中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧

成瀬と違う強めヒロイン『婚活マエストロ』(宮島 未奈)

どう考えても鏡原さんはもっと大きな企業で人材育成をしたほうがいい。(本文より、主人公がヒロインから受けた印象) 成瀬シリーズで本屋大賞などを受賞して いま勢いのある作家のもうすぐ出る本だ。 この先生が描く強い女の魅力はケタ外れ。 今作では、地…

今さらだけど、激賞『藍色ちくちく-魔女の菱刺し工房』(髙森 美由紀)

間違っていようといまいと、我が子を守りたい。(本文より) 豊島岡の生徒が大学受験会場で集中力を 高めるために運針して周囲をビビらせる みたいな話を何かの本で見た気がするが 今回の紹介本を読んでそれを思い出した。 今年の公立高校入試でよく出た作品…

命尽きるまで『われは熊楠』(岩井 圭也)

お前は他者を見とらん。己を知りたいなら、己以外を見よ。(本文より) 今年の5月に発売された直木賞候補作だ。 知の巨人の意外な一面を描いているよ~。 並外れた知能とままならない癇癪を持つ 男の生きざまが圧倒的な迫力で胸に迫る。 時代背景や方言が高…

魂のプレゼンテーション『銀河の図書室』(名取 佐和子)

受験を行事の一環にして命を燃やすのが高校三年生なんだ。(本文より) 文化部の高校生たちの熱い青春を描いた たまに入試に出る作家の8月の新作だよ。 ミステリっぽい公式の紹介文なんだけど 真正面から部活×友情を描いている本だ。 学生だけでなく先生た…

愛しい鮮血『グリフィスの傷』(千早 茜)

人は驚くほど、人の痛みに無自覚なのだ。(本文より) 昨年の直木賞受賞作家の4月に出た新作。 傷にまつわる10編が詰まった短編集だ。 一部、小学生に見せられない話もあるが 最初の受付嬢が高校時代を振り返る話と 最後の女子高生視点の話はオーケーだよ…

気持ちを上向かせてくれる『街角ファンタジア』(村山 早紀)

本の中には世界があった。果てしなく広がる宇宙があり、今日まで続いてきた人類の歴史があった。美味しそうな料理があり、そしてたくさんの物語があった。(本文より) たまに出題される作家の月末頃にでる本。 タイトルで想像できるファンタジックな 物語の…

すり減らない生き方『令和元年の人生ゲーム』(麻布競馬場)

他人からの評価に右往左往させられるなんて、この世で一番馬鹿らしいことですから。(本文より) 今年の2月に発売された直木賞候補作だ。 Z世代の名門大学生やOBのリアルって なかなかに惹かれる内容じゃねーのよ? 表紙やペンネームはどこかチャラいけ…

心に日本刀を持つ女『常夏荘物語』(伊吹 有喜)

常夏荘は夢の国ね。あの場所だけ時間が止まってるみたい。(本文より) 歪んだ名家の内外で奮闘する女達の物語。 たまに入試に出る作家の8月の新刊だわ。 なでしこ物語シリーズ最終巻ってことだ。 この作品から読んでもわからなくはない。 順番に読むほうが…

【2025年入試版】国語出典予想ランキング(2023年9月~2024年8月発売)

笑えるほどアクセスがない当サイトだが 今年も恒例のランキングを作ってみたよ。 作品の優劣ではなく出題者が選びそうか。 この点のみで順位付けしたリストが以下。 全てここでレビューを書いた作品たちだ。 表の説明はちょっと真面目に書いてみる。 出典予…

オトナの恋の物語『人魚が逃げた』(青山 美智子)

本当にやりたいことを見つけ、育て、その手につかんだ我が子を、自由にさせるのが親の務めなのではないか。(本文より) 例によって話がリンクしあう連作短編集。 先月のテレビ番組で、これまでの著作の すべてが中学入試の素材に採用されたと 紹介された先…