中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

私たちにできることを『真実の口』(いとう みく)

受験終了組の皆様は大変お疲れ様でした。

 

ゆっくり羽を休め、次に進めるといいな。

 

紹介本からの2024年入試出題実績は、

引き続き各種情報を元に更新していくよ。

 

今回は作成中の来年入試向け出典予想で

いきなり暫定首位になった作品の話題だ。

ちなみに次点は『リカバリーカバヒコ』

 

発売は2ヶ月先の4月9日頃になりそう。

 

ネタバレ回避のために詳しく書けないが

高校生が思わぬ流れで気づきを得てく話。

 

頻出作家が選書ドンピシャの時期に出す

注目テーマの作品としても目が離せない

 

のほほんと生きてる坊ちゃん嬢ちゃんに

見とけや!と言いたくなる内容だったな。

かつ大人にも刺さるストーリーなんだわ。

 

アキラ先生が言うように虐待も描くから

心配なら先に親が目を通すといいだろう。

 

ま、すぐ子どもに与えたくなると思うが。

 

素材文には職員室で先輩と語らう場面や

水辺のシーンの後半、終盤の列車内など

使えそうなパートがザックザクで適性◎

 

受験しない子たちにも強く推せる本作の

出版社に送ったレビュー全文がこれだわ。

 

大人が信用できないとき、子どもに何ができるのか?

差し出された問いが胸に突き刺さりました。

 

主人公は他人への関心が薄い高校一年生。

 

当たり前のように平穏な日々を過ごしてきた彼は、虐待が疑われる幼い少女【ありす】に出会い、中学時代の仲間とともに思わぬ形で関わっていくことになります。

彼らが勇気ある決断の末に目にしたのは、想像を超えた驚きの真実でした。

 

少女の切なすぎる境遇が、繰り返し胸に迫ってきますね。

物語の核となる高校生たちの「暴挙」は、切羽詰まった状況を踏まえれば、決して責められないと感じました。

 

トコトン重厚なストーリー展開なのですが、重いテーマも子どもに親しみやすく描き上げる著者の特色が存分に発揮されてましたよ。

とくに友人兄弟のキャラが良くって、そこかしこで楽しい気持ちにさせてくれました。

 

人との繋がりの機微にグッとくるシーンも多かった!

 

なかでも終盤、ピンチに意外な人物が進み出る場面で滂沱ですよ。

「言ったれ!もっと言ったれ!」って、もう、感情移入しすぎるほどに。

 

加害者の事情が描き込まれている部分は、問題が単純な図式でないことを物語っていて、深~く考えさせられましたね。

やはり、子どもが子どもらしく居られるために、大人としてできることをしないといけないと痛感しきりです。

 

あなたからそう遠くないどこかにも【ありす】は居る。

もしも「おや?」と感じる場面に出くわしたら、あなたならどうしますか?

 

あらゆる年代の読者にそう訴えかけてくるこの作品に、世の中をより良い方向に変えていく力を感じました。

 

負の連鎖をどう断ち切るか・・(4/11発売予定)

※私のレビューの一部が、この本の帯(裏側)の宣伝文のなかに採用されました。