが、 夏からは面白さにエンジンがかかる感じ。 2月の修羅場とかもう凄いのなんのっ…

小学生には早いかな~『パンに書かれた言葉』(朽木 祥)

今この瞬間も、この地球上で、ものすごくひどい目にあっている人がいる。自分がその人じゃないのは、ただの偶然なんだ。(本文より) 今年最もホットなテーマは平和だろうな。 そこで、読友さんたちが高く評価してた この作品にも目をつけてみた次第ですわ。…

中受小説『きみ鐘』の話題など

中学受験小説『きみの鐘が鳴る』の 著者のインタビュー記事を見つけた。 受験に伴走した経験を活かしてんだ。 こいつは期待できそうな気がするわ。 ローティーンあたりがターゲットと 思うが親が読むにもいいのかもな? 『翼の翼』のときも書いたが、親の メ…

名門校で芽生えた友情『空をこえて七星のかなた』(加納 朋子)

どうしても中学受験を成功させたかった私は、正直に申告することを決めた。その下心の報いがこれなら、あんまりだと思う。(短編『星の子』の本文より) 入試出題実績はなさそうな著者であるが、 『飛ぶ教室』で紹介されてたんで読んだ。 ある宇宙飛行士に関…