音楽に勇気づけられ、何もないところから力が湧き上がってくる。(本文より)
作問選書もたけなわのころに発売された
読み友さんたちの評価がもの凄い短編集。
音楽業界の片隅で足掻くアーティストが
置き土産のように残した渾身のソングが
めぐりめぐって人々の運命に働きかける。
一言でいうとこんなストーリーだったわ。
とりわけ素晴らしかったのは、第一話の
恩返しを生きがいと決める青年の心意気。
動画作りにのめり込む青年の話も面白い。
彼の危うい恋路からは目が離せないよ~。
素材文適性が高いのは『マホウノオト』。
音楽センスに恵まれた高校生が合唱祭で
思わぬ経験をするっていう青春小説だよ。
クラスメイトの優しさを痛みに感じたり、
意外な行動で強いメッセージを放つ瞬間、
このあたりが技あり選書になりそうかな。
未来を信じられない主人公の変化に注目。
やっぱ合唱モノはいいと実感できたわ~。
全体の難易度はやや難だけど件の短編は
学生視点ということもあって読みやすい。
音楽の力が歓喜へいざなうストーリーは
幅広い年齢層に刺さるんじゃねーかな?
以下は俺が書いたレビューの要約版だよ。
バイタリティが湯水のように湧いてくる一冊。
玄人好みの売れないシンガーソングライターが残した楽曲が、人々の心を動かしていくさまを描いた連作短編集です。
駆け出し芸能マネージャー、燃え尽きそうなOL、一目惚れの青年、不安に囚われる少女など、心が悲鳴を上げそうな彼らが、音楽の力に導かれて人生の転機を迎えます。
読むほどに増幅されるアツさが心をいっぱいに満たしてくれますね。
噴きこぼれそうな感動のやり場は、今この場所。
一音一音にこだわった言葉の連なり、美しい詞が聴かせてくれるくれる奇跡、あなたも感じてみない?
未来はわからない。不安もある。でも、悪いことばかりじゃない。私の知らない、スマホでは得られない、魔法のような体験がきっと待っている。(本文より)