中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

未来につながる翼『同じ星の下に』(八重野 統摩)

わたしは、そんなお父さんとお母さんの姿を見てはいつもぞっとして、心底恐ろしくなって、学校ではとにかく必死に、家では隠れてでも勉強をする。(本文より)

 

『ペンギンは空を見上げる』著者の作品。

 

小学生が読むにはNGの部分があるんで

ここで取り上げてもしょうがないんだが

めっちゃ刺さる小説だったんでレビュー。

 

クソ親のもとで暮らす少女が逃げた先は

まったく予期しない場所だったって話だ。

 

これを読むとごく普通の家庭に生まれた

ことが奇跡のように幸せだと感じるかも

 

誘拐された少女とそれを追う刑事視点で

素材文適性はほぼナッシングなんだけど

超面白いし出典予想では最下位に据える。

 

以下は毎度のマイレビューからの抜粋だ。

 

この世の中のどこかに、沙耶のように酷い目に遭っている子どもたちがいることは、忘れていけないと胸に刻みました。

主人公は異常な家で育った中学二年生。

児相を騙る男にさらわれた彼女が幽閉生活のなかで知ったのは、人の気高さであり、優しさでした。

 

『同じ星の下に』感想・レビュー

 

結末は想像を軽々踏み超える(2023/10発売)

 

勉強さえすれば確実に未来が明るくなるわけではない。でも、ただの中学生である私にとって、いま明確に未来に繋がるものは、勉強しかなかった。(本文より)

行動力が駆けてゆく『アフリカで、バッグの会社はじめました』(江口 絵理)

失敗だと思ったらそこで終わるけど、次に何かをするときに生かせればそれは「失敗」とは言わない。(本文より)

 

前から思ってたけど、青少年って言うが

青少女って言わないのはなんでだろうな。

 

さて、青少年読書感想文全国コンクール

中学校の部の2024年課題図書を紹介。

 

素材文適性はあまりないが優良図書だよ。

 

目標のためにがんばり人生を切り開いて

しかも人の役に立ち喜ばれるって話だし

これはいい刺激になりそうなルポだわ~

 

中学受験して名門一貫校に入り早大法→

一橋大院→大手銀行と進んだ女性の熱意、

夢に向かう勇気、挫折も糧にする柔軟さ。

 

感じて欲しい学びが凝縮されてるんだわ。

受験とか関係なくぜひ読んで欲しい本だ

大人にも間違いなく得るものがあるよ~。

 

日本では30億着の洋服が売られていますが、なんとその半分以上の16億着が新品のまま捨てられています。(本文より)

 

こういう話なんて、俺は知らなかったし、

彼女の立ち回り方には目から鱗だったし。

 

以下に俺のレビューを少しだけつけとく。

 

つらい過去を胸に奮闘する少女が、社会に役立つ仕事を通じて心からの願いをかなえる大人へと成長していきます。慈善ではない、作り手と買い手の幸せをつなぐアイデアを実現していく歩みは素晴らしいの一言。

 

『アフリカで、バッグの会社はじめました: 寄り道多め、仲本千津の進んできた道』感想・レビュー

 

熱意がページから溢れてくるような作品(2023/6発売)

心の壁を取っぱらえ!『透明なルール』(佐藤 いつ子)

自分の才能を恨んだ。普通でいいのに。普通がいいのに。(本文より)

 

『真実の口』とこの本は外せないっしょ。

明日発売の今期最注目といえる新作だよ。

 

おとなし目の主人公が、あれよあれよと

一軍女子グループに取込まれ無理するが

やがてほころびが広がっていくんだわ~。

 

超名門校から転校してきたギフテッドの

苦悩みたいなテーマも盛り込まれている。

 

かなり道徳的な要素が濃い目な物語だし

作問する側としては選びやすそうな印象。

 

特にリボンパート、学級会パートがよく

他にも使えそうな箇所が山盛りって感じ。

 

今ならかなりのためし読みが可能なので

気になったらチェックするといいだろう。

 

文章難易度は中学入試では標準的レベル。

俺のレビューのカケラはこんなんでっせ。

 

主人公は勉強好きの中学二年生。

身の丈に合わないグループで縮こまっていた彼女が、同じ委員になった少年や名門校から来た少女との関わりのなかで気づきを得て、自分らしさに目覚めていきます。

予想外の展開に何度驚いたことか!

確かにネガティブ思考で自分自身に壁を作ってしまうようなこと、ありますよね。けれど、現実は思ったよりビターじゃないのかも。

正直に生きることのすがすがしさを教えてくれるこの作品は、子どもたちのバイブルにすらなりそうですよ。

 

『透明なルール』感想・レビュー

 

終盤の先生の立ち回り、最高だろ(4/24発売予定)

 

挑戦に欠かせないもの『マジックに出会って ぼくは生まれた』(涌井 学)

大丈夫。落ち着いてるよ。今の僕の全力を、完全に出し切ってみせるから。(本文より)

 

新作ではないが素晴らし過ぎるので紹介

昨年の品川女子学院で使われた作品だよ。

 

伝記ベースなので素材で扱いにくいかと

思っていたが予想は大ハズレだったわ~。

 

優れた物語に必要な要素が全てある印象。

これは滅多に見られないほどの優良素材。

 

友人たちと進路に悩むシーンであるとか、

打ちのめされた時の思わぬ檄であるとか、

不幸になりにくい人生を推奨される場面、

はるかな目標をもつ少女との交流なども。

 

品女の先生、よくこんなの見つけたな~。

大袈裟でなくローティーン必修にしたい

 

俺のレビューはこんなにも前のめりだよ。

 

幼ない頃マジックに出会った田舎の少年が、心に誓った夢のために、技術を磨き、広い世界に踏み出そうとするなかで様々な学びを得ていくストーリーです。

父親や担任教師の心配だからこそ進路の再考を促す心情がわかりすぎて、泣きそうでした。

仲が良いだけでなく、ときには厳しいことも言ってくれる友人たちとの絆も響きまくりです。

まっすぐで世間知らずな少年が何度も立ちふさがる壁にどう対処するのか?

そのとき周囲はどう働きかけるのか?

ぜひ自分の目で確かめて!

 

『マジックに出会って ぼくは生まれた: -野生のマジシャン HARA物語-』感想・レビュー

 

受験パートは激アツ。担任の言葉もイイ。(2022/3発売の旧作)

 

意表を突く展開の『天国からの宅配便 時を越える約束』(柊 サナカ)

やはりわたしは、数学が好きなんだ。一度しかない人生の中で、そういうものを見つけられたことはよかったと思う。(本文より)

 

『天国からの宅配便』シリーズ1作目は

たしか前に栄東の素材文になってたはず。

 

今回紹介するのは本日発売の3作目だよ。

この作品は2作目にずば抜けていい話

あるので、そっちも薦めてみたいところ。

 

短編集だがそれぞれが独立した話なので

どこから読みはじめても大丈夫ではある。

 

今作で特に注目したいのは高校生の話だ。

 

『食堂ミツコ最後の日』って短編だけど

うしろめたさを抱える水球部員の少女が

思いがけないギフトに戸惑うって筋書き。

 

この話はニヤリとできて後味も良いよ~。

 

ほかの大人視点の短編はちょっと難しめ。

以下に俺のレビューの一部を付けとくよ。

 

マイナス思考の連鎖でドツボにはまっていた人々が、思わぬ贈り物をきっかけに目を覚ましていくストーリー。

戸惑いや拒絶から受容への心のうつろいが丁寧に書かれていて、共感させる、させる。

私も主人公たちと一緒にハートを揺さぶられましたよ。

 

『天国からの宅配便 時を越える約束』感想・レビュー

 

とってもハートフル(2024/4/17発売)

 

生きる力と、踏み出す勇気『かなたのif』(村上 雅郁)

「友だちの助けに、なってあげなさい」ぼくはうなづいた。それ以上、大事なことなんて、きっとこの世界にはないもんね。(本文より)

 

先月開催の四谷大塚の入試報告会の席上、

ホールを埋め尽くす受験生の父母の前で

大スクリーンに映し出された本があった。

 
それが『きみの話を聞かせてくれよ』だ。

 

今年少なくとも15校で出たこの前作で

一躍ときの人になった著者の2ヶ月後に

発売される予定の本を今日は紹介するよ。

 
文章の難易度は例の分類だと平易になる。

小5なら十分に読めそうな間口の広さだ。

本好きな子であれば小4でも楽しめそう。

 
素材文適性が高そうなシーンもあったよ

 

一例を挙げると、5章の後半にかけての

お世話係を自任する子に光が当たる場面。

 
ネタバレで台無しにしたくなかったので

レビューは細心の注意を払って書いたよ。

 

そうやってできたのが以下のメッセージ。

 

少女たちの美しい友情をあますことなく描きあげた大作。

 

心に効く読書体験でした!

 

いろんな感情があふれだしてきて、あれ?泣いてるの、俺?

って具合に自分でもビックリ。

この作品が巻き起こす共感の渦が今から想像できますよ。

 

主人公は2人の中学1年生。

 

それぞれに孤独を抱えていた彼女たちのくすんだ日常が、刹那の出会いをきっかけに、鮮やかなまでに変わっていきます。

心が踊り、よろこびにうち震えるような語らいの末に2人が知ったのは、思いがけない運命の巡り合わせでした。

 

切なる願いがかなっていく高揚感。

そして「まさか」がもたらす衝撃。

 

ぜんっぶ持っていかれました。

 

ラストでは満たされた幸福感と、終幕のさびしさからくる喪失感がない交ぜになった気持ちのまま、呆然となるしかありませんでした。

 

・・・・・スゴいのが来た。

 

”ひと夏のガール・ミーツ・ガール”というフレーズに、苦手な話かも?と懸念しましたが、誤解もいいところでしたね。

 

夢いっぱいのストーリー。

想像力に秘められた無限の可能性。

生きる力と踏み出す勇気をくれる主人公たち。

 

そんなまばゆさに引き込まれ、大人でも時間を忘れて夢中になれました!

 
これは辛さを抱える人ほど刺さると思います。

心のすき間を埋めてくれそうだから。

 

一方で、自分はポジティブと思う人にも強烈に推したくなります。

もっともっとハッピーになれそうだから。


終盤で主人公の一人が立てた誓いは、著者の決意表明そのものでもあると感じました。
 
ぜひとも、末永くこの作品のような物語を産み出して、子どもたちの未来を明るく、
やさしく照らしてください。

 

そっと背中を押してくれる(6月中旬発売予定)



スポーツの見方が変わりそうな『鳥人王』(額賀 澪)

最初に目指したものが実は自分には向いていなかった、なんて人間の方が大半なんだから、そこからの身の振り方が人生の見せどころだ。(本文より)

 

たまに入試に出る作家の2月に出た本だ。

棒高跳びを描いた極めて珍しい作品だよ。

 

関心ゼロの題材だし大丈夫か心配したが

読み始めたら止まれなくなっちまったわ。

 

気づけば競技の動画なんかも見ていたよ。

やっぱしこの先生のスポーツものはイイ

 

感動よ届けじゃねえんだよってくだりは

特に気づきがあってかつ奮い立たされた。

 

国語素材になりそうな箇所は少な目だが

この著者は競歩王』も入試に出てたし

めっちゃオモロ熱いんで薦めたい本だよ。

 

難易度は例の分類やや難になる本作の

マイレビューのカケラはこんなんですわ。

 

さえない芸人がバラエティ番組の企画で、棒高跳びのオリンピック候補とともに、とんでもない記録に挑戦する物語です。

先が見えたように感じていた芸人と、分厚い仮面をかぶっていた学生選手が自らの壁を破り、限界を超えていく展開のありえない熱量に震えたわ~。

おふざけ要素を排したストイックな努力や、思いがけないサポート、そしてあおり煽られる闘争心などが熱々すぎてページが進む進む。

 

『鳥人王』感想・レビュー

 

あっつ!ナニコレ?あっつ!(2024/2発売)

他人から押し付けられる精神論と、自分を奮い立たせる精神論は別だ。(本文より)