中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2023年度中学入試の国語出典(紹介作品からの出題・第一報) 

2023年組は悲喜こもごもだろうな? 直前期の何も手につかなくなる感覚とか、 終了後の何もする気がなくなる感覚とか、 心がカラッポになる気持ち、わかるな~。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ まだ一部の学校しか確認できてないんで、 これから増えてくんだろうが…

胸を張って入学することの効果『令和の中学受験2 志望校選びの参考書』(矢野 耕平)

心構えに力点を置いた前作も良かったが 今作は各校の具体的な取組みがたっぷり。 ◎ 本書で特集が組まれていた学校 浦和明の星女子、吉祥女子、都市大等々力、本郷、普連土学園、桐朋、頌栄女子学院、不二聖心女子学院、金沢学院大附属 ◎ 本書で扱いが大きか…

女子校イイネ!と思わせてくれる『らんたん』(柚月 麻子)

学園だけは楽しくしましょうよ。どんな時でも、そこだけは守りましょうよ。それが私たちにできる真剣な戦いのやり方です。(戦時下の恵泉普通部を描いたくだりより) フェリスが舞台の新作『空を駆ける』も 気になってたが『らんたん』も要注目だ。 『飛ぶ教…

なんてステキな反抗期『あした、弁当を作る。』(ひこ・田中)

「いや、すげー、すげーよ、お前。反抗が弁当作りっていう、斜め上の発想がすごいよ。自分で弁当作る反抗期なんて、オレには絶対に思いつけない」(本文より、主人公の友人の言葉) 頻出ではないが、たまに出題されてきた ひこ・田中の来月9日発売予定の新…

攻める高校受験を描く『つる子さんからの奨学金』(まはら 三桃)

もっと成績をあげたい。わかばは自分の中に芽生えた感情を、抱きしめるように感じ取った。(本文より) 来月22日発売予定の頻出作家の新作だ。 先に読ませて貰えたんでレビューするわ。 受験生の葛藤がよく描かれてる作品だな。 親との方向性の違いだとか…

出題されるかもしれない新刊本(2023年2月前後)

今年の2月あたりは再び豊作のシーズン。 これから読む作品が多いんで中学入試に 向かない作品もたぶん混じってるんだが ひさびさに豪華ラインナップになってる。 『だれもみえない教室で』(工藤 純子)1/26発売 『放課後の読書クラブ』(小手鞠 るい)1/30…

弓道の魅力たっぷりの『凜として弓を引く』(碧野 圭)

毎年この時期は大学弓道の圧倒的強者が 気の緩みの蔓延で惨敗した話を書いてる。 精神を鍛えまくってる大人に近い連中も ちょっとした油断で自滅しちまうんだな。 ま、気を引き締めてこうってことですわ。 さて、今回の作品は2021年9月発売。 弓道モノ…

【本気レポート】私らしく、いられる場所へ ~或る元サピ女子の再起~

「第一志望を目指す彼を全力で支え、合格を祈っていた頃が一番幸せだった。」 喜びを爆発させた合格発表から1年もしないうちに、こう言い残してネットから消えたSNSユーザーがいました。 同居親の介護という重いミッションをこなしながらの伴走、大金星。け…

サクサク、サクセス? 栄東

すべり止めの星とか言われることのある 栄東なんだが、かなりいい校風らしいな。 売り出し中の進学校って勉強少年院的な イメージなのかと勝手に思ってたけどよ、 中の人の話によりゃあ全然ちがうらしい。 通える距離なら本気で考えていいかもな。 いち併願…

小さな事件を追いかけて『ひみつの犬』(岩瀬 成子)

「人が自分の弱い心と闘っているときに、それを笑っていいはずがないじゃない」(本文より) たまに入試に出る作家の10月の新作だ。 絶対の正しさなんてないと教えてくれる 作品なんだが、平易で読みやすいだろう。 前半は人間関係の不協和音がギッシギシ…

優しくて、せつない『黄色い夏の日』(高楼 方子)

まれに入試で使われることのある作家の 2021年9月に発売された作品ですわ。 この作家は『時計坂の家』が超お勧めだ。 今作は主人公が不思議な空間に行く点で 『時計坂の家』に少しは似ているかもな。 読めば終盤のあたりで切なくなるだろう。 俺のレビ…

コロナ禍を生き抜く中学生たちを描く『マスク越しのおはよう』(山本 悦子)

わたしね、コロナのおかげで、自分にとって何が大切なのか、考えるようになったよ。(本文より) 『神隠しの教室』で有名な作家の新作だ。 この先生はわりと低・中学年向けが多い。 今回は少し上の層がターゲットのようだ。 主人公たちは中2だが年齢の割に…

お年寄りへの理解を深められる『エツコさん』(昼田 弥子)

来週の火曜日に発売予定の新作なんだが、 10歳あたりでも難なく読めそうなんで、 高学年の模試にピッタリなレベル感だわ。 本番入試で使うには易しすぎるっぽいが、 認知症の老婦と子ども達の交流の話だし、 テーマ的にはアリなような気もしている。 連作…

桜蔭の出題者に選んで欲しい3作品

通常、入試問題に使われるのは夏までに 出た作品だが、桜蔭は秋・冬の新作でも フツーに出題してくるから変わってるよ。 2020年出題 前年の7月25日発売『思いはいのり、言葉はつばさ』(まはら 三桃) 2021年出題 前年の11月14日発売『あしたのことば』(森 …

見て見ぬふりに一石も二石も投じる『だれもみえない教室で』(工藤 純子)

キレイな装画だがこれで決まりとは限らない?(NetGalleyにて読了) 来月26日発売予定の気になる新作だが、 先に読ませてもらえたんで記事にするわ。 少年4人と新米教諭が主人公という物語。 連作短編の視点が子供→大人へ切替わる ところや文章の難易度は…

こじらせ少年少女の転機を描く『給食アンサンブル2』(如月 かずさ)

2020年入試で出題校数10位だった 『給食アンサンブル』の続編となりゃあ イヤでも注目が集まるってもんだろうよ。 今回は中学2年生を描いた連作短編集だ。 中2だけあって迷いっぷりが激化してる。 ひとり悩みドツボにはまっている彼らが 様々なきっ…

実はスピカは5連星『水底のスピカ』(乾 ルカ)

人の秘密は借金みたいなものだよ。連帯保証人になる覚悟はある?(本文より) たまに入試に出る作家の10月発売の本。 5人の高校生男女を描いた群像劇だけど、 特に3人の女子に焦点を当ててる感じだ。 完全に別タイプで接点のなさそうだった 彼らがつなが…

親ガチャがハズレだと・・・『バンピー』(いとう みく)

「心温まるストーリーを見て感動できる人って、そこそこ幸せな人たちなんだよ」(本文より) まぁまぁ入試に出る作家の10月の新作。 ただ、この本は設定がぶっ飛んでるんで、 あんまし出題には向いてなさそうな印象。 描かれる子どもたちの背景はかなり重…

出題されるかもしれない新刊本(2022年12~2023年1月)

12月・1月は注目の作品が少ないな~。 オレが気づいてないだけかもしれないが、 いま判ってるのは以下の3作品のみだわ。 『エツコさん』(昼田 弥子)12/27発売 『だれもみえない教室で』(工藤 純子)1/26発売 『放課後の読書クラブ』(小手鞠 るい)1/…

初めての気持ちが新鮮な『ひこぼしをみあげて』(瀧羽 麻子)

期待していた頻出作家の今月発売の本だ。 「桜蔭の出題者に選んで欲しい3冊」で、 12月にも再度この本を取り上げる予定。 『たまねぎとはちみつ』も出題実績アリ なんだが、その続編にあたるのが今作だ。 前作を知らなくても全く問題はない感じ。 平易だ…

受験史に残る事件を描く『予備校のいちばん長い日』(向井 湘吾)

駿台も河合塾も解答速報が出せない!1998年の東大入試で実際に起きた「受験史に残る事件」を題材にした創作です。主人公は大手への対抗心に燃える数学講師。塾生想いの彼女が、弱小予備校の東大コースの存続をかけて、受験史上最大の難問に挑みます。 『予備…

国語出典予想ベスト50【2023年入試向け最終版】

※前回以降に追加した14作品 17位『空をこえて七星のかなた』(加納 朋子) 19位『宙ごはん』(町田 その子) 22位『両手にトカレフ』(ブレイディ みかこ) 28位『天の台所』(落合 由佳) 31位『パンに書かれた言葉』(朽木 祥) 34位『星屑すぴりっと』…

じんわり癒される読書『本が紡いだ五つの奇跡』(森沢 明夫)

開成が『おいしくて泣くとき』を出題し、 俄かに注目が集まってそうな作家の本だ。 開成は他校の先生も意識するだろうから。 この本が発売されたのは2021年9月。 始めの方はお仕事小説だが、だんだんと 家族小説の色が濃くなっていくんだわ~。 特に最…

歴史探索にワクワクできる『皆のあらばしり』(乗代 雄介)

『旅する練習』が今年の早実で使われた 乗代雄介の2021年12月発売の作品。 受賞はなかったが芥川賞候補だった本だ。 うさん臭い男に声をかけられた高校生が やがて男の面白すぎる生き方に惹かれて 生き方までも変えていくってストーリー。 おっさんと…

まだある出題に使えそうな『飛ぶ教室』掲載作品

『飛ぶ教室』は季刊の児童文学雑誌だわ。 ほど良い長さの短編がいくつか掲載され、 割と出題実績もあるんでチェックしてる。 2023年受験組には67号~70号が 狙い目っぽいんで使えそうなのを選んで ザックリあらすじを書いてみたのが以下。 2021/10/2…

揺れ動く中1女子の力関係『ココロノナカノノノ』(戸森 しるこ)

戸森しるこの『飛ぶ教室』連載中の作品。 いじめは止めたいけど自分自身の安全は 最優先にしたいっていう少女が出てくる。 グループ内での立ち位置の変化みたいな 中学生のリアルな日常を描いてて面白い。 家庭より級友との場面に注目したいな~。 この作家…

疎外感を消し飛ばす『夏休みの空欄探し』(似鳥 鶏)

出題実績のない著者だと思うが推す人が やたら多い話題作なんでチェックしたわ。 6月発売の新作だが作問者は見たかな? 面白いがエンタメ系の作風だと感じたわ。 出題に使えそうなところも多少あるけど 積極的に小学生に薦めたい作品ではない。 中学生の楽…

世界の広さを肌で感じられる『両手にトカレフ』(ブレイディ みかこ)

正義なんて恵まれた人間が信じるものだ。私には、私しかいない。(本文より) そこそこ入試に出る作家の6月の新作だ。 貧困や格差について深く掘り下げてるし、 特に中学生たちに読んで欲しい作品だわ。 俺のリストの中ではトップクラスの売上。 作問者も気…

助け合うってスバラシイ!『天の台所』(落合 由佳)

自分で台所に立つたびに、小さな発見がある。それを一つ一つ拾い上げて、胸にしまう。(本文より) 地元の図書館が大量に仕入れて推してる ノーマーク著者の2021年9月発売本。 あんま期待してなかったがこれが当たり。 ごはんを作ることの尊さを学べる…

開成だとか、女子学院だとか『きみの鐘が鳴る』(尾崎 英子)

こんなにも必死になったことなんて、十二年生きてきて、はじめてのことだった。(本文より) 昨日発売された十代向けの中学受験小説。 正直、小6の春あたり迄は退屈だったが、 夏からは面白さにエンジンがかかる感じ。 2月の修羅場とかもう凄いのなんのっ…