中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ラジオ番組の鑑『ヤングタイマーズのお悩み相談室』(石川 宏千花)

どうしてみんな、そんな簡単に友達を作ることができるんだろう・・・・・・(本文より) 稀に入試で見かける作家の8月の新作だ。 悩める子どもたちにマジで届いてほしい 面白いだけでなくためになる一冊だわ~。 考えすぎて一杯一杯になってる中学生が パー…

水上を駆けるように『サーファーガール: かがやく波に乗れ! 』(麻生 かづこ)

今年5月に発売されたスポーツものだよ。 控え目な女の子がサーフィンに出会って 生き生きと変わっていくってストーリー。 クラスにサーフィンする子が珍しくない という海辺の学校生活ってのも新鮮だわ。 国語の素材文に選ぶなら12~13章か。 海で怖い…

失ったものの重さ『天国にたまねぎはない』(久米 絵美里)

どんなに孤立しても、ネットで必死に探せば、世界のどっかには絶対、似た孤独を分かち合えるやつがいる。(本文より) まれに入試に出る作家の7月の新作だよ。 いきなり天国にたまねぎを密輸なんつう ぶっ飛んだネタが出てきて焦るんだけど 読み進めると深…

迫り来る閉校、そして卒業『6年3組さらばです』(吉野 万理子)

短編小学校シリーズの6年編3冊目だわ。 かな~り読みやすい15編が詰まってる。 意外と興味深いネタなんかもあったよ~。 アメリカではメリークリスマスではなく ハッピー・ホリデーズとクリスマス祝う ようになってきてるとはこの本で知った。 海を渡る…

ホントの願いがかなうとき『かわいいわたしのFe』(神戸 遥真)

まれに入試に出る作家の6月に出た本だ。 ちょっといい私立中が物語の舞台になる 電車好き中1女子視点という珍しい作品。 神戸先生、手芸男子の作品などもあるし キャラクターの設定がユニークですわ~。 主人公は自分のかわいさを自覚していて 周囲の期待…

【旧作・準新作限定】レベル別中学受験生向け推薦図書(2024年8月改訂版)

わりとマメに本の紹介をしてるんだけど 相変わらずアクセスは微々たるものだわ。 それでもめげずに推薦図書を改訂したよ。 対象は昨年8月までに出た旧作・準新作。 リストの説明は例によって真面目に書く。 旧作・準新作の推奨リスト(新作リストは10月下旬…

無敵のかすがい『ステイ!: ぼくとシェパードの5カ月の戦い』(青谷 真未)

一歩進んで二歩下がるどころか、百歩進んだと思ったら九十九歩戻るような毎日だ。(本文より) 高校放送部モノがたまに入試に出ている 青谷真未先生の6月に発売された作品だ。 犬が苦手な大学生と犬の交流が描かれた めっちゃハートウォーミングな物語だよ…

心の鍵を開けて『物語を継ぐ者は』(実石 沙枝子)

中学生というのは、未来しかないと言っても過言ではないですから。(本文より) 7月に出たファンタジー色が濃い目の本。 補欠で入った私立中で委縮してた少女が とびっきりの体験をして個性を輝かせる。 一言で言っちまうとこんなストーリーだ。 尊敬してや…

ダイエットの仇敵『うまいダッツ』(坂木 司)

上品な味は、地味な味と紙一重。派手じゃないけど、余韻が深いのだ。(本文より) まれに入試に出る作家の3月の新作だよ。 オタクな高校生4人組が地味な文化部で 友情を芽生えさせ深めていくストーリー。 ちょっとした事件に巻き込まれてみたり 人助けをし…

誰かのためにペンを取れ『鳥と港』(佐原 ひかり)

学校に行かなくてもどうにでも生きていけるけれど、楽な道じゃない。才覚があってもなくてもね。(本文より) 5月に発売された一般文芸カテゴリの本。 素材文適性が特段高いわけでもないけど わりと書店で目立ってたので紹介するよ。 作問者が見つけられる…

人生を無駄にするな!『正しき地図の裏側より』(逢崎 遊)

努力の仕方を間違えていると言われればそれまでなのだけど、そこに追い討ちを掛けられると流石にキツかった。(本文より) 今年2月発売の小説すばる新人賞受賞作。 物語のスタートからして不穏な感じだし 小学生には見せられないかもしれないが 少なくとも…

よろこびのレシピ『わたしのカレーな夏休み』(谷口 雅美)

カレーが好きなのはこういうところだ。なにをのせても美味しい。だれとでも仲よくなれる、クラスの人気者みたい。(本文より) 今期紹介本で最も読書感想文によさげな 小説はコレじゃないかと思ってるんだが 今回取り上げる作品もその点でいいよ~。 感想文…

大作家の観察眼『まだら模様の日々』(岩瀬 成子)

割と入試に出る作家の4月発売の作品だ。 前半エッセイ、後半連作短編という構成。 実際のところ短編狙いで手にしたんだが エッセイのほうも期待以上に良かったわ。 岩瀬先生の幼少期の思い出が語られるが その観察眼の鋭さには舌を巻くしかない。 で、吐き…

規格外の磁力『夏のピルグリム』(高山 環)

孤独で寂しい人をほっておいたら、それはもういじめだよ。相手に手を出すのもいじめだけど、手を差し伸べないのもいじめなんだよ。(本文より) ポプラ小説新人賞の奨励賞受賞作だよ。 奨励賞だと通常は出版に至らないけど 改稿を重ねてバシッと仕上げたよう…

本がくれる至高の癒し『赤と青とエスキース』(青山 美智子)

そういう言い方で、私を肯定してくれる人は始めてだった。(本文より) 2021年11月に発売された旧作だが これも青山先生の定番作品の一つになる。 えっ?ええっ!っていう驚きの仕掛けが 読者をとらえ、楽しませてくれる本だよ。 例によって緻密なまで…

やっぱりハートウォーミング『お探し物は図書室まで』(青山 美智子)

まず俺に必要なのは、目の前のことにひたむきに取り組んでいくことなんだと思った。(本文より) 新作じゃないんだが定番作家の定番作品。 安定の青山ワールドが堪能できる本だよ。 図書館というには小さい町なかの施設で とびきりユニークな司書が迷える誰…

彼女たちのこだわり『この窓の向こうのあなたへ』(小手鞠 るい、佐藤 まどか)

劣等感と自己嫌悪の塊が制服を着て歩いているような少女でした。(小手鞠るい先生の自己紹介パートより) 海外在住の作家って実は多いんだよな。 アメリカ 小手鞠るい先生イタリア 佐藤まどか先生オーストラリア 岩城けい先生カナダ 花里真希先生 海外にいる…

咲くはわが身の『続 窓ぎわのトットちゃん』(黒柳 徹子)

香蘭女学校の先輩から手渡されたバトンを手にして、走っているような気がすることが、いまでもある。(本文より) 50万部という売上は今期紹介作品首位。 前作は国内800万部、海外も含めると 2500万部という大大ベストセラーだ。 今作も手にした作…