中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

ただでは起きない文学女子『文豪中学生日記』(小手鞠るい)

受験生にはちょうどよい難易度の文だが、 日記形式の部分は出題に使いにくいかな。 とはいえ、えぇっ、そうなの!って思う 箇所もあって思わぬ知識がえられるかも。 例えば、七夕について書いたくだりとか。 もともと七夕の短冊には、文字や習字や文章の上達…

出題されるかもしれない新刊本(2022年10~11月)

今後発売される新作は、ほぼその年度の 入試に出ないが、これがいま気になる本。 ま、近年の桜蔭みたいに秋冬の新作から 出題してくる学校もあるにはあるんだが おもに2024年・2025年組向けだ。 『水底のスピカ』(乾 ルカ)10/5発売 『ぼくたちはま…

燃えよ!ライバル心『星屑』(村山 由佳)

たまーに入試に出る作家の7月発売の本。 エンタメ色が強いんで入試に出にくそう なんだが、少女たちの成長物語って点は 一応注目ポイントなんでチェックしたわ。 面白くてハマるんだけど出題されそうな 箇所はあんまし多くはない印象だったな。 ちなみにこ…

みんな、抱えるものがある『おにのまつり』(天川 栄人)

過去作品がラノベ寄りの作風だったんで 読友さんの推奨とかスルーしてたんだが 鉄人会の出題予想作品なんで読んでみた。 軽妙な文体なんで取っつきやすそうだわ。 小5レベルでも十分読めそうな感じだな。 出題するとしたら中堅校以下の層かもな。 以下は俺…

不安と焦りは狂おしく『五年目の受験詐欺』(辻村 深月)

『噓つきジェンガ』は頻出作家の新刊だ。 詐欺を描く3つの中編作品が入ってるが、 中学受験では出題されなそうな印象だわ。 ただ、『五年目の受験詐欺』は中受親が 特にハマりそうな部分もあったけどな? 詐欺師の受験アドバイスが意外と適切で 読んだら参…

広島は8月6日が登校日『モノクロの夏に帰る』(額賀 澪)

『モノクロの夏に帰る』(額賀 澪/中央公論新社) そこそこ入試に出る作家の7月発売の本。 出すとしたらかなりの難関校だろうな? 普通の小6には歯が立たなそうだからよ。 昔のあからさまな戦争文学とは全然違う、 現代ならではの戦争を伝える本って趣だ。…

駒東、暁星、山手など、なかなかアツい『青春サプリ。』

8巻まで出てる部活ノンフィクションだ。 一冊で5つの中高を紹介する企画ですわ。 全40校のうち俺が気になったのはコレ。 青春サプリ。(1)自分がここにいる理由 法政大学第二 合唱部 青春サプリ。(3)乗り越えられない試練なんてない 暁星 競技かるた…

少年は勇気を、少女は元気をくれる『スクラッチ』(歌代 朔)

出題実績ゼロの作家の6月に出た本だが、 読友さん達の推奨が激しいんで読んだわ。 評判以上の面白さなんでお宝発見な気分。 今日現在、アマゾンのこの商品を買った 人はこんな商品も買っていますってので 渋幕、豊島岡、桜蔭の赤本が表示される。 もしかし…

ツンツン、トゲトゲ、そのワケは?『金曜日のヤマアラシ』(蓼内 明子)

人間の気持ちって、なんであんな一瞬でうらがえるんだろ?(本文より) あんまり出題実績のない作家の新作だが、 素材文にしやすそうなんでチェックした。 いやな転校生が来ちゃったなというのが 関わってみたらいいやつじゃんに変わる。 一言でいえばそんな…

心ぽかぽか『掬えば手には』(瀬尾 まいこ)

秀でたものなど、自分にはまったくないと思っていた。個性も目立てるものも才能も何もない平凡な人間だと。(本文より) 頻出作家瀬尾まいこの7月発売の新作だ。 やっぱ根はいい人が多くて心温まる作風。 小説として面白いのは間違いないんだが、 主人公の…

出題されるかもしれない新刊本(2022年8~9月)

秋以降発売の作品はあんまりその年度の 入試に出ないが、これがいま気になる本。 どれもこれから読むんで、中学入試には 向かない作品も混じってると思うけどな。 『5年1組ひみつだよ』(吉野 万理子)8/11発売 『噓つきジェンガ』(辻村 深月)8/25発売 『…

「開成から東大とか、いらないんで」

個別塾には1対2のところと完全個別の 両方に通わせたが、全くの別物だったわ。 先生1対生徒2の個別は塾のメイン教材 学ぶのに役立ったのは間違いないんだが 志望校対策にはちょっと役不足だったな。 先生が過去問の予習まではしてくれない もんだから時…

個別重課金のタイムリミット

難関校で高い判定取れるような子の場合、 個別塾を併用する際にはリミットがある。 合格実績に貢献しそうな子はいい先生を 担当にしてもらえる可能性が高いんだが いつ入塾してもいいわけじゃないんだな。 なぜなら塾が合格実績に加えるためには 在籍3ヶ月…

同調圧力がコワ~い『星の町騒動記: オオカミさまあらわる』(樫崎 茜)

まれに入試に出る作家の6月発売の新作。 オカルトっぽい題名だが中身はノーマル。 読書感想文コンクールの課題図書になる のではという声があったんで読んでみた。 良書なら出題者の目に止まると思ってよ。 正直、終盤になるまで高評価される点が わからな…

弱点を生かす立ち回りが凄い『母の国、父の国』(小手鞠 るい)

『母の国、父の国』(小手鞠るい/さ・え・ら書房) 差別され疎外されている人には、差別の壁を崩す楽しみがある。壁に挑戦する喜びがある。弱点を生かすのだ。損をして、得を取るのだ。(本文より) たまに入試に出る作家の7月発売の新作。 差別について考え…

大切なことを教えてくれる『あの子のことは、なにも知らない』(栗沢 まり)

考えた時間はむだではない。自分の知らない世界を想像し、思いやった経験は、これからぜったい生きてくる。(本文より) ポプラ社から3月に発売された新刊本だ。 中受では出題実績のない作家だと思うが 恵まれた子らが想像しにくい環境の話は 難関校好みの…

まさか、まさかの『ノレノレかるた 二人でつくる卒塾制作』(こまつ あやこ)

見えない何かに後ろから両肩をつかまれて、「あっち」「こっち」と振り回されてる自分の絵が思い浮かぶ。全然自分で歩いている気がしないんだ。(本文より) 2019年最頻出作家の7月発売の新作。 定型詩や異文化もテーマに関わっていて 出世作の原点に回…

【本気レポート】入試問題の難易度を学校別・科目別に偏差値化する(算数・国語編)

日能研オン・ザ・ロードの資料『学校別・分野別難易度一覧』の2年分を集計して書いた記事が人気なので、改良版を作成してみました。変更点は、多く出た分野のウエイトを重くしたうえで、難易度を偏差値化した点です。ランキングの作成方法は末尾に書いたので…

多様な価値観に触れられる『空と大地に出会う夏』(濱野 京子)

割と出題実績のある作家の注目の新作だ。 合理的じゃないことが嫌いだった少年が 多様な価値観を受け入れられるまでの話。 変わった友達との交流が少年の気持ちに どう影響していくのかがポイントだろう。 難しくはないので、どのレベルの学校で 入試素材に…

音楽が心をつなぐとき『トーキングドラム 心ゆさぶるわたしたちのリズム』(佐藤 まどか)

そこそこ入試に出る作家の7月発売の本。 両親や兄弟の仲が悪くて家が戦場みたい という少女が居場所を作っていく物語だ。 出題されそうな本の中ではかなり易しい。 普通の小5なら十分読めそうな印象だわ。 出すとしたら中堅校から準難関校までか。 俺のレ…

さまよう少女たち『パパイヤ・ママイヤ』(乗代 雄介)

「わたしその時に、一番に愛される期待なんてしないって決めたの」(本文より) 2022年入試でもかなり的中があった 鉄人会の出題予想作品なんで読んでみた。 親のせいで大変な生活を強いられてきた 少女の新奇な夏の過ごし方が描かれてる。 登場人物目線…

理想に燃える教師像『空にピース』(藤岡 陽子)

『金の角持つ子どもたち』で注目された 藤岡陽子の2022年2月発売の新作だ。 一言で言っちまうと6年の担任になった 若い女教師が荒れた学校で奮闘する物語。 困り感のある子をマンツーマン対応とか、 現役教師が読んだら、大変な教育職場で こんなマネ…

その思い出は宝物『すこしずつの親友』(森埜 こみち)

自分の時間を自由に使い、行ってみたいと思うところに行けるというのはなんて素敵なことなのだろう。それが大人になるということならば、わたしは早く大人になりたい。(本文より) デビュー作が鴎友学園、2作目も入試で 使われた森埜こみちの6月発売の新…

しずかちゃんの言葉がけ『プレジデントFamily 2022年春号』(プレジデント社)

『新受験に強い子になる』という特集が 組まれてたプレファミのバックナンバー。 一番惹かれた記事は親の4つの心得だな。 声かけを変えてみようというくだりでは、 しずかちゃんを見習いたいと謳っててよ、 それが思わず膝を打つような話なんだわ。 彼女(…

算・国の難易度に偏りがある学校(中堅校~上位校)

日能研の入試分析会で配布された資料より 引続き日能研オン・ザ・ロードのネタだ。 国語素材文の冊子を狙って申し込んだら、 思わぬお宝があるのを見つけちまったわ。 それが『学校別・分野別難易度一覧』だ。 2年分エクセルに打込んで集計した結果、 偏差…

難問が少ない難関校

日能研の入試分析会オン・ザ・ロードの 資料のうちで、最もお宝だと思ったのは 各校の入試問題の難易度を評価した部分。 「探求したい」が刺激される中学入試問題2022の冊子より 科目だけでなく、単元別にA~Cで評価 しているから、細かい部分の難易度まで…

かな~り易しい『答えは風のなか』(重松 清)

重松清の作品の中ではかなり平易な部類。 『小学五年生』はちょっと難しいという 子どもでも、スラスラ読めそうな感じだ。 ラストを読者に委ねてる作品もあったが、 『答えは風のなか』ゆえタイトル通りか。 短編『おばあちゃんのメモ』は家族愛に ほっこり…

地道に、こつこつがいい『博士の長靴』(瀧羽 麻子)

本人の得意なことを好きにやらせるのが、結局は息子のためになるんじゃないかと。(本文より) 『たまねぎとはちみつ』が2020年に 4校で出題されてる注目作家の新作だわ。 狙い目は博士の弟子が主人公の章かもな。 彼が博士の中三の息子の家庭教師にな…

心も躍りだすリズム『ピアノをきかせて』(小俣 麦穂)

日本児童文学者協会新人賞受賞作であり、 2019年入試では3校で出題されてる。 家族愛があふれる良質な児童書なんだが 主人公の母や姉とは対照的に描かれてる 音楽を心から楽しんでる人達に要注目だ。 俺のレビューの出だしはこんな感じっす。 主人公は…

向学心がとまらない『このそらのずっとずっと向こう』(鳴海 風)

外国では女の人も大事にされ、立派に仕事をしています。これからの日本にも、そのような女の人が必要です。(本文より) 読書感想文コンクール課題図書になった こともある作家の新作なんで読んでみた。 学びたい気持ちをおさえられない少女が 外国語を習得…