中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

待ってたのは、コレ!『やすらぎハムエッグ』(宮島 未奈)

こんなキャラ、うちの学校にいたら間違いなくいじめられてたと思うんだけど、これまでの人生なんともなかったんだろうか。(本文より) 成瀬は天下を取りにいくシリーズ最新話。 小説新潮5月号掲載の未刊行作品ですわ。 短編の話をあんまし詳しく書いちまう…

正義の声は高らかに『はなしをきいて: 決戦のスピーチコンテスト』(マギー・ホーン)

みなさんが、この本に書いたような経験をしていないことを心から願っています。(あとがきより) 海外作品はあんまし出題されないんだが テーマがよくて面白かったんで紹介する。 あと3週間ほどで発売される新刊本だよ。 同級生のハラスメントに、地味で孤…

未来につながる翼『同じ星の下に』(八重野 統摩)

わたしは、そんなお父さんとお母さんの姿を見てはいつもぞっとして、心底恐ろしくなって、学校ではとにかく必死に、家では隠れてでも勉強をする。(本文より) 『ペンギンは空を見上げる』著者の作品。 小学生が読むにはNGの部分があるんで ここで取り上げ…

行動力が駆けてゆく『アフリカで、バッグの会社はじめました』(江口 絵理)

失敗だと思ったらそこで終わるけど、次に何かをするときに生かせればそれは「失敗」とは言わない。(本文より) 前から思ってたけど、青少年って言うが 青少女って言わないのはなんでだろうな。 さて、青少年読書感想文全国コンクール 中学校の部の2024…

心の壁を取っぱらえ!『透明なルール』(佐藤 いつ子)

自分の才能を恨んだ。普通でいいのに。普通がいいのに。(本文より) 『真実の口』とこの本は外せないっしょ。 明日発売の今期最注目といえる新作だよ。 おとなし目の主人公が、あれよあれよと 一軍女子グループに取込まれ無理するが やがてほころびが広がっ…

挑戦に欠かせないもの『マジックに出会って ぼくは生まれた』(涌井 学)

大丈夫。落ち着いてるよ。今の僕の全力を、完全に出し切ってみせるから。(本文より) 新作ではないが素晴らし過ぎるので紹介。 昨年の品川女子学院で使われた作品だよ。 伝記ベースなので素材で扱いにくいかと 思っていたが予想は大ハズレだったわ~。 優れ…

意表を突く展開の『天国からの宅配便 時を越える約束』(柊 サナカ)

やはりわたしは、数学が好きなんだ。一度しかない人生の中で、そういうものを見つけられたことはよかったと思う。(本文より) 『天国からの宅配便』シリーズ1作目は たしか前に栄東の素材文になってたはず。 今回紹介するのは本日発売の3作目だよ。 この…

生きる力と、踏み出す勇気『かなたのif』(村上 雅郁)

「友だちの助けに、なってあげなさい」ぼくはうなづいた。それ以上、大事なことなんて、きっとこの世界にはないもんね。(本文より) 先月開催の四谷大塚の入試報告会の席上、 ホールを埋め尽くす受験生の父母の前で 大スクリーンに映し出された本があった。…

スポーツの見方が変わりそうな『鳥人王』(額賀 澪)

最初に目指したものが実は自分には向いていなかった、なんて人間の方が大半なんだから、そこからの身の振り方が人生の見せどころだ。(本文より) たまに入試に出る作家の2月に出た本だ。 棒高跳びを描いた極めて珍しい作品だよ。 関心ゼロの題材だし大丈夫…

アクが強い、強すぎる?『サクラサク、サクラチル』(辻堂 ゆめ)

二つ違いの姉は、かつて、両親の自慢の娘だった。中学受験で第一志望校に受かり、両親を喜ばせた。(本文より) 名作『山ぎは少し明かりて』の著者の本。 毒親に東大合格を強要される少年の話を 東大出身の実力派作家がどう描くのか? 関心があって手にした…

どこまでも響け、そのメロディー『うたう』(小野寺 史宜)

わたしもこの数年で学んだわけ。牛後のときは重かったけどね、鶏口になると動きは軽いのよ。(本文より) 音楽にかかわる4人の男女が描かれてる たまに入試に出る作家の2月の新作だよ。 夢を応援する妻とか、人気者の先輩とか 登場する一人ひとりの魅力が…

心がほぐれてゆく一冊『学校に行かない僕の学校』(尾崎 英子)

今の学校は、考える前に与えすぎてるんやと、俺は思う。(本文より) 『きみの鐘が鳴る』で中学受験を描いた 著者の約1ヶ月後に発売される新作だよ。 これは多様な価値観を体感させてくれる。 今が辛い子どもたちに届いて欲しい本だ。 国語素材文としてもか…