中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

出題されるかもしれない新刊本(2026年11月前後)

寒い冬をあったか~くしてくれるだろう

11月以降の気になる新作たちのご紹介。

 

未読のものが多いので出題向きじゃない

作品があるかもしれないのはいつも通り。

 

11/5発売 先行レビュー済

『ポラリス通信』(村山 早紀)

シェア型書店を舞台にした奇跡の出会い。

 

11/5発売

『コバンザメ同盟』(こと さわみ)

新たな繋がりの芽生えで反転する価値観。

 

11/10発売

『榊くんによれば、僕らは』(本多 孝好)

転校していく少年と12人の級友の関係。

 

11/10発売

『紗良とサーラの千一夜物語』(新藤 悦子)

シリア難民との交流が動かす中学生の心。

 

11/18発売 先行レビュー済

『堂下家の姉妹』(いとう みく)

姉の意外な一面を知るショートトリップ。

 

11/18発売

『罪びとたちのティータイム』(織守 きょうや)

秘密と美味の香る短編集は学生視点多め。

 

11/19発売

『ちゃんとしない家族』(君嶋 彼方)

驚きの歪みを抱えた五つの家族のカタチ。

 

11/20発売

『遠き星をめざして』(嶋津 輝)

バスケ女子が相撲部屋で経験する出会い。

 

11/25発売 先行レビュー済

『時の岸辺に』(森川 成美)

オルゴールをめぐる母娘六世代の生き様。

 

11/25発売

『台本にありません!』(高村 有)

学校のお化け屋敷の域を超えた超絶計画。

 

11/26発売

『ぼくたちはここにいる』(佐藤 まどか)

無戸籍少女の行方を追う地理好き中学生。

 

11/27発売 先行レビュー済

『地上でいちばん強い瞳』(まはら 三桃)

廃部寸前の古豪馬術部にやって来たのは。

 

11/28発売

『someday』(濱野 京子)

卒業を控えた中学生たちの濃厚なドラマ。

 

11/30発売

『給食アンサンブル3』(如月 かずさ)

最終学年でさらに深まる中学生のお悩み。

 

12/1頃発売

『果の庭の碧』(友井 羊)

天涯孤独になった少女を包む島の安らぎ。

 

12/2頃発売 読了済み発売日レビュー予定

『白の昼餉』(くどう れいん)

やるせなさを抱える人々に寄り添う物語。

 

12/11頃発売 先行レビュー予定

『どーも、まんぷく☆スマイルです!』(赤羽じゅんこ)

漫才好きの陰キャがまさかのコンビ結成。

 

12/17頃発売

『すき』(にかいどう 青, 福木 はる, 神戸 遥真, あさだ りん)

物語の名手たちが贈る放課後の人間模様。

 

12/25頃発売

『一瞬を抱いて飛べ』(蒼沼 洋人)

チアに情熱を傾ける少女の心からの願い。

 

12/25頃発売

『放課後の森の創作セミナー』(小手鞠 るい)

創作を志す人びとににもたらされた福音。

 

1/25頃発売

『あきらめない』(にかいどう 青, 福木 はる, 神戸 遥真, あさだ りん)

子供達の努力に向けられた温かい眼差し。

 

1/25頃発売

『あいたい』(吉野 万理子, 吉田 桃子, 五十嵐 美怜, 村咲 しおん)

青春のヒトコマを彩る出会いと別れとは。

 

2/18頃発売

『ひみつ』(吉野 万理子, 吉田 桃子, 五十嵐 美怜, 村咲 しおん)

秘め事を抱いて生きる日々に起こる変化。

 

2/18頃発売

『わすれない』(にかいどう 青, 福木 はる, 神戸 遥真, あさだ りん)

深く記憶に刻まれる宝物のような思い出。

 

待ちに待ったシリーズ最新作(11/30発売予定)

 

給食シリーズは今年も6校で出ているし、

フツーに考えて最注目は如月先生の新作。

 

衝撃度では佐藤先生が挙げられるだろう。

シリーズ既刊2冊も揺さぶられまくった。

 

中受ノーマーク著者では嶋津先生の本に

なんとなく強さがありそうな予感がする。

 

装画の面ではこと先生の本が美麗だわ~。

 

12月の中では蒼沼先生が柱になるかな。

怒涛のアンソロジー企画も楽しみすぎる。

3~5年生向けだと赤羽先生が推しだよ。

 

当面は新情報が出たらここに追記予定だ。

 

発売済みで今後レビューしたい新作

『ブルーアローズ』(天川 栄人)

『希望の子』(一穂 ミチ)

『スイーツアラモード』(古内 一絵)

『本を灯す ヴァージニア・ウルフの作り方』(森 晶麿)

『あなたのいない世界で』(原田 ひ香)

『ファイティング!』(森埜 こみち)

『タイム・アフター・タイム』(吉田 修一)ほか 

 

【過去記事】

紹介作品からの出題(2026年度中学入試の国語出典)

紹介作品からの出題(2025年度中学入試の国語出典)

【旧作・準新作限定】レベル別中学受験生向け推薦図書

どんなに心が挫けても ~或る公文男子の矜恃~

不滅の祈り、いざ受け継がん『時の岸辺に』(森川 成美)

なぜ、学んだことをかくさなければならないのか。誇りにしてもいいぐらいなのに。(本文より)

 

女性の権利について深掘りするチャンス。

たま~に入試で見る作家の来月出る本だ。

 

130年以上もかけて子孫の間を渡った

オルゴールをめぐる壮大な物語だったよ。

 

明治時代とか女性の扱いが雑すぎて驚愕。

入学した学校がどうなるかを見てほしい。

 

移民話のまさかにもビックリ仰天だった。

これは校長先生の人柄が救いになったよ。

 

戦後の困難な道のりも迫力があるんだわ。

 

憧れてやまない仕事をモノにするために

男のようになるという覚悟が響く一方で

そうしないと願いが叶わないのが切ない。

 

反動のような現代娘にも考えさせられる。

女性の社会進出の厳しさをしみじみとな。

 

素材文適性は先生との対話2箇所などで

ほんのりとだが感じられた気がするわ~。

 

どちらも章の終盤にかけてのパートだよ。

 

教育の意味を考えさせられるこの作品の

難易度は普通とやや難の中間ぐらいかな。

 

以下は出版社に送信したレビューになる。

 

原始、女性は「のび太」であった。

 

なんて言うと叱られそうですが、思わずそう感じてしまう瞬間がありました。

「女のくせに勉強なんて生意気だ」という価値観に染まった古い世の中が描かれているからです。

 

女性の社会進出を阻んだ時代の空気に、それぞれのやり方で立ち向かった人々の物語。

主人公は舶来のオルゴールを受け継いだ6世代にわたる女たち。

遺伝子に刻まれたかのような向上心を抱いた彼らが、襲い来るトラブルと正対しながら後世に大切なことを伝えていきます。

 

明治から平成までの”ケイ”たちの長い長い歩みに圧倒されっぱなしでした。

なにしろ理不尽の連続なんです。

女だからという意識や慣習、制度の壁が立ち塞がる場面が次々と現れても、簡単に負けない姿には力をもらえましたよ。

 

次世代の視点に移る際、急に時代が飛びますが、先代らの描かれなかった歩みを”匂わせ”から想像するのも楽しいですね。

6人の中だとちょと変わっている平成の子は、これから母の生き様に影響されるのかな?

 

大正の震災パートはしんどいですね。

首都が狂気に染まるような描写もあり、すっかり心を持っていかれました。

冷静さを失くしたときの人の愚かさは忘れないようにします。

 

さて、冒頭のフレーズはもちろん『青鞜』の有名な一文をもじったものですが、その青鞜の名は本作の重要な鍵になるイギリスのブルーストッキング、すなわち差別と闘った女性たちを指す言葉から来ているとのことです。

 

先人が脈々と受け継いできた信念が、今に繋がっていると思うと感慨深いですね。

差別をなくし、権利を守ろうという意識を一層強くする読書体験になりましたよ。

 

気高さよ、時の岸辺に揺蕩ひて(11/25発売予定)

 

権利はね、口あけて上向いてても、降ってこないんだよ。戦って勝ち取らなきゃ。(本文より)

 

一人ひとりの尊厳を愛でる『答えは本の中に』(デイヴィッド・レヴィサン)

物語について知れば知るほど、それを読んでいる自分自身についても知ることになります。(本文より)


名作文学の訳者として界隈でおなじみの

三辺律子先生が手掛けた7月発売の作品。


古い世代と新しい時代の価値観の相克が

小学校発の一大トラブルに発展する話だ。


課題本を教室で扱うことの是非を巡って

喧々諤々となるさまに引き込まれるよ~。


主人公の置かれた立場がもう微妙すぎて

感情を根こそぎ持っていかれちまったわ。


並行して進む2つの物語にも魅力がある。

特に件の冒険譚はハラハラが止まらない。


気になる転校生との関係も目が離せない。

 

教育とは何か考えさせるところが深いし

LGBTQIA+入門としても良さそう。

 

担任の先生は名言がめちゃめちゃ多いの。

 

親のことで責任を感じることはないとか、

誰もが敬意を持って扱われるべきとかな。


まぁ、親としては小学生同士のキスには

正直言って抵抗を感じた部分もあったが

舞台がアメリカだしそういうもんなのか。


素材文適性は前半ギデオンパートだとか

後半ドノヴァンパートに少し感じられた。


こういう素晴らしい作品を使える学校は

きっと校風もいいんじゃないかと思うよ。


差別や偏見にNOを突きつける本作には

読書の魅力がぎゅうぎゅうに詰まってる。


難易度としては例の分類で普通のレベル。


以下で珍しく異を唱えていたりするけど

それは俺が物語の力を信じているからだ。

 

多様性への深い学びと理解につながる優良図書。

神がかった筋書きに浸りながら、世界の常識になりつつある価値観を脳髄にインストールできましたよ。

 

五年生男子の母がクラスの課題本を不適切だと騒ぎ立てたことから、大人も子供も何が正しいのかを考え抜く稀有な経験を重ねることになります。

 

まったく異なる三つの物語が並走していたと思ったらまさかの展開になってビックリ!

 

親がクレーマーで子が苦境という構図はやり切れないですね。

ストーリーの進展とともに、どんどん彼に肩入れしている自分がいました。

ついに思いの丈をぶつける場面では大喝采!

 

先生の語るノーブルな正しさがしっくりくる一方で、小説が性のあり方を変えることなどないとする部分には引っ掛かりも覚えました。

 

私は物語が誰かを劇的に変えることはあると思います。

登場人物やエピソードが魅力的であればあるほど、その可能性は高まるでしょう。

 

そう、たとえばこの本のように。

 

子どもたちの勇気に注目(2026/7発売)

 

今回のことをぜんぶ本にして、お母さんに渡せたらよかったのに、とおれは思った。(本文より)

 

消せない旧弊の残滓『ひなたの中継点』(森山 世衣)

強豪校では珍しくなかったと聞いていたが、自分たちには関係のないことのような気がしていた。(本文より)


松本清張賞の受賞作で高校駅伝とは意外。

そう思ってたのに完全に得心させられた。

 

部活に全てをかける青春がまぶしい上に

ミステリとしての面白さを内包していて

スポーツ界の闇に切り込む鋭さもあるの。

 

勝利至上主義が学生スポーツを染めると

子供たちの人生が狂いかねないと知って

美しさの裏側にあるものに背筋が凍った。

 

まさかこんな方向に話が進むとは思わず

終盤にかけて驚かされっぱなしだったわ。


ま、いろいろと考えさせられたわけだが

無心に楽しめる場面の方が多いのも事実。


ガチで燃え上がる走りへの情熱が凄いし

自分が大変なときでも周囲を気に掛ける

キャプテンシーにも注目して欲しいよ~。


素材文適性は男子部員との会話シーンで

二つの感情が生まれるあたりにあるかも。

たぶん探せばもっとあるだろうとは思う。


これはスポーツに限らず言えることだが、

ストイックに努力する姿はやっぱしイイ。

 

頑張る人は正しく導かれてほしいもんだ。


難易度やや難の本作への感想はこれナリ。

 

スポーツに求められる価値はもっと多様であっていいとストーリーが教えてくれました。

 

主人公は駅伝強豪校の仲間思いな部長。

部活一筋の彼女が襲い来る大小のアクシデントに向き合いつつ、青春のタスキをつなぐために駆け抜けます。

 

努力&友情というベストミックスにまさかの一石が投擲される衝撃!

 

迫真のスポ魂シーンに体が熱くなり、学生の未来が軽んじられる危うさには寒気を覚えましたよ。

 

競技者として生きることの厳しさ、勝利至上主義の危うさ、すべてを知ったうえで主人公が選び取る道の尊さといったら!

 

『ひなたの中継点』感想・レビュー

 

強い気持ちに圧倒される(2026/9発売)

 

見た目が気にならないわけではない。でもそれ以上に、自分に恥じない走りをしたい。(本文より)

 

自分をあきらめないで『海の底に雨は降らない』(上村 裕香)

大人が大人の役割をしてくれへんかったら、子どもはほかの子どもよりずうっとはやく、大人にならなあかんやん?(本文より)

 

川端康成の『十六歳の日記』って短編は

盲目のおじいちゃんのお世話をしながら

学校に通っていた著者の体験談らしいよ。

 

そんな知識もこの本が教えてくれたわ~。

かの文豪もヤングケアラーだったんだな。

 

さて今回の紹介本は家の事情ってやつで

社会の枠から弾き出された子の生き様を

リアリティたっぷりに描いた作品なんよ。


主人公は普通の生活が欲しかった二十歳。

そんな彼女が自殺ほう助で糾弾されるの。


ぬくぬく育った人間には刺激が強いけど

これは目をそらしちゃいけないと思うわ。


安全なゾーンから誰かにレッテルを張る

ことの暴力性が身に染みるところも大事。


ひたすら暗いストーリーって訳じゃなく

ユニークなキャラとの関係が盛り上げる。


特に国語のテストの選択問題をミスった

作家がキレ散らかすあたりは笑えたわ~。


素材文適性は破天荒な作家がイベントで

語るあたりなどにちょっとあるかもな?


人としてどうあるべきか考えさせられる

本作の難易度は難しいって分類になるよ。


以下、心を動かされまくった俺の感想だ。

 

この本はきっと、絶望の淵にある誰かのよりどころになるでしょう。

 

茨の道で受傷を重ねた女の再生の物語です。

主人公は10歳から10年にわたり母親を介護した娘。

 

衰弱し、心も壊れていく母の自死を手伝ったことで世間の風当たりにさらされた彼女が、物書きの世界にいざなわれ、苦難に満ちた過去と対峙していくストーリーです。

 

いったい誰がこの子を批判できようか?

そう思わずにいられませんでした。

 

親の身勝手さに怒りが沸騰した一方で、もし自分がその立場ならと思い至ったとき、安易に断じられないとも感じましたよ。

 

いきなりの重い展開に釘付けになりますが、小説のためならなんでもする型破りな作家が関わってくるあたりから、いっそう目が離せなくなりますね。

彼女の確固たる信念は必見!

 

粘り強い編集者や真摯な保護司からも人の温かみが感じられました。

 

自分の力ではどうにもならないとき、人に頼っていいと訴えかけるストーリーが、波乱に満ちた咎人の歩みを通じて痛いほど胸に響く一冊。

 

これはヤングケアラーの闇を照らす希望になると思います。

 

『海の底に雨は降らない』感想・レビュー

 

身近な人ガチャも大事(2026/7発売)

 

高校生のころなら、綺麗事を言いやがって、と切り捨てたのかもしれない。でもいまは、そうじゃなかった。(本文より)

 

励ましてくれるだけじゃない『海辺のエール』(青山 美智子)

頭が痛いとき、鎮痛剤を飲むでしょ?心の傷だって、まず痛み止めが必要なのよ。(本文より)

 

受験界でも注目される先生が描き上げた

小説の魅力がぎっしり詰まった一冊だよ。

 

やっぱし青山劇場は特別感が溢れてるわ。

 

心のHPを回復させ自分の見える世界を

より鮮やかな色彩に変えてくれるもんよ。


読み終えての満足感はもはや異次元だな。

 

本作で名優ぶりを発揮する看板鳥もイイ。

 

九官鳥は人間を仲間と思ってマネをする

みたいな興味をそそられる話もあったわ。


エールの本来の意味も学びになったな~。

 

英語だと痛みや怒り興奮等で大声を出す

ことらしいからニュアンスがだいぶ違う。

 

素材文適性はやっぱし極めて高い部類だ。


全5章+エピローグっていう構成だけど

5章『漂流者の鍵盤』を筆頭にして1章、

3章、2章、4章の順で使えそうに思う。


問題文になりそうな箇所(一例)

◎施しへのリアクションで揺らぐ気持ち

〇小石騒ぎの余波がくれた大きな気づき

△遠かった家族との心の距離が近づく日

◎ほっこり対話からはじまる激動の午後

◎大人が優しく説く尊い価値観が沁みる

〇青春きらびやかなふたりのエール交換


まぁ、青山先生の本が使いやすいだとか

あたぼー過ぎていまさら感があるんだが

これはフツーに頻出になるタイプの本だ。


もしも試験に出なくても人生の中で出る。

この作品のギフトが生きる場面が必ずな。

 

難易度は例の4段階だとやや難って分類。


以下、いささか抽象的だがマイレビュー。

揺さぶられ過ぎるとこうなっちゃうのよ。

 

エール=応援だと思っちゃいました?

それだけじゃないんです!

本作ではその言葉が持つさまざまな意味に出会えますよ~。

 

鶴の一声ならぬ九官鳥ハッチの発声が安らぎをくれる連作短編集。

人生の岐路で迷う人々が、運命的な出会いに揺り動かされ、確かな一歩を踏み出す決意を宿していきます。

 

前向きな思いの連鎖が素晴らしい!

これは心の特効薬ですね。

彼らの”高め合い”がときにじんわり、ときに稲妻のようにハートに効きまくりました。

とくに少年がくれる常識を覆すような気づきが鮮烈でした。

 

極上の癒しに感謝だよぅ。

 

『海辺のエール』感想・レビュー

 

江ノ電の魅力もたっぷり(2026/10発売)

 

恐怖とか不安って、生きたいっていう大事な本能だよね。何かをこわいって思うのは、弱いんじゃなくてむしろ、生命力の強さだと思うな。(本文より)

 

貫け、マイウェイ『堂下家の姉妹』(いとう みく)

そんなふうに言えばわたしが同情すると思った?(本文より)


頻出作家の来月発売される期待の新刊本。

 

先天性免疫不全症の姉が家にいることで

普通の暮らしができない16歳の物語だ。


絶対君主のような姉の無軌道な振舞いに

揺れる少女の生き様に釘付けになったわ。


親としてはたとえそれで助かるとしても

子どもに子どもを背負わせ人生を歪める

ようなことをしてはいけないと実感した。


とはいえ、現実に生活が回らない問題も

重くのしかかってくるのは間違いないが。


そういったことを考えさせられる部分に

この作品の深みがしっかり感じられたわ。


誰かを頼ることを肯定するくだりは光明。

自己無価値観を爆破するパワーも眩しい。


それに照らされ救われる人が絶対いるよ。

そんなかけがえのない価値がある作品だ。

 

難易度の面では紹介作の中で普通レベル。

 

以下は、出版社に送信済みのレビューを

ちょっとばかし手直ししたバージョンだ。

 

言葉巧みな理不尽女王が降臨!

 

「きょうだいの呪い」って一体?

まず、あらすじにそそられましたよ。

 

ホラーめいたナニカも頭をよぎりましたが、その手の話とは一線を画した物語でした。

 

これは生き方にガツンと効きますね~。

 

主人公は極端に病弱な姉を中心に回っている家庭で暮らす高校一年生。

自分よりも姉優先で生きてきた彼女が、思いがけない出来事に巻き込まれ、みずからの価値観を上書きしていきます。

 

ナニコレびっくりしすぎる!

 

何をしでかすかわからない姉に振り回されまくる序盤から心を持っていかれました。

 

そんな姉の第一印象は、”なんて嫌なやつなんだろう”だったのに、話の進展とともに気持ちが揺らぎましたよ。

とんでもない魅力が潜んでいるのを、裏のない言動の中に感じたので。

 

もうひとつの「きょうだい」は、これまた最初のイメージとその後のギャップが鬼レベル。

彼らとのかかわりの中であらわになる驚きの胸の内が刺さりました。

 

誰かを言い訳にして生き方を凝り固めてしまうことの過ちに、私も気づかされましたよ。

 

一番好きなのは、歯に衣着せぬ姉の言葉が”あの人”に直撃する瞬間。

私が言いたかったことを威力倍増して放たれたセリフに快哉を叫びました!

 

その結果まさかの非常事態となって、さらに面白さが倍増するのですが。

 

終盤の心の叫びもグッときました。

その一言を主張するために編み上げ、練り上げられた本なのだとさえ感じましたよ。

 

にぎやかで軽快なストーリーに乗せて、重いテーマを描き上げた素晴らしき一冊。

その中には、生きづらさと真摯に向き合う著者の人間愛が息づいていました。

 

どうなる?召使のような日々(11/18頃発売予定)

 

どういうこともなにも、だれかのためって言ってる人は大抵自分のためなんだよ。(本文より)