自分に集中する視線を、「何か?」みたいにケイティが不敵に見返した。教室が静まり返った。(本文より) ハーフって呼び名が適切か解からないが 今の価値観で複数のルーツを持つことは プラスに捉えられることが多い気がする。 本作は世の中がそうなるより…
・・・あの、おれ別に中学受験とかしないですけど。(本文より) 物語を読むことで国語力が補強される本。 こんなに楽しい参考書はないと思うな~。 きわめて基礎的な話に絞ってあるんだが それでも国語が苦手な子は目から鱗かも。 物語ゆえの伝わりやすさっ…
毎年ぼくは、夏休みの終わりは作文に泣かされる。だって書くことがないんだもの。ところが、今年はちがった。(本文より) たまに入試で見る作家の10月に出た本。 行き当たりバッチリってソラモリさんの 言葉を地で行くような父親に連れられて 小5男子が…
僕、また、学校に行けるんだよね?(本文より) 『あめつちのうた』が頻出の先生の新作。 これは今年俺が最も揺さぶられた本だよ。 幸せな4人家族で暮らしていた男の子が がんに冒されちまうっていうストーリー。 俺、若い主要キャラが病気になる話には 引…
今年も高校入試版の予想を作ってみたよ。 中・高入試ともに選書の傾向は似てるが、 高校は秋発売の作品も割と出ているから、 中学入試版とは違は少し顔ぶれになった。 平易な作品をカットしたのも相違点だわ。 高校入試の国語出典予想20選 (タイトルによ…
書き上げた渾身の駄作を見ながら、修司は満足げに頷いた。(本文より) 入試で見たことのない作家の先月出た本。 目標を見失い心に蓋をしていた男の子が 驚くような展開で変わっていく物語だよ。 青々とした感謝のラリーが心地よかった。 文芸志向の少年と少…
部活も受験も、大事なのはそのとき自分で選び取ったものかどうかってことだとあたしは思うんだよ。(本文より) ものすごい作家が彗星のごとく現れたよ。 これは9月に発売されたスポ魂青春小説。 5人の個性バラバラな陸部高校生たちが リレー競技に向き合…
2026年入試版出典予想ランキングに 10作品を追加してベスト100にした。 【2026年入試版】国語出典予想ランキング(2024年9月~2025年8月発売) 今回の追加作品リスト 28位 『9月1日の朝へ』(椰月 美智子)48位 『星の花』(濱野 京子)54位 『…
自分はあまりに無知だった。あの長い戦争が成長期の少女たちに与えた傷を軽視しすぎていた。(本文より) 歴史や教育に関心がある人に推せる一冊。 中受界隈では大御所の森絵都先生の本だ。 舞台は戦争の傷跡残る昭和21年の東京。 米軍所属の日系人が若い…
新刊ラッシュはそろそろ小休止する感じ。 成瀬シリーズ最終巻はいくつかの短編を 読んだ限りではかな~り強力ゆえ最注目。 成瀬シリーズのレビュー済み短編 待ってたのは、コレ!『やすらぎハムエッグ』 歩けよ黒髪の成瀬『実家が北白川』 会計畑の成瀬『ぼ…
僕はときどき思うんじゃ。お祖父ちゃんがお父さんだったらよかったのに、って。(本文より) 中学入試ではほぼ見ない作家の9月の本。 エモさも驚きも抜群のストーリーだった。 これはもの凄いポテンシャルがあるわ~。 描かれるのは窯元育ちの少年の成長だ…
まあ、でも、お願いしたことに対して、自分が一生懸命努力するから、かなうのかもね。(本文より) 今日は佐藤先生デーのようになってるが これは9月に出た匠シリーズ第二弾だよ。 寺社建築という全く未知の世界の空気を 物語で味わえるのがこの作品の魅力…
五年生の十月までは小学校に通っていた。(本文より) 公的援助の手が届かない居所不明児童の 過酷すぎる生き様がリアルに描かれた本。 秋から冬にかけて怒涛の出版をされてる 先生の先月発売された衝撃作になるよ~。 クズの見本のような男の元で生きるしか…
そう、僕は一度はっきりと父を見限ったのだ。(本文より) 心温まる作風の先生が8月に出した本だ。 すれ違ってきた父と子の関係性の変化が しっとりと描かれたストーリーだったな。 平穏な日常に訪れるちょっとした危機に 主人公が清く正しく向き合うような…
この劇は、なに?あたしたちは、なんのためにこんなことをさせられてるの?(本文より) 中2男女が連れ去られ強制的に演劇特訓。 10月に発売されたミステリ調の作品だ。 軟禁されるなかでバラバラだった8人が 自身の過去を客観視し絆を深めていくよ。 俺…
僕らは奨励会に入るとき、自分たちは人間でないのだとたたきこまれる。(本文より) 稀に入試で見る作家の9月に出た作品だ。 描かれるのは将棋に全てを賭けた二人の 対照的なようで通じるところもある人生。 ふてぶてしい強者を想像する題と絵だが 登場する…
本当に、何の前触れもなく、落とし穴みたいに床が抜けて、奈落の底に落とされるんだ。(本文より) 氷室冴子青春文学賞の準大賞作品だよ~。 読み終わって何て言ったらわからず放心。 あまりに過酷な現実に光を当ててるから。 ただ、後味がいいってことは断…
この先何年生きられるかなんてわからない。やりたいこと以外に時間を使う気はなかった。(本文より) わりと入試で見る作家の8月に出た作品。 若者たちのユニークな起業を描いた話だ。 最高の相棒と個性派揃いの仲間とともに 癌からサバイブした青年が奮闘…
“難病の美少女”の実態を、よく見ときなよ。あんたが大好きなきれいな小説や映画とは違うから、ほら。(本文より) わりと入試で見る作家の11月の新作だ。 周囲の考える普通との違いを抱えながら 人知れず苦悩する人びとが描かれている。 溢れるほどの多様…
あの頃は、僕たち三人がばらばらになるなんて想像もしなかった。(本文より) 体温が下がり心拍数の上がるストーリー。 選書シーズンに書店で平積みだった本だ。 社会派らしいエッセンスが入っているよ。 とくに衝撃的だったのは7歳のふたりが まさかの事態…
ただのページの束に、壮大な知識の海が広がっていた。(本文より) 中学受験界隈で手垢のついてない著者の 9月に発売されたメガトン級の作品だよ。 今回の本は問題文に使えそうなくだりが 秋以降に出た新作では最多となる9箇所。 中受物語文は圧倒的に女性…
いちばんやさしくしてほしい人が、いちばん苦しめるのはなぜなんだろう。(本文より) 約40日後の12月25日発売予定の本。 これは小学生には見せられない系だけど マスク依存の中学女子の葛藤であるとか 恋に悶絶する高校男子も出るんだよな~。 青々と…
わたしの十五歳は、辛い日々だったけれど、同時に世界の明るさを知った年でもあったのよ。(本文より) たまに入試で見る作家の6月に出た作品。 ファンタジーだが割と現実寄りだったわ。 俺なんかにもすぐ入りこめて助かったな。 国同士の争いに子どもたち…
「・・・・・どこで間違えたんだろう」思わずつぶやく。自分は一体、どの時点で間違えたんだろうと。(本文より) 頻出作家の8月20日に発売された作品。 これはもう少し早く出てほしかったな~。 異質な家族のこれまた変わった生き様を 驚くほど繊細に描…
使えるもの、全部使って自分を出し切れ。(本文より) 佐渡島が好き過ぎる先生の先月出た作品。 今作は個性あふれる少年達の成長物語だ。 ちぐはぐ感のあるミニバスケのチームが だんだん形を成していくさまが熱いよ~。 スポーツ物ってしょっぱなから熱血だ…
がんばったって、耳のせいでどうせうまくいかないんだったら、がんばる意味なんてないって思うようになった。(本文より) 10月の期待の一冊に選んだ作品の紹介。 主人公は小学校時代から難聴が始まって 大好きなバドミントンをやめた中二女子。 聴こえな…
わたしは無意識に友だちと近づきすぎないように距離を取るところがあるのかもしれない。あの日からずっと。(本文より) もうじき発売されるいとうみく先生の本。 これは世のため人のためになる物語だよ。 最初に断っておかないといけないことは 今回のレビ…
あのね、あたしみたいな子ってさ、はじめての場所に行くと、そこにいる子たちにわっと注目されるの。(本文より) これは安心して子どもに渡せる系の物語。 もうじき出る小川未明文学賞大賞作品だ。 去年もやさしさあふれる小説だったけど 今年もその傾向は…
まずい。あかりは言ったそばから後悔した。でも、一度言ってしまった言葉は、とりけせない。(本文より) 昨秋発売された中学受験鉄人会の推奨作。 かつてうちの受験生もコチラの推し本に 志望校の本番で助けられたことがあるよ。 特殊設定が活きる筋書きは…
頼任さん学生の頃モテたって聞いてますけどその割に恋愛偏差値20くらいしかなくないです!?(本文より) 宝飾品業界が舞台となるお仕事&恋愛物。 『阪急電車』でも知られる作家の小説だ。 貧困とは対極にある世界が描かれていて 見慣れている本とは別物で興…