中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

自然とSDGsが学べてしまう『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』(ブレイディ みかこ)

子息の学校生活を描きながら 身近なところにある社会問題を 題材にした前作は大ベストセラー。 入試にも何校か採用してたわけだが、 今作では貧困・性別・人種などによる 不平等をさらに多く取り入れてる感じだ。 9月発売なんで2月の入試で出るか微妙だが SD…

狂気に支配された世界で『ぼくがきみを殺すまで』(あさの あつこ)

題名からしてヤバいが 今月の四谷大塚合不合と 日能研の模試で同時出題だ。 少年たちが戦場に駆り出され 主人公の士官学校の同期たちも あっさり、次々と散っていくんだ。 主人公目線で戦時下の狂気を体感して 平和な日々のありがたみを実感できるぞ。 『ぼ…

それは稀有なものなのです『世界でいちばん優しいロボット』(岩貞 るみこ)

『世界でいちばん優しいロボット』(岩貞 るみこ/講談社) 今どき珍しいとさえ思う 良質なノンフィクションだ。 頑張り抜き工夫してみんなを 幸せにする人を追った3編だぜ。 どの話も子供の教育に良さそうだ。 装丁は中学年向きのように見えるが 5年生以上…

イジケ少女、ツンツン少年に伴走する『星くずクライミング』(樫崎 茜)

今年頻出だった『朔と新』は ブラインドマラソンの話だよな。 ジャンルが近いパラクライミングを 扱ったのが『星くずクライミング』だ。 この本も季刊『飛ぶ教室』の紹介作品だし、 出題実績もある著者なんでチェックしてみた。 bookmeter.com 物語の概要は…

45%が開成を辞退する『プレジデントFamily 2020年春号』(プレジデント社)

またまたプレジデントFamilyの バックナンバーに出ていた話だが、 中受で最も重要な課題は勉強嫌いに させないことだと専門家が言ってたわ。 できないところばかり見て親が怒ってると 間違いなく勉強嫌いになるっていうんだよな。 がんばれば成果が実感でき…

一石二鳥の珍作戦とは?『風と雨』(森 絵都)

いやー長かった。 うちの受験生がやっと 入試レベルの本を普通に 読めるようになってきたわ。 楽しく読めそうな作品を選んで 手渡したのが良かったみたいだな。 特に、『金の角持つ子どもたち』には 勉強のやる気を分けてもらったみたいだ。 自発的に頑張る…

水を飲め、さぁガムを噛め『プレジデントFamily 2020年冬号』(プレジデント社)

だいたい1年前の雑誌だが、 この時期にピッタリの内容だ。 不安や緊張で子供が委縮しがちな 折には親の心の安定が特に大事って 話はその通りとしか言いようがないぜ。 なんせ怒ると偏差値が下がるとも言うしな。 イライラを抑える為のテクがなかなか実践的…

元・頻出作家、久々のスマッシュを放つ『青く塗りつぶせ』(阿部 夏丸)

入試で出そうな本を アマゾンで検索すると コレもと表示される本だ。 都会の学校で傷ついた少年が、 開放感溢れる島で奇跡のような 体験をするっていうストーリーだ。 注目したいシーンの要約はこんな感じ。 社会の自習時間に将来のことを話し合う5人。話題…

【本気レポート】彼らは『飛ぶ教室』を見ている

『飛ぶ教室』(光村図書)バックナンバーより どうして前の年まで注目されていなかった作家の作品が、いきなり多くの中学で出題されるのか? 『君たちは今が世界(すべて)』(朝比奈あすか)が開成、海城で出たのはなぜか?『朔と新』(いとうみく)はなぜ…

納得の夫婦喧嘩『雪のなまえ』(村山 由佳)

飛ぶ教室の選書だ。 これは先生が入試で 使いたくなりそうだぜ。 出しやすい箇所が多すぎて 的が絞れないが章の終わりに 見事な見せ場が来ることが多い。 特に、2・4・6章等は終盤だけでも チェックしておくと良さそうに思うぞ。 あと、両親の演説シーンだと…

きっと、タイが好きになる『9月9日9時9分』(一木 けい)

「渡り廊下で出会ったあの日から、私の目に映るものはどんどん輝きを増していく。何もかもがこれまでと違い過ぎて、どうしたらいいのかわからない」(本文より) 女子高生の瑞々しい 恋愛を描いた作品だが 軽いノリじゃないんだわ。 誰にも歓迎されない関係…

出題が予想される物語文『みつばちと少年』(村上 しいこ)

『みつばちと少年』(村上 しいこ/講談社) 何かの賞獲りそうな本だ。 だれかと心を通じ合わせたい。 そう願う発達障害傾向の少年が、 養護施設で素敵な出会いをするぞ。 当り前に育っていない彼らとの関りで 主人公が一皮も二皮もむけるって話だぜ。 今年読…

一生モノの気づきがある『サイコーの通知表』(工藤 純子)

駒場東邦中で 出題実績のある 工藤純子の新作だ。 小4・小5レベルに ちょうどいい感じだが、 俺はスゲー気に入ったぞ。 何しろ、この児童書の中には 一生モノの気づきがあるからよ。 ストーリーのさわりはこんな感じだ。 主人公は小4男子。通知表の全項目…

いまを精一杯生きるということ『時のむこうに』(山口 理)

小3の娘に薦められたが 読解力では小5相当以上の 実力がないと読めないかもな。 今を生きることがどれだけ幸せか 実感させるのに『火垂るの墓』とか 『この世界の片隅に』がいいかな~? とか思っていたが、この本もなかなかだ。 現代っ子達が大変な時代の暮…