中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

エンタメ万歳!『あいにくあんたのためじゃない』(柚木 麻子)

日本でははっきりした主義主張をすると、必ず大勢の敵を作る。(本文より) この著者は去年、開成で採用があったな。 恵泉女学園を描いた『らんたん』もいい。 さて、本作は極上のエンタメ小説ですわ。 ストレスがたまってたまって限界になり そこから胸のす…

出題されるかもしれない新刊本(2024年3月前後)

3月の新刊も現在判明分では少な目かな。 追加でわかったらこの記事に書き足すよ。 毎度言ってるが、未読の作品が多いんで 出題向きじゃないのも多分混じっている。 2/26発売 『なんでもないあの人』(濱野 京子,林 けんじろう,椰月 美智子,昼田 弥子) 『き…

鳴りひびく警鐘『となりのきみのクライシス』(濱野 京子)

子どもの権利を守るのは、大人の責任です。でも、世の中には、いい大人ばかりではありません。(本文より) 割と入試に出る作家の先月発売の新作だ。 思わぬ気づきをくれる異色作という印象。 児童書でここまで子供達に警鐘を鳴らす 作品ってなかなかないん…

ジャケ買いアリの鷗友選書『お菓子の船』(上野 歩)

いいか、大事なものがあるから、生きる価値が生まれる。おまえたちも生きるに値する大事なものを探せ。(本文より) 鷗友学園での出題を機に出会った良本だ。 お仕事小説なんだが一生懸命な主人公が 力をくれるから幅広い層に薦めたくなる。 海軍時代の祖父…

エネルギー溢れる『オランジェット・ダイアリー』(黒川 裕子)

目標が無いんじゃなくて、目標を作りたくない。かなわないのに、努力するのが怖いだけ。(本文より) 悩める少女の心情がリアルに感じられる たまに出題のある作家の11月の作品だ。 序盤のノリの良さはこの著者の特色だな。 スッと物語に入り込めそうな作…

深みも魅力な本郷選書『君が残した贈りもの』(藤本 ひとみ)

どんな人間も、一つのことに専心すれば自分を超えた何者かになれるかも知れない。(本文より) 毎年のことだが、出題作を追っていくと 未知のいい本に出会えるから嬉しくなる。 これは今年の本郷中入試で使われた作品。 探偵チームKZシリーズの著者が書い…

闇堕ちしないための妙薬『苺飴には毒がある』(砂村 かいり)

どす黒い感情に巻き込まれたくない。その気持ちを手放したら、人間として何かが終わってしまう気がする。(本文より) たぶん出題実績のない作家の11月の本。 中受界隈では誰も注目してなさそうだわ。 友のハラスメントっていう異色テーマで 入試向けには…

雨のちハテナ『彼女たちのバックヤード』(森埜 こみち)

しんどいときってさ、言いたくもないことを言ったり、したくもないことをしちゃったりすんの。(本文より) たまに出題される作家の1月の新作だよ。 女子中学生3人が主人公の連作短編集で ちゅうでん大賞のデビュー作まで含めた 過去作品よりも選ばれやす…

あまりに偉大な長編作品『山ぎは少し明かりて』(辻堂 ゆめ)

個性も、特技も、肩書も、目標もない。だからこそ、これからの自分次第で、何者にだってなれるんじゃないか。自分が何者か、分からない今が貴重なのだ。(本文より) 今年の桜蔭作品と肩を並べるような大作。 入試では見ない作家の11月発売の本だ。 当然、…

新たな知見に満ちた桜蔭選書『百年の藍』(増山 実)

「美しいものが、アメリカの匂いがするというだけで排撃される世の中なんて、狂っています。私は狂っている世の中に合わせるつもりはありません」(本文より) 今年の桜蔭は大人向け重厚作品だったな。 これはサレジオ学院でも使われていたよ。 さっそく読ん…

その生き様が魅力的な『あけくれの少女』(佐川 光晴)

「大人には大人の事情がある。多少は気になるじゃろうが、子どもは知らん顔をして、よくあそび、よく学べばいい。そして世の中に放りだされても生きのびていけるだけの力を、どうにかして身につけるんじゃ」(本文より父の言葉) 有力な出題候補作の紹介が続…

私たちにできることを『真実の口』(いとう みく)

受験終了組の皆様は大変お疲れ様でした。 ゆっくり羽を休め、次に進めるといいな。 紹介本からの2024年入試出題実績は、 引き続き各種情報を元に更新していくよ。 今回は作成中の来年入試向け出典予想で いきなり暫定首位になった作品の話題だ。 ちなみ…